第7話 ヴァニラ闘技大会 〜開幕編〜
闘技場前に到着した俺たち。
「何度見てもコロッセオね」
「そうだな」
確かに何度見てもコロッセオだ。
俺たちは大きな入口から、「ヴァニラ闘技場」の中に入る。
「中も中々綺麗ね、中だけに」
「ん? 今なんか言ったか?」
「中も中々綺麗、と言ったのよ、中だけに」
「そうだな」
まぁそんなことはどうでもいい。
「お腹すいたな〜」
「そうね、そろそろ限界だわ」
「とりあえず受け付けカウンターみたいなとこ行って見るか」
俺とシロハは受け付けカウンターへ向かう。
「すいません、参加者なんですけど、俺たちってどうすればいいんでしょう?」
「あ、参加者様ですね、お名前を教えてください」
「俺がリョウで、こいつがシロハだ」
「分かりました、確認致しますので少々お待ちください」
係員の女性は、何枚かの書類を確認する。
「確認終わりました。シーナさんからの申し込みってことはあなたたち、只者じゃないですね? シーナさんは気に入った人じゃないと最低限の事しかしませんから」
係員の女性は覗き込むようにこちらを見てくる。
シーナさんとはあのギルドの係員のことだろう。
「ちなみに、一度ここから先に行ったら二日ほど出られなくなりますが大丈夫ですか? 一応この先には、部屋、シャワー、ご飯、娯楽、必要な物は全部揃っていて、全部無料で提供しているので、お金の心配は無いです」
「わかりました、大丈夫です」
そして、係員の女性は2枚の金色のメダルを俺とシロハに渡す。
「あと、大事な事なのですが、どんな保管方法でもいいので、このメダルは絶対に無くさないでください。無くしたらここを出られなくなります」
「分かりました」
「では、お気を付けて」
俺とシロハは係員の女性に見送られ、闘技場の奥へと歩いていく。
「まず部屋にいこうか」
「そうね、さすがに二人で一部屋ではないらしいわね」
部屋の前には名前が書いてあり、俺とシロハの部屋は隣同士だ。
おそらく申し込んだ順番が関係あるんだろう。
「じゃあまた」
「うん」
俺は扉を開け部屋の中に入る。
玄関を入り、右側にシャワー室やトイレ、洗面台、洗濯機などがあり、真っ直ぐ4歩くらい進んだ右側にベッドがある。
するといきなり、アナウンスが流れだした。
「──参加者が全員集まりましたので、皆さんは闘技場へ集合してください──」
もう集まったのか。案外少ないのか?
「はぁ、全然ゆっくり出来ないな、いつかゆっくり出来る日が来るのか」
俺は事を考えながら、
「レディース! アーンド! ジェットルメーン」
真ん中に立っている大男が叫ぶと、観客が歓声をあげる。
俺は真ん中の男から視線を外し、
人数は思っていたよりも少なく、20人前後だが、どれも強そうな雰囲気が出ている。
「まずルール説明だ!」
大男が大声で話し始める。
「まずは、会場はここ! ヴァニラ闘技場、別名、ヴァニラコロシアムだ!」
大男が喋る度に歓声が上がる。
「そしてルールは……モニターに注目だ!」
モニターにルールが映し出される。
会場 ヴァニラ
開始日時 明日の朝8時
参加者人数 25名
戦闘形式
バトルロイヤル
優勝賞品
1位 1000000000ゴールド
2位 100000000ゴールド
3位 30000000ゴールド
4位 10000000ゴールド
5位 1000000ゴールド
ルール説明
1、戦闘不能、又は場外に出てしまった場合脱落とする。
判断基準 監督係
2、魔法、スキルの使用は禁止されていないが、故意的に魔法結界を狙った場合は脱落とする。
判断基準 監督係
3、武器の破損、又は紛失しても、変えの武器を持ってくることは出来ないこととする。
4、万が一、命を落としてしまっても、殺してしまった人に責任は取らないこととする。
あれ? 1VS1だと思ってたんだが……まぁいいか。
色々気になる点があるが、1番知らなくてはならないことはこの戦いで命を落としてしまう危険があるということだ。
「諸君、ルールは把握出来たかい? それでは今日はこれでおしまいだ! 部屋でゆっくり過ごすもよし! 美味しいご飯を沢山食べるもよし! ギャンブルなどの娯楽を楽しむもよし! それでは解散だ!」
大男がそう言うと、観客からまた歓声が上がる。
俺は回れ右をして、自分の部屋に戻る。
俺は部屋に戻ると、シャワーを浴び、布団にダイブした。
「はぁぁぁ」
疲れた〜。
この世界に来てからの展開が早すぎて、疲れてしまった。
「お腹すいたな〜」
俺はお腹が空いたため、レストランへ向かう。
レストランに着き、俺は2人がけの席に1人で座る。
「ご注文は?」
「ボロネーゼスパゲティを1つ」
「かしこまりました」
店員は俺の席を去っていくと、入れ替わりで、俺と同じくらいの歳の子がこちらへやってくる。
「こんにちは、ここの席、いっしょすわってもいーい?」
「ど、どうぞ」
髪型はロングで、綺麗なクリーム色の金髪だ。
なんだこの可愛らしい子は。
「私の名前はイース、よろしくね!」
イースはさっききた店員を呼び、俺と同じボロネーゼスパゲティを頼む。
「それで、何の用だ?」
「う〜ん、なんの用かって言うと難しいな〜。簡単に言えば仲良くなりに来たってとこかな」
怪しい、今から何か仕掛けるのか?
