サッカー少年の幽霊

 私は幽霊が見える。

 ある時、私の目の前で、二人の男の子が楽しそうにサッカーボールを蹴って遊んでいた。

 その横で、一人の男の子が泣いていた。

 その子は幽霊だ。サッカーが大好きで、だけど事故に遭って片足を失くして、そして自殺した。

 私は幽霊を見ると、その経緯が、その幽霊が幽霊となった経緯がちょっとだけわかったりする。

 私は、サッカーボールを蹴る男の子達に言った。

 やめなさい。不謹慎だと思わないの? 足がなくて、サッカーがしたくてもできない人が見たら、どう思う?

 そうしたら、さっきまで泣いていた男の子の幽霊は泣きやんだ。そうして、私の方へ歩いてきた。

 こんな風にして、幽霊にお礼を言われることも少なくはない。

 幽霊は私に言った。

「お前が生きてるのは死んだ人にとって不謹慎だ。だから生きるのを止めろ」

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