第21話 いざ行かん、ロゼス王国。
クーガー、中型機動装甲車クーガーはどうなったんでしょう。
パール先生も……どうなったんでしょうか。
ステアミナ神王国首都シャーロックは、ガイドブック『神王国のすべて』によると、どうも神王国の中心付近に存在するみたいです。
私は、パール先生やクーガーがとられた東側に行ってからロゼス王国に行くことはままなりません。
この国にいるとまたユウシャサマが何かしら吹っ掛けてくることは間違いありません。ロゼス王国もしくは帝国まで向かって、体制を整えてから立ち向かわなくては。
どうなったか心配はできても、取りに行くのは難しい。そもそも捕まって6年経過しているんです。捨てたところにあるとは思えない。悔しいけど、ここでお別れか。
パール先生も、今どこにいるかという話は出てきません。難民の皆様引き連れて最初の国サージアン民国にいったか、どうにかしたと思います。そう思うしかない。
リヴァイアー様は、あそこで守るしかないし……。
みんなを捨てて、逃げ出すのは本当に心が痛みますが、神王国からでないと。
みんな、待っていてね。
ロゼス王国へのバスというのは、走ってませんね。そりゃあそうか。敵対国ですしね。
道はあって、ここから400キロメートルくらいの所に距離に国境線があるようです。持ちこたえてるみたいですね。大公国には2国とも滅ぼされたようです。ガイドブックに載ってました。
400キロメートル歩きましょう。今首都にいますので、替えの靴と、お洋服、バックパックにサイドポーチそれとヒップバック、野営装備などなど……をパローワークで稼いだお金で購入しました。高級品買えるほど稼げませんから、最低限の装備なんですけども。
よし、いくか。
道っぽい道を歩いて、夜になったら焚き木を集めて【火生成を発射】でバーナーを作って火をともし、毛布数枚を毛布にして寝る。それだけ。それだけの生活。
無味乾燥。無味すぎる。でもとにかく国境線を越えるまでは耐えないといけないですね。
途中途中村があったり、町があったりするんですが、何度も戦争で徴発を受けていて、疲弊しきっていました。水まいたりしてその日その日のご飯を頂いたいて歩み進めていきました。
こんな国嫌だぁ。おらロゼス王国いって楽しい生活するだぁ。
20日くらい歩いて国境線まで到達。あー、封鎖されてる……。超固い魔導防壁がかなりの上空まで存在し侵入を防いでいます。
これじゃあ……越えられない。兵士さんはいるけど……入国管理の権限ないだろうし。
でも越えてロゼスに入らないと、無味すぎて死んじゃう。私はモンスターとかと戯れたいんだよぉ。古代超文明の遺跡に挑みたいんだよぉ。
密入国は……割と文明が発達しているので、ハンターギルドや冒険者ギルドが使えなくなっちゃう。それだと食う種がなくなってしまうしなあ。
ほとほと困っていると、見かねた兵士さんが、かなり危険だけどロッキー山脈ロゼス方面にもこういう入管があって、そこから入れるんじゃないかと教えてくれました。
行くかあ……。
一度戻って、ロッキー山脈北側にあるやはり修行僧が使うような道を、【浮遊】しながら進んでいきました。登山靴持ってないもん。
途中魔石を落とさないどう猛な生物、つまり怪物がでてきました。この道はわざと整備されないてもんね。さすがにそういう怪物が出現しますよね。出会ったのはワニ以上にかみつきが強烈で、岩に偽装しているロックタートルと、風魔法が非常に強力で空を飛んでいるため処理が厄介なグリフィン。
ロックタートルは魔力の塊で芯を形成した岩の魔法棒でぶっ叩いて処分して、お肉をパクパク。結構おいしい!
