第4話 俺のスキルとは……
俺とシロハとハリーは町の入口に着くと、町の入口に居たリリーがこちらへ近づいてくる。
「おじさ……お兄ちゃんとお姉ちゃんと兄さんおかえり!」
「ただいま…」
ハリーはリリーに話しかけられると小声になった。
「依頼は達成したわよ、早くリョウくんのスキルの鑑定をして頂きたいわ」
「そう焦らないでよお姉ちゃん、もう日が暮れそうだからうちに泊めてあげる」
「それはありがたいけれど、スキルの鑑定もしてくれるのよね?」
「もちろんだよ!」
リリーはそういうと、町の中へと歩き出す。
その後ろに着いていくように俺たちも歩き出す。
「お邪魔します」
「お邪魔します」
俺とシロハは挨拶をして家の中に入る。
「あら、いらっしゃ〜い、この子達がリリーの言ってた子達?」
「うん」
リリーは頷き、ソファーに座る。
ハリーは二階へと階段上がっていった。
「お兄ちゃんとお姉ちゃん、そこに座ってていいよ!」
「じゃあ失礼させていただくわ」
「失礼します」
俺がソファに座ると、シロハは俺の左隣に座った。
二十秒ほど、席につき無言でまつ。
「召し上がれ〜」
リリーのお母さんらしき人が、机にオムライスを四つ置く。
「お母さん達は食べたから〜」
「じゃあ、いただきます」
リリーが手を合わせる。
それにつづき、俺とシロハも手を合わせる。
「いただきます」
俺はスプーンを手に取り、オムライスを口に運ぶ。
一言で表すなら非常に美味しい。
まず、オムレツはすごくふわふわしていて、口の中に入れると、卵の甘い風味とケチャップのトマトの風味が口いっぱいに溶けるように広がっていく。
チキンライスは、味付けがすごくちょうどよく、上に乗っているオムレツにすごく合っている。
俺はオムライスを食べ終わると、お皿を持ち台所へ向かう。
「あ、机の上に置いといていいよ〜」
俺は戻ろうとする。
台所には何やら、何かがあったのだが、見なかったことにしておこう。
俺は机に食べ終わったお皿を置きソファに座る。
「リリー、お水運んであげて〜」
「は〜い」
リリーは台所に向かい、お水を二つもってくる。
「はいどーぞ」
「ありがと」
「ありがとう」
シロハにつづき俺もお礼をする。
そして、渡されたお水を飲んだ。
お水に感想を言うのは難しいが、強いて言うなら少し苦かった。
シロハも苦味に気づいているようだが、一気に飲み干した。
「リリー部屋案内してあげて〜」
「は〜い、こっち来てー」
俺とシロハは立ち上がりリリーに着いていき、地下に案内される。
「ここの部屋ね〜」
「おい、もしかして二人で一部屋か?」
「部屋が足りないからね」
「なら仕方ないわね入りましょうリュウくん」
シロハは早口でそう言いながらドアを開け、入る。それについて行くように俺も入る。
「おやすみなさ〜い」
リリーはそう言うと、どこかへ去っていく。
部屋にはソファやイスがないため、俺はとりあえずベッドに腰をかける。
「はぁ」
「疲れたわね」
「そうだな」
俺は思わず上半身を後ろに倒してしまった。
「疲れたぁ」
「そうね……」
シロハがそういうと、いきなりあかりが消えた。正しく表現するならシロハがいきなり明かりを消した。
俺は慌てて上半身を起こすが、何者かによって押し倒される。
「ねぇ、リョウくん」
「おいどうした?」
「キス、したいわ」
いきなり過ぎではないでしょうか。
「いきなりだな」
「ダメ…かな…?」
可愛く聞いてくる。
「ッ!」
いつもとのギャップでより一層可愛く感じる。
「ねぇ、いいかしら」
もうどうにでもなれ!
