第5話 俺はステータスをあげたい
「ベッドで目が覚めて、リョウくんに早く会いたくて檻を壊して、そこにハリーがきて、ハリーにリョウくんの居場所を教えて貰って、リョウくんの牢にたどり着いて、リョウくんの檻を壊したの」
俺とシロハは、町を出て、まだ早朝で薄暗い草原で、朝日を眺めながら話していた。
「かなり適当な説明だが、ま、いっか、終わり良ければ全てよしってやつだな」
「そうね」
「そういえば俺のスキルについて分かったぞ」
俺は立ち上がり言った。
「簡単に言えば、戦った相手のステータスを吸収するスキルだ」
吸収とは言ったが、戦った相手のステータスを奪うという訳では無い。
「じゃあ、強い魔物と戦えばすぐステータスが上がるんじゃないかしら」
「魔物と言ったが、人間と戦ってもステータスを吸収できるとおもうんだけど……」
「あら、それは私と戦いたいってことかしら」
「やっぱダメだよな」
「リョウくんがしたいなら、いいよ?」
シロハは立っている俺の顔を、座りながら見上げる。
「ありがとう!じゃあ早速……」
と、俺が言うと、俺はまだ薄暗い空を見た後、上下が逆になった町を見る。
「ぶはっ」
俺はシロハに背負い投げされ、地面に叩きつけられた。
「これでいいのかしら」
「多分な」
朝日が東の空を登り始めたころ、俺とシロハは町に戻った。
町に戻りまずはギルドへ向かった。
俺とシロハはギルドに入る
「あっ! シロハさんとリョウさん!」
係員が、カウンターから声をかけてくる。
「なんだ?」
俺はなぜ呼ばれているのか不思議に思いながら、声の方向へ向かう。
「なんですか?」
「リョウさんとシロハさんですよね? この辺じゃ知らない人はいませんよ! なんてったって、あのゴブリンの里を二人で攻略しちゃうんですもん」
係員は興奮気味に話し続ける。
「あの……良ければ握手とサインお願いします」
握手とサインって、俺らはどこぞのアイドルかっ!
「別に良いですけど──」
「その代わりと言ってはなんですが、ステータスの確認を無料でお願いできるかしら」
俺の話を遮るように、シロハが話す。
「分かりました。でもこれは内緒ですよ?こんなことやってたらクビですから」
係員の女性は小声で話し続ける。
「じゃあ今からこっそり見るので少々お待ちください」
そう言うと、係員の女性は呪文を唱え、唱え終わると紙に俺らのステータスを書き、渡す。
シロハさん
Lv.6
物攻 16000
物防 15000
魔攻 36000
魔防 36000
『職業』 魔法使い
『魔法』
アタックブースト─味方の物攻をかなり上げる
デフェンスブースト─味方の物防をかなり上げる
『スキル』 未習得
リョウさん
Lv.4
物攻 36000
物防 56000
魔攻 54000
魔防 52000
『職業』 剣士
『魔法』
アタックブースト─味方の物攻をかなり上げる
デフェンスブースト─味方の物防をかなり上げる
『スキル』 無知の自覚 統率力
ステータスは五桁を越したら、上の数字から第二位で四捨五入するらしい。
あと、少しだけ見やすくなった。
それより、すごいステータスの上がりようだ。おそらく統率力はゴブリンの長から吸収したものだろう。
比較対象がなくても俺とシロハのステータスは凄いことが分かる。
シロハのステータスは相変わらず魔法攻撃力は高いのに、魔法は使えないらしい。
「すごいステータスですね! 特にリョウさん! Lv.4でこんなステータスのひと、どこ探してもいませんよ!」
係員の女性はまた興奮気味になる。
「じゃあ握手とサインお願いします!」
俺は係員から
シロハは名前を描き終えると係員の女性に渡し握手する。
それに続き、俺も係員の女性と握手した。
「今回も無料でありがとうございました」
シロハは不機嫌そうに俺を見つめていた。
俺は嫌な予感がしたので、握手している手を離す。
「強い魔物と戦えるクエストってないかしら」
シロハは係員の女性にそう聞くと、係員の女性は答える。
「クエストでもなければ魔物でもないのですが、今度冒険者達が集まって、トーナメント形式で戦い、優勝者は賞金10億ゴールド貰えるっていう大会があるんですけど、エントリーしますか? エントリー自体は簡単なので今すぐ出来ますよ」
「じゃあそれでお願いするわ」
あっさりレベルを簡単に上げる方法が見つかって光栄だ。
戦いと言う部分で、俺が負ける要素が見当たらない。
相手のステータスを吸収するということは、相手のステータスよりも高いステータスに上がるのだからステータスで下回ることはまず無い。
結論、俺の勝ちだ。
と、心の中でフラグがたってしまった気がした。
「ただいまエントリー完了しました! 開催日時は一日後、会場はここから半日ほどかかりますがどうしますか?」
「一日後って、全然時間ないじゃん!」
「じゃあすぐ馬車を出すので少々お待ちください。あ、お金は後払いでいいですよ」
こうして、俺とシロハは半日かけて1日後に開催される大会の開催地、ヴァニラ王国へと、馬車で向かったのであった。
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