第14話 一気に村っぽくなってきた
バルラット
年齢:32歳
愛村心:高
適正職業:戦士
ギフト:(剣技)
この(剣技)ってどういうことだろう?
〈未祝福のため、まだギフトを授かっていないということです〉
えっ? ということは祝福さえ受ければ、このギフトを授かるってこと?
〈そうなります〉
本来なら授かってもおかしくない才能が、こんな風に眠っているなんて……。
それにしても、村人鑑定ってそんなところまで見ることができるのか。
もしかしたら他にも同じような人がいるかもしれない。
「……村長?」
「い、いえ……。それで、バルラットさんの家族構成は?」
「はい、俺のところは――」
詳しく聞いてみると、どうやらこの人、ベルリットさんの弟さんらしい。
道理でちょっと名前が似ているわけだ。
妻と子供が二人いるので、この村で受け入れてもらえたことを本当に感謝してくれていた。
その奥さんには未祝福のギフトがなかったけれど、二人の男の子たちは父親から受け継いだのか、なんと二人ともギフトの項目に(剣技)とあった。
まだどちらも祝福を受けられる年齢じゃないけど……でも、十二歳になったときには、どうにか受けられるようにしてあげたいものだ。
それからも僕は新しい村人たちの確認を続けた。
判明した彼らの構成はざっくり次の通りだ。
年齢:子供(0~11歳)12人、成人(12~50歳)37人、高齢者(51歳~)2人
性別:男性18人、女性33人
世帯数:14
適正職業については、かなりバラバラだった。
農業や商人といったオーソドックスなものから、牢番とか拷問官といったちょっと物騒なやつ、踊り子や歌い手といった芸術系など、多彩だ。
それにしても六十を過ぎたおばあちゃんの適正職業が拷問官だったんだけど……?
高齢者のうちの一人で断トツの最高齢だけれど、若者に負けない健脚で、ここまで旅してきても全然平気だったみたいだ。
ひとまず適正職業が農業の人たちに、畑の管理を任せることにした。
もちろん彼らだけでは人手が足りないので、全員で協力して収穫作業などを行う。
さらに潜在的なギフト持ちは、なんと全部で七人もいた。
バルラットさんとその子供たち以外の四人の潜在ギフトは、次のようなものだ。
調合理解
赤魔法
迷宮探索
文才
『調合理解』は、恐らく薬草などの調合に関する才能だと思う。
持っていたのは二十代の女性で、すでに旦那を病気で亡くしてしまい、今は未亡人だという。
『赤魔法』は炎や熱に関する魔法の才能だ。
これは十歳の女の子が持っていた。
家族の中で彼女だけだったので、きっと突然変異的なものだろう。
『迷宮探索』は、たぶんダンジョンなどを探索する才能だと思われる。
持っていたのは三十代後半の男性だ。
両親はすでになく、兄弟もいない、しかも独り身ということで、彼が難民たちの中で唯一の単身世帯だった。
ちょっと変わっているせいか、一人だけ浮いている感じがある。
『文才』は文章に関する才能だろう。
持ち主は十四歳の少年だ。
偶然かもしれないけれど、思ってたより潜在的なギフト持ちって多いんだね。
五十人中七人だから、一割を大きく超えている。
僕が教わっていた家庭教師の先生によれば、貴族だとギフト持ちが八割を超える一方で、平民は百人に一人にも満たないって話だったはず。
だから僕の「全員が受けられるようにしたら、もっと領地が発展するんじゃないの?」という疑問に、先生は「百人に一人ではたかが知れている」って答えたんだっけ。
……もしかしたらギフトの力を貴族たちで独占したかったのかもしれない。
それに万一、平民に有力なギフト持ちが現れた場合、反乱の恐れもある。
だから教会と結託し、祝福を制限していた。
というのは、邪推のし過ぎだろうか?
「なんだか一気に村っぽくなってきたわね」
と、そこへセレンがやってきたので、僕はこっそり彼女も鑑定してみる。
セレン
年齢:15歳
愛村心:高
適正職業:将軍
ギフト:二刀流 青魔法
適正職業が将軍なんだけど……。
確かに彼女には、兵士たちを率いて戦場を駆け抜けるイメージがしっくりくる。
でも、ただの村に将軍なんて要らないよね……?
それよりも人が増えて肉が必要になるので、これまで以上に狩りを頑張ってもらえたらありがたい。
「ルーク様、今後も村に難民がやってくる可能性があります。今から備えておくべきかと」
「うん、そうだね。聞いた話だと、あちこちで増えてるみたいだし」
そんなやり取りをしつつも、今度はミリアに村人鑑定を使う。
ミリアのことだし、適正職業はやっぱり「メイド」とかかな……?
ミリア
年齢:21歳
愛村心:超
適正職業:神官
ギフト:(神託)
ミリアって、21歳だったんだ。
って、そんなことより。
ミリアも潜在ギフト持ちじゃないか!
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