グリフィンは観察すると魔法で飛んでいるので、魔法中和を風魔法で伝達して、落下させて処分しました。どこか美味しい部位があると思うんだけど、今ははそれどころじゃないっす。
途中、ロゼス方面に行くモンク集団と巡り会って、私も修行僧に扮装しちゃえ!ということで一緒に行動を。
モンクって肉体で戦う集団だと思っていたんだけど怪光線も撃つようでして。このスキルジュエルを手に入れようと思ったよ。熟練モンクさんはグリフィンを光線で貫いて倒しているもの。
あと、魔法障壁を展開してグリフィンの強烈な風魔法から防護してました。すごい……。殴るだけじゃないんですね、この世界のモンクさんは。地球育ちの私はどうしても少林寺拳法を連想するので、こういう素敵な存在とは思ってなかったです。
ロックタートルはしっかり観察して見破り、強烈な肉体で粉砕。……勝負したら勝てないな。スキルだけじゃない強さを、持ってます。スキルを〈応用〉して勝負してる。スキルの強さだけに頼ってない。
さてさて。モンクさん達と国境を越えて、国境すぐに存在するかなり強固な城塞都市、ロレパックにたどり着きました。
ここで冒険者ギルドと連絡がついて、また自由の身になりました。モンクさん達にお礼を言って、別れました。ありがとう、モンクさん達。
「6年も投獄されていたんですね。私は冒険者ギルド受付の魚人リヴァスです。リヴァイアー様はお元気でしたか?」
「6年前は元気でしたよ。今は、わかりません」
「そうですよね。ランクFからFFにしておきますので、頑張ってランクをあげましょう。そうすれば危険な仕事と、美味しい仕事が待ってますよ」
「はい!」
ロゼス王国では、すこし冒険者をやろうかな。
ハンターギルドの個人能力ランクでは、AAになってた。そうだよね、スキルジュエルは相当手に入ってるからね。スキルジュエルにない強さも身に着けたけど!
冒険者といえば未開の地の探索や、恐ろしい存在との交渉、討伐だったりするけど、今回お願いされたのは、ナツメウナドラゴンの口から出る液体を複数の樽一杯に集めてもらうことだそうで。
ナツメウナドラゴンは東の森の奥深くにいらっしゃる非情にに紳士なドラゴンさんということ。まずはロバと馬車で森まで樽を運び、一応道になっているところを樽担ぎながら歩いてナツメウナドラゴンさんと対面。
なるほど、ヤツメウナギな見た目で7つの目があるドラゴンなんですね。だからナツメウナドラゴン。七つ目ウナギドラゴン。ナツメウナドラゴン。
「やあやあ、きみが今回の液体集めの人かい。強い心をもってるから大丈夫かな」
なんだそれー? ということで液体をいただきまーす
「液体は、私の涎なんだ。おいしい料理のソースになるそうだよ。それでは、くぱぁ」
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
SAN値直葬のようなものを見つめてしまい。これは強い心と信念がないと、発狂するわ……。
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
た、樽一杯に詰めて帰還。これがお金としては相当おいしくて、一気に1000ドルエンもゲット。いわば、借金のかたにこれをやらされるそうで。なるほどねえ、精神と引き換えに借金を返すのか……。
私はまあ、精神は大丈夫でした。もう行きたくないけど……
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
く、もう殺せ!! 殺してくれ!!
ひょっひょあああああひょあああああぴょあああ!!
……大金の代わりに何かを失った気がする。冒険者ランクはFFからEとEEをすっ飛ばしてDDまで一気に上がったけどさ……。
大金を手にいれても、自己強化と武器防具、綺麗な外行きのお洋服や緊急回復薬につぎ込んでしまうのが、冒険者という職業のサガ。
まず、武器として魔導合金鋼を芯に強化ハイテン鋼で固めた十文字槍を鍛冶屋と製鉄屋をこの超城塞都市に呼んで作ってもらいました。
これで私のスマッシュをぶち込んでも、〈そんなに曲がらない〉っぽいかな?これをスキルジュエル直すLv2で毎回直して使うことに。この直すジュエルは結構希少価値があるので、首都から持ってきてもらいました。ああ、飛んでいくお金。
防具に、ウバブーという地球でいう大型牛と大型バイソンを組み合わせたような大型有蹄類モンスターがいて、そのウバブーのお尻部分で作った丈夫な革を利用して強化ハードレザーを作ってもらい、急所などのピンポイントに魔導工具鋼で補強をした、ポイントガード強化ハードレザーアーマーを特注しました。アハハハハ。お金が。アハハハハ。
これも直しつつ使います。たけえし。
外行きのお洋服は、とりあえずこの超城塞都市でも笑われないようなお洋服を。はぁ……。
こうなりました。
――装備――
大強化十文字槍
ポイントガード強化ハードレザーアーマー
合成繊維入りヘルメット
合成繊維安全靴(登山もできるよ!)
お上品な外行きお洋服とお靴
――――――
――スキル――
直すLv2
――――――
――お金――
400ドルエン
借金なし
――――――
SAN値と引き換えに相当なドルエン手にしたんですけどねえ……
ぎゃふん。
ちなみに涎はやりすぎて価格が暴落したので、一回100ドルエンくらいしかなりません。
ぎゃふん。
ぎゃふん。
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