鎌を拾った。

道の端に、震える子猫のように

光っていた


柄は一世紀は経っていそうなほど

真っ黒に汚れていた

しかし刃の方は怪しげなほど

光っていた


手にとって見ると、電気が走った

他人の家の小さな木に振り落とした

バターを切るように簡単に樹の枝が落ちた

そして鎌は笑っていた

光っていた


その瞬間に鎌と自分は一つになった

これは血に飢えた鎌であり自分だ

誰の血でも構わない

それが自分の血であっても

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る