3章-07話 置いてけぼり
それから、時間は2時間はたった。
ようやく、グランシスディア・ゼロに到着したのである。
まずはギルドのポートにつける前に、付帯物の処理と洗車をしなければならなかった、それには俺のギルド証から直接支払った。
付帯物の処理係と洗車係に軽くチップも振舞って、しっかりと磨いてくれよと頼んでおくことも忘れなかった。
その作業が終わったのが、ほかの車両たちが解散してから四時間後だった。
もう、ギルドポートにさっきまでの仲間の車両は残ってなかったが、置手紙を渡しておくという
どうやら、ギルドの支部には今日中にいかなければならないらしい。
ギルドポートに車両を付け、皆に休憩と言ってから出かけることにした。
「グレンも来るか? 面通しが必要だろう、まあ大体の連中は知っているとは思うが」とグレンに聞いた。
「行こう」と言葉短くグレンがいった。
まずはジャークヴェイ支部長のところまで行くかと思いながら市街地に入りギルド支部を目指した、徒歩で行くのも遠かったのでギルドで運航している無人タクシーを使って中央区まで一気に出て、支部の入る行政区のビルの横につけてもらった。支払いは俺のブラックオニキスのギルド証である。
後で調べられても面倒がないように、俺はよくギルドタクシーに乗る際はこれで支払うのである。
グランシスディア・ゼロの行政区は中央貫通型の超大型ビル構造になっており、高さ二キロメートルまでビルがあるのが特徴でグランシスディア・ゼロシティーのど真ん中に位置する大きなビルなのである。グランシスディア地方では標準型(基準になった)タイプの行政区でありゼロからエイトまでの各都市にもサイズこそ違うが同じ形状のものがあるのだ。
まあギルドの支部は、中層階に入っており雲よりも下にあるのが特徴であり、大体どの支部も五~三層の構造になっている。大都市では五層、中小都市では三層が平均的であろう。本国ではまた構造が違うのでここでは割愛する。
一層目が受付と各種チェック層、二層目が事務・資料層、三層目から上が上層部層となっているといわれている、グランシスディア・ゼロの支部は三層構造を取っており簡潔にまとまっている。
まずは受付で支部長が外出していないか聞くことにする。
「ジャークヴェイ支部長は居るかい?」と顔なじみの総合受付に聞いた。
「支部長でしたら第三層におられますが、試験室にいるようですね」と総合受付のアンヌマリーはそういった。
「たしか試験品が来ていて、それを見定めるために試験室に行ったようですが」と付帯情報もつけてくれる。
ある程度の顔見知りになり、相手が信頼できるという事がわかると、このようになるという、いい見本だった。
「ムナクラ様は大分お疲れの様ですが、リラクゼーションルームの申請はしておかれますか?」とも聞いてきてくれる。
「ありがたい申し出だ。が少々急ぎなんだ。俺宛の置手紙来てねえかな? 差出人は多分
「それはこちらにあります。持って来させますので、しばらくお待ちください」そうアンヌマリーはいうと通信機を取った。「ムナクラ様宛の手紙を総合受付Aまで持ってきてください」というと通信機を置いて、俺の隣にいるグレンを見て「グレン様でいらっしゃいますね、お噂はかねがね聞いております。アンヌマリーと申します。何事かありましたら気兼ねなくお聞きくださいませ」といったのであった。
「噂が飛ぶのは早いからな、気にしておくことも必要になるぜ」と俺は茶化しながらグレンにいった。
「特にアンヌマリーは情報通だからな、俺の信頼できる情報源の一つだ」ともいっておいた。
「お褒め頂き光栄の極みでございます」と茶化し返されもしたが、三分立たないうちに手紙とやらはやってきた。
「宛名は俺向きだが宍倉ではないのか、ギルドの支部隊の元隊長が俺に何か用があるらしいな、俺にそんなコネや御大層なものはないはずなんだが?」と首を捻って中身を見た、簡潔に会えないだろうか話がしたいと書かれており俺は一層よくわからなくなった。ちなみにコール番数は振ってあったのでコールして会うような要件なのか聞くことにした。
グレンはアンヌマリーから質問攻めにあっていたが上手くかわしていたので、電信のサインを送って、少し席を外すことにした。
壁際まで歩いていき通話器を取って、コールすること三秒で相手が出た。
「アーガイン・ムナクラ・アーセリカルと申しますが、ギルド支部隊の元隊長様でよろしかったでしょうか? 今回は何か急用とお見掛けしますが、私に力になれることは少ないと思いますが?」と聞くと「ジーン・クレファレンスと申します、ムナクラ様にはお国の事となって大変辛い思いをさせてしまうかもしれないのですが口添えをお願いしたいのです、
ニス家、これについて一点覚えがあったがまさかアスカ嬢の事だとは思っておらず、「サインでよろしいですか? その程度なら口添えよりも効果はありましょう。でどのような案件で?」とデータパッドを壁に設置された魔導電信器に繋いでサインをいつでも書けるように用意をした。
「サインをしてくださるというのですかこれは申し分ないお言葉ありがたく頂戴いたします。アスカ・アラ・ニス嬢の修行対象として、わが部隊長アスカ・ジークレフを推薦していただきたいのです。剣の腕は申し分なく礼儀諸説も問題ないものとして一つどうかよろしくお願いします」という言葉とともにサイン証が上がってきたのであった。
「あー、ニス家のアスカ嬢ですか
武将というクラスは三十ランクを超えると家紋を持つのが常識なのである。
斑鳩国外ではそれほど数が少ないのだ、武将三十ランク以上といえば斑鳩に行けばそれなりの数にはなろうが、外で活動していて公的に名が出ている武将三十一ランク以上は百を下回るといわれているくらいなのだ。
しかもギルドで活動・活躍しており、かのギルドマスター・ヨナにも信頼に値するといわせる者となると一気に数は減り十人までに下がるのである。
詰まり、俺のサインはかなり貴重かつ重要な十人の中に入るのである。
そして家紋は
珍しくサインと家紋を使ったことに少し後悔の念を抱いたが、それはすぐに消え去ることとなった。
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