俺は目を瞑る、シロハはだんだん俺との顔を縮めてくる。
吐息が当たる距離まで近づいて──
──バタッ
俺の胸の上にシロハが倒れてきた。
「おい、シロハ?」
寝ているようだ。
「はぁ、どういうつもりなんだか」
俺はため息を吐き俺の上に乗っているシロハをどかそうとしたのだが──
──手に力が入らない。
視界ががぼやけてくる。
首をあげようとするが、首に力が入らない。
瞼が重くなり──
──俺は眠った。
「はっ」
どこかで見たような展開だな。
ハリーがこんな感じで起きたか。
それよりここはどこだ?
俺が寝ていた普通のベッド、壁を見ると檻がある。あ、ここは牢屋だ。
でもなぜだ。
なぜ俺は牢屋にいる?
考えても、分からない。
寝ていたところを何者かに誘拐された?
何か犯罪をした覚えもない。
覚えがないだけであの時シロハに……!
と思ったがそれはないだろう。
あの時、催眠薬で先に眠ったのは、シロハなのだから。
不思議な点はいくつかある。
まずは、ハリーが、夜ご飯も食べずに二階へ逃げていくように上がったこと。
ハリーが、あまりリリーと仲が良さそうじゃないということ。
俺たちはリリーの言っていたお父さんにまだ合わせて貰っていないこと。
俺たちの寝る部屋が地下だったこと。
それと──
──催眠薬が、リリーからもらったお水に入っていたこと。
台所にあったのは間違いなく催眠薬だろう。
そして、台所の何かとは、催眠薬のことではなく、リリーの母親がお水に催眠薬を入れていた現場のことだ。
ここから考えられることはまず、リリーとリリーの母親はグルだということだろう。
そしてここに閉じ込めたのも恐らくリリーとリリーの母親だろう。
となると、お父さんにスキルを鑑定してもらうのも難しくなるだろうな。
俺を閉じ込めて何をするのだろうか。
人体実験でもされるのだろうか。
「うっ」
想像したら鳥肌が立ってきたのでこれ以上はやめておく。
すると、足音がこちらへ近づいてくるのが分かる。
それは俺の牢屋の目の前で止まった。
「やぁリョウくん」
いや誰だ? 見たことがない。
「あ、自己紹介がまだだったね。僕の名前はケリー。リリーの父親だよ」
「初めまして」
この人がリリーとハリーの父親か。
全く似てないな。
「君が寝ている間に色々見させてもらったよ。なんか特殊で最強なスキルを持っているらしいじゃないか」
「俺のスキルは特殊なのか?」
「ああ、鑑定させてもらったよ。どんなスキルか知りたいかい?」
俺は首を縦に降り、頷いた。
「君のスキルは、戦った相手のステータスを、そのまま自分のステータスに足すことが出来るんだ」
なんだそのチートスキルは。
「君は今、何だこのチートスキルは。と思っただろう。その通り、このスキルはチートすぎる、だからそのスキルを君から奪うために、ここに連れてきたんだよ」
「どうやったら、スキルを奪えるんだ?」
「私には君を殺して奪う事しか出来ないよ」
随分怖いことを言う人だ。
「それじゃあまた後で。短い人生お疲れ様」
リリーのお父さんは俺にそう告げると、どこかへ去っていく。
それから一分後。
「あら、もう起きちゃってたのね、遅れてごめんなさい」
牢の外で誰かが喋っている。
「シロハか」
「ええ、あなたの愛しのシロハよ」
「どうしてここにいるんだ?」
「助けに来たからよ」
シロハは牢の外側から話しかけてくる。
数十秒俺の顔を拝んだ後、シロハは牢を蹴破る。
「なんでもありかよ」
「報酬も貰ったことだし、ここを出ましょうか」
「そうだな」
俺とシロハは地下の廊下を駆け抜けて一階に駆け上がり、ドアを明け外に出ていく。
外は太陽が登り始めている頃だった。
綺麗な朝焼けだ。
「綺麗だな〜」
「そうね」
「それで、どうやって助けに来れたんだ?」
「牢は蹴破ったわ」
「もっと詳しく、ハリーとかとはなんかあったのか?」
「そうね、じゃあ話そうかしら。まず──」
シロハは俺を助けるまでの過程を話し始めようとしている。
──俺とシロハは朝焼けで照らされた、早朝の静かな町を、今日も歩き出す。
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