第20話 光がまた輝きを取り戻す
リハビリに1年かかりました。地球換算3年。やっと思い通りに動かせるようになり、スキルも思い通りに出せるようになりました。
能力活性のジュエルというのは凄いもので、これだけ時間を重ねても、まだ20~21歳の体なんだそうです。相当長寿になったか、戦闘民族になったか。
実際の年齢は30半ばだと思うのですが……。
皮下複合装甲と骨の強化でLv1でも極めて強靭になった魔導防御。これのおかげでリザードマンの重い一撃を受けてもびくともしなくなりました。
斬られても突かれても叩かれても突進を受けても、魔導防御が運動エネルギーを緩和しちゃうのでなんともないというか。
こりゃー、1トンある熊に突進喰らっても『防御』すれば大丈夫な体になってしまいましたわ。ああ、ついにファンタジーの体に。
こんなに強くなって大丈夫なんでしょうか……。私は強くなるというよりも、博士を撃退して、あいつらにぎゃふんといわせたいだけで、人外の強さになりたいとは思っていないのですが……。
まあ、まだまだスキルはあるんだし、そこまで強くはないのかな?
よし、帰ろう。
すぐに地上に出られる裏道があるそうなのですが、そこから出ていっても贖罪という意味では意味がない。『幸せになる不思議で奇妙な箱』って本当に普通に使っている箱なんだそうで。それをいただいて、大ダンジョンのほうから帰ることにしました。
帰り道は正直らくちんでした。1年の間に魔法の修練も積んであり、【魔力塊と念生成】を組み合わせて槍状に【形成】し、それを使ってスキル攻撃しながら進みました。これぞまさに魔法棒術師。パール先生ここまで教えてくれればよかったのにぃ。ぶーぶー。
地上には1ヶ月くらい? で到達しました。大ダンジョンを封印している鉄格子の間から「やほー!」という音爆弾をつかって兵士を呼び、晴れて外に。
6年くらい居たんですねえ。死んだと思われていました。
堂々とゆーしゃとせーじょに王宮で面会。こいつらも老けねえなぁ……。
「これが贖罪の箱、『幸せになる不思議で奇妙な箱』でございます。最下層の30階から取ってきました」
「というかぁ? あなたその手はどうなってるのぉ?」
あ、やはりそこですよねせーじょ様
「30階層付近にありました。長い時間がかかりましたが、新たな腕としてなじませることができました。見た目、取られる前の腕と変わらないですよね」
「嘘ではない、か。しかしそれなら昔の腕はいらないな」
「あるんですか!? あるなら欲しいです。私の腕ですし。引き取りに伺います、どこにありますか?」
ゆーしゃゆーいちはしまったという顔をしましたがすぐにせーじょひなたが取り次いで。
「研究所にあったわ。今はもう捨てちゃったんじゃないの?」
「ソンナマサカーハハハ。捨てたといっても研究対象にしてないだけでサンプル保管などは行っているのではないですか?」
「ギギギ」
「落ち着け日向。……まあそうだな、探させてみよう。あれば届けさせる」
「よろしくお願いしますね。あ、贖罪したので借金は0ドルエンですよね」
と、ここで時間が来たので面会は終わり。少しはぎゃふんといわせられたかな?
……この二人は本当に神王国に取り入ってるんだなあ。神王ってだれなんでしょうかねえ。
幸せになる不思議で奇妙な箱は冒険して手にれてきたのではなくて、贖罪のために持ってきただけなんですよ。だから報酬金とかそういうのはない。借金は棒引きされると官僚がおっしゃってましたが。
つまり。
おかねがなーい。ぼうけんしゃぎる……どはないんですよね、この国。ハンターギルドに向かいましょう。賞金で稼ごう。
ハンターギルドの場所を聞いててくてく歩いていたんですが、この国は……石炭石油化学が進んでいるんですね。街灯とかも、まず間違いなく電気です。
魔石とスキルジュエルを触媒にした原油の精製は各国でなされていているっちゃあいるんです。化学繊維って便利ですからねー。私も装備に少々使っていたかな。
車はほかの国と似たような車が走っていますが、排気ガスがとても油臭い。ガソリンとか、軽油とか、そういうの使ってますね。懐かしい匂いです。
ガソリンや軽油が十分に供給されるくらい原油の精製が盛んなのでしょう。科学が発展しているんですねー。
神の王様の国なのに、発展しているのは科学というのはなんか不思議な感じがします。
さてハンターギルドに着きました。カードを通して、所持金0ドルエン借金0ドルエン、罪スキル無しなのを確認。よかった、借金生活からは抜け出せたようです。6年ダンジョンにいなければもっと早く借金なんて返せたということは、あまり考えないようにします。巨人殺しも消えたようですね。
んで、ハンターギルドではその日暮らしの仕事は請け負ってないということなので賞金がかかっている物を確認して、パローワークへ。1日から1週間程度の短期仕事はここで扱っているようです。ちゃんとした雇用斡旋もしているようですが、私さっさとここから出る予定なのでそっちは必要ないですね。
1週間の労働を契約して、まずは労働をして。さっさと逃げ去るためのお金ができたので研究所へ。アポはとってあります。
「……これが私の腕、のなりの果てですか」
そこには、小さな小さな骨のかけらだけがありました。
マッドサイエンティストのおっさんAはこういいいます。
「ヒヒヒ、もうなにも残っとらんよ。6年も7年も研究したんじゃ。一応、極小の骨だけはサンプルとして残したたが」
りょうて……。
「……埋葬するんで、持ち帰りますね」
「どうぞどうぞ、廃棄物が減ってよかったよヒャヒャヒャヒャヒャ」
深夜、綺麗な夜空の下で小さな骨を見つめます。。
「ごめんね、私が遅かったばかりに。せめて、【悪食】を使って栄養にするね」
といって私は骨を飲み込みました。。論理感とかそういうのじゃない。りょうての墓場は私の体内が一番いいに決まってる。
[運用者への再格納を確認、動作全解除。再起動します]
へ?
[ひだりて:ただいま戻ってまいりました]
[みぎて:エラー修復完了。ただいまだおっおっお!]
へ?
[ひだりて:つまりは、ごく少量でも私たちが残っていれば、再構築くらい何のことはないんです]
[みぎて:無駄に骨を残したのが馬鹿だったんだおっおっお!]
え?
[ひだりて:あ、脳機能に拡張されてるけど使われていないよい居場所がありますね。そこを中心に完全再構築し、全身を補助脳としましょう]
[みぎて:全身を演算に使えるなら、正直言ってパワーアップして帰ってくることになるおっおっお!]
ふぁ?
[ひだりて:6年と13分42秒ぶりに、牡丹さんに帰ってきましたね]
[みぎて:場所姿は変われど、ここがとても居心地がいいお]
おかえり、でいいのかな?
[2人:ただいま!]
うん、帰ってきたのだけは事実。やった、うん! やった!
後は実戦で分かるようになるのでしょう、そうに違いない。
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