「心配しないで、何か仕掛けてるって訳じゃないから、私たちって今からたたかうわけでしょ? だから、できるだけ仲良くなってれば、戦った後でもなかよくできるんじゃないかなっておもって」
「そういうことなら別にいいが……」
「こちらボロネーゼスパゲティでございます」
店員さんは俺とイースの場所にスパゲティを置き、去っていく。
そこから、俺とイースは他愛もない会話をして、スパゲティを二人で食べた。
「ふぅ、おなかいっぱいだよ〜、ここのスパゲティちょっと量多いよね〜?」
「確かに、結構多いな」
「ねぇ、このあと空いてるならいっしょにカジノに行かない? あ、もちろん無理にお金は賭けなくていいよ? 見てるだけでもいいから……」
「分かった」
「じゃあ決まりね、早速向かおっか」
イースと俺はほぼ同時に立ち上がり、二人並んでカジノに向かった。
「すご〜い、ここがカジノか〜」
「来たことないのか?」
俺も来たことないが。
「カジノは初めてかな、こう見えて私結構運いいほうなの!」
「そうなのか、それは楽しみだな」
「リョウくんは何やりたい?」
「う〜ん、そうだな〜」
無難にブラックジャックにして置くか。
「ブラックジャックでいいか?」
「おっけー!」
俺とイースはブラックジャックの台へ向かっていった。
「じゃ、はじめよっか!」
「おう」
ブラックジャックとは、手持ちのカードが『21』を超えずに、『21』に近い方が勝ちという簡単なゲームだ。
だが、この世界では少々ルールが違うらしい。
カードは1から11の11枚。
客と客の1対1でやることが多いらしい。
ホールカードはオープンまで相手のカードしか見ることが出来ず、相手も自分のホールカードが何の数字なのかはオープンまで分からない。
カードは両者が1枚ずつ引いていく。
アップカードは両者共に見ることができる。
Aを1か11で使えるルールもないらしい。
「何ゴールド賭ける?」
「俺は金は1ゴールドも持ってないぞ」
「まぁ、それは借金でもいいから〜」
「しょうがないちょっとだけならいいか…じゃあまずは1万ゴールドくらいで」
「まぁ無難だね〜」
ディーラーが居ないため、イースがカードを配る。
俺とイースのところに2枚のカード、俺のカードは11とオールカード、イースのカードは6と5だ。
「先行はリョウくんからね」
俺はカードを要求。
カードは2。微妙なところだ。
イースも1枚要求
カードは9。
おいおい。これはどういうことだか。
考えよう。
俺から見た、出たカードは、2、5、6、9、11。
それで俺のホールカードを抜いた今のカードの合計は13。
ホールカードが、11、10、9、なら負けだが、11と9は出ているため、バーストしていたとしたらこのホールカードは10だ。
ホールカードがバーストしていた場合はその時点で負けているので、それについては考える必要は無い。
まだバーストしてない場合のホールカードは8、7、4、3、1、だ。
ホールカードが1だった場合、7を引かなきゃ負けだ。
ホールカードが3だった場合、4を引かなきゃ負けだ。
ホールカードが4だった場合、3を引かなきゃ負けだ。
ホールカードが7だった場合、1を引かなきゃ負けだ。
ホールカードが8の場合は、ここでオープンしなければ負けだ。
20にすることが出来ないため、引き分けにすることは出来ない。
どれも確率はほぼ同じ。
俺はカードを要求。
来たカードは7だ。
イースはオープンを選択。
俺もオープンを選択。
「「オープン」」
イースのカードは、5、6、9、合計20
俺のカードは、1、11、2、7、合計21
「やったー!」
「おめでと〜はい1万円」
イースから1万円を受け取る。
「ありがとう」
「そんなことよりもう1戦しない?」
「いいぞ」
そして俺はあっけなく負け、1万円はイースの元へ戻って行った。
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