第6話 王国到着。そして野宿。
俺とシロハを乗せた馬車はものすごい速さで風を切り、一面の草原を駆け抜ける。
「馬車酔いはしてないかい?」
馬車の運転をしているおじさんに話しかけられる。
「大丈夫です」
馬車の運転をしているおじさんは、まるでカウボーイのように、馬を乗りこなしている。
「酔ったら直ぐに行ってくれよ、馬車の中で吐かれても困るからな」
そんなジョークを口にして、またスピードを上げる。
シロハは人見知りらしく、あの女性の係員とは話せていたため、二度合わなければ話せないのだろうか。
まぁそんなことは置いといて。
俺は昨日、実質三時間程しか寝ていなかったので馬車の中で眠ることに。
「おーい着いたぞー」
俺は目を開け、起き上がり外の景色を見る。
「わぁ〜」
俺は驚きを隠せなかった。
それはその景色を外で見ようと、馬車を出る。
「すげぇ〜」
そこには、先程居た町の十倍ほどの大きさの街があった。
街の真ん中にはやはりお城。
だが、多分あれはギルドなどではなく、本物のお城だろう。
「凄いわね。あまりに凄すぎて語彙力を失うわ」
元々語彙力があったのかは不明だが。
「そうだな〜、とりあえず街の中に入ろうか」
俺とシロハは、馬車を運転して来てくれたおじさんにお礼をし、街の中に入っていく。
街の中の建物は西洋風で。建物が全体的に高い。
道の大きさは、前いた町の2倍ほどの大きさだ。
歩道と車道のようは感じに道が分かれていて、車道らしき道には馬車が走っている。
人も沢山いて賑やかだ。
日本で例えるなら東京だろう。
「すごいなぁ。都会って感じがするなぁ」
「そうね」
とシロハは冷静に答えているが、実際は目がキラキラ輝いている。
眩しいくらいだ。
とりあえず、例の大会が開催される闘技場に向かおう。
俺は、街を歩いていた男性に話しかける。
「すいません、闘技場ってどこだか分かりますか?」
「闘技場がどこかだって?これだから最近の若者は、世も末だな」
通りかかった男性に話しかけたが、話も聞いてくれなかった。
「じゃあ次は私が聞きに行くわ」
「任せた」
シロハは街を歩いていた老人に話しかける。
「お忙しいとこすいません。闘技場ってどこだか分かりますか?」
「闘技場かい?それなら……」
老人はポケットから紙を取り出し、ペンで簡単なので地図を書いた。
「この地図を見ていけばつくはずだよ」
「ありがとうございます」
シロハがお礼を言うと、老人はどこかへ去っていく。
そして、俺とシロハは地図通りに歩き、闘技場にたどり着いた。
「なんかこんな世界遺産なかったっけ?」
「コロッセオね、すごく似ているわ」
シロハ(と俺)曰く目の前の闘技場は世界遺産コロッセオによく似ているらしい。
「ちなみに開催は明日の朝よ」
なら今から寝て明日の朝に備えるか?
俺もちなみになのだが、所持金は0ゴールドだ。
というか、この世界にきて、まだをゴールドに一度も触っていない。
「今日は野宿ね」
「だろうな」
「楽しみだわ」
野宿の何が楽しみなのだか。
「とりあえず野宿できる場所を探すか」
「そうね」
俺たちは、広すぎず、狭すぎず、目立たない、人通りの一切ない路地裏を探す。
「ここでいいんじゃないかしら」
シロハは広すぎず、狭すぎす、目立たない、人通りの一切ない路地裏を指さす。
「そうだな」
条件に合った路地裏を探していたら、すっかり日が暮れ出して、辺りが暗くなり、肌寒くなってきた。
俺とシロハは路地裏の道の端に腰をおろす。
日も完全に暮れ始め、本格的に寒くなってきた。
「だんだん寒くなってきたわね」
「そうだな」
「体と体をくっつけてあたた──」
「ほらよ」
俺はこの世界に来た時から着ていた、上着をシロハにかける。
「あ…ありがと……」
シロハは頬を赤らめ、自分の腕の中に顔を埋める。
俺も眠るため、顔を腕の中に埋め目を閉じる。
俺は目が覚めると、どこかへ攫われている訳でもなくて、昨日居た路地裏に横になっていた。
そして俺の腕には、シロハの頭が乗っていた。
シロハは気持ちよさそうな顔で寝ていたので、起こさないようにそっと頭を持ち上げ、自分の右腕を救出する。
右腕が痺れているので、少し壁に横たわり腕に血が回るのを待つ。
シロハはスー、スーと静かに呼吸をし、横向きに寝ていて、手を合わせるように寝ていた。
それに、なんと言っても寝顔が可愛い。
「おはようリョウくん、私の寝顔をながめていたの?」
「いや、俺もさっき起きたばっかりだ」
「リョウくんより早く起きれないなんて、私は奥さん失格ね……」
「いつから奥さんになったんだよ」
「まぁそんなことは置いといて、早く闘技場に向かいましょ」
「そうだな」
俺は血が回り、感覚が戻った右手で地面に手を付き、飛び上がるように立ち上がる。
シロハは少し伸びをしてゆっくりと立ち上がる。
「じゃ、いきましょ」
「ああ」
一昨日の夜から何も食べていない俺とシロハは、闘技場に無料で食べれる食堂があることを祈り、闘技場へ向かうのであった。
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