第2話 俺らのステータスってどんくらい?

 俺と白羽は五十メートル先の町を目指して歩いていた。


「で、なんでお前までここにいるんだ?」

「あなたにとくっついていたのだから、リョウくんが轢かれたら私も轢かれるに決まってるじゃない」

 それは悪いことをした。

 ん? 悪くないな。と着いてきたのが悪い。


「五十メートルってあっという間ね」

「そうだな」

 俺たちはそう言いながら町に入った。



 町に入るとまずは、真ん中の大きな建物が目に入る。

「あの大きな建物はなんだ?」

「ギルドってやつじゃないかしら」

 ギルドってあれか。冒険者が集まるところか。

「じゃあギルドに行ってみようか」

「そうね」

 俺は歩き出す。

 その後ろをピッタリと白羽は着いてくる。



 町には、道具屋や雑貨屋、武器屋に防具屋、宿屋など、色々なお店が立ち並んでいる。

「ギルドに行ったらここら辺のお店も見てみようか」

 俺が真後ろにいる白羽に振り返っていうと、周りの店を見ていた白羽は、慌てたように頷く。



 白羽の予想は的中し、ギルドの前にたどり着く。

「でっけーな」

 俺は目の前の建物ギルドの大きさに驚いた。

 ギルドの中には、食事をするスペースや、受け付けなど、ギルドにありそうな設備がほぼあった。

「とりあえずあそこのカウンターに行ってみるか」

 俺はカウンターまで歩き出し、その後ろを白羽が着いてくる。


 カウンターに着き、係員を呼ぶ。

「すいませ〜ん」

「は〜い」

 すぐに返事が帰ってきた。

「なんの御用でしょうか?」

 係員の女性は社交的且つ、優しくきいてくる。

「ここは何ができるんでしょうか?」

 こちらも優しく質問する。

「ここではステータスの確認とクエストの受け付けをしています!」

 ステータス確認とは筋力とか魔力とかそういうのが数値化して見ることができる、ということなのだろうか。

 気になったのでお願いすることに。

「じゃあステータス確認お願いします」

「では、お名前を教えてください!」

「俺がリョウで、こいつがシロハ」

「かしこまりました。ステータス確認は一日に一度ですが大丈夫でしょうか?」

 ステータスの確認は一日に一度らしい。

「大丈夫です。お願いします」

「かしこまりました! 初回は無料です。では少々お待ちください」

 そう言うと、係員の女性は何か呪文のようなものを唱えだした。



 係員の女性は呪文を唱え終わると、少し驚いた様子を見せながら、紙に何かを書き、こちらに渡した。

「こちらがあなた方お二人のステータスになります!」

 その紙には──



 シロハ


 Lv.1


 物攻 4500

 物防 4000

 魔攻 6800

 魔防 7000

 職業 無職

 魔法 未習得

 スキル 未習得



 リョウ


 Lv.1


 物攻 800

 物防 400

 魔攻 600

 魔防 600

 職業 無職

 魔法 未習得

 スキル 無知の自覚



 ──と書いてあった。


 これがどのくらいなのか分からないので聞いてみることに。

「このステータスってどのくらいなんですかね」

「シロハさんのステータスはものすごく高いです! 初期のステータスでこんなステータスの人は今まで2人しかいません!」

 なるほど、白羽のステータスが凄いことはわかった。

「それで……僕のはどんな感じなんでしょうか?」

「リョウさんのステータスは平均的って感じですね」

 俺は平均的らしい。

「ですが、初期からスキルがあるのは珍しいので、これからの成長に期待ですね!」

 だそうだ。



 その後、俺と白羽はギルドを出て、町を回ることに。

「白羽、お前すごい大人しかったけど?」

「人見知り」

 なるほど、だから一度も喋らなかったのか。

「私はステータスが高くて嬉しいのだけど、あなたの能力は平均的らしいわね。慰めてあげたいわ」

「大丈夫だ」

 全く落ち込んでないぞ。

 女子にステータスで負けたからって落ち込んでないぞ。

「それより、武器とか買いにいこうか」

「そうね」

 俺たちは銀行にお金を借りて、武器を買いに向かった。



「いらっしゃーい」

 武器や防具が沢山たらんでいる。

「得意武器とかってあるのかしら」

「そんなのあるのかな」

「ステータスに合わせて武器をえらべばいいんだろうけど、私は全部のステータスが高くて、なんでも出来そうだわ」

 らしい。

「じゃあ俺は物理攻撃が高いから、剣士でいいかな」

「じゃあ私は魔法使いかしら」


 二人で装備を買い店の外に出る。



 俺らは、武器と防具を装備し、もう一度ギルドに向かうため歩き出す。


 ギルドの中に入ると、十歳位の少女がこちらに向かってくる。

「あ、あの……」

 少女が俺たちに話しかけてきた。

 俺は屈み、少女の視線に合わせる。

「どうしたのかな?」

じゃなくて、そっちのお姉さんに話しかけてるんですけど」

 んんんん? まだ高校一年生なんですけど? おじさんって歳まであと十年以上はあるんですけど??

「私になんの用かしら?」

「お姉ちゃん強いんですよね……?」

 少女は、俺と話す時とは別人のように、すごく気弱に喋る。

「私は強いわよ」

「強いお姉ちゃんにお願いなんですけど──」

「あら、お姉さんにお願いをするならこっちのにお願いしてくれないかしら」

 ナイスお姉ちゃん。

「ッ。お兄ちゃんもよろしくお願いします」

 舌打ちをして、一瞬俺の目を見たあと、すぐに白羽の目に視線を戻した。

「それで、お願いは何かしら」

「私の兄さんが洞窟に鉱石を採りに行ったっきり三日帰ってきてないんです」

「それはお気の毒ね」

 お気の毒だ。

「そこで、お姉ちゃんに兄さんを助けてきて欲しいんです」

「達はどこへいったのかしら?」

「お姉ちゃんに助けてきてほしいんです」

「わかったわ。それで報酬はいくら出せるのかしら」

「報酬、ですか」

 困ったような顔をした。

 少女が報酬を持ち歩いていた方が不思議だが。


 すると少女は掌に拳を置き、思いついた、というジェスチャーを見せた。

「うちのお父さんはどんなスキルか鑑定する仕事をしているの、だから兄さんを助けてきてくれたら鑑定してくれるかも!」

 それはありがたい。

 ギルドに向かう時に前を通った店では、スキルの鑑定は十万ゴールド程かかるらしい。

 比較対象がないためどのくらい高い金額か湧かないが、八百屋に売っていたリンゴは五十ゴールドだ。

「分かったわ、その報酬でうけましょう」

「ありがとうお姉ちゃん! お兄ちゃん

 子供にお礼を言われるのは嫌な気がしないな。

「ちなみに私の名前はリリー。よろしくです!」


 その後は、リリーにどこで待ち合わせるか、兄さんの容姿はどんな感じなのかなど、話し合い、俺とは町の外へ歩き出した。






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