3章-06話 対飛竜、空中戦闘!
「チッ、グランシスディア・ゼロが見えてきたってのに奴ら襲いに来るのか」 はるか彼方にグランシスディア・ゼロは見えていた。
しかし、三匹の飛竜はこちらを完全に狙いを付けて悠々と空中を飛び襲い掛かってくるタイミングを見計らっているようだった。
一匹目がどうなったかなんて彼らにはどうでもよいのだ、自分が飯にありつければそれでいい、そのようにマリーベルには見えた。
その飯を守らねばならない、ヘヴィーバレルは射撃を開始しているが、効果的な弾幕にもなっていなかった、連携が取れていないのだ。急ごしらえで出てきたので致し方ない面も確かにあった。
不意にアスカの車両が車列の前方左側に飛び出した。
「ここでのMM戦闘は不利だ! 囮になるつもりか!?」とコンボスであるマリーベルはアスカに通信を取った。
「せめて、MMが輪形陣を組める数になるまで待つんだ! シティー側にも応援要請は送ったところだ!」とマリーベルは叫んでいた。
しかしアスカからの回答は無かった、すでにMMに乗り込んでいるらしかった。
「チッ、こんなところでさらなる犠牲を出すわけにもいかん。皆もっと速く走れんのか!?」と
回答はきたが、「舗装路なら百五十キロメートルまで出せる、シティー外延部の道路に出るまで待ってくれ!」という悲痛な叫びだった。
アスカの車両は一番遅い位置に存在しているが、サブリーダームナクラの車両よりは近い位置だったのが救いだった。
不意に何か大きなものが影を作った!
もう飛竜に追いつかれたのか? とも思ったが違った。
マリーベルは自らの目を疑った!
MMが空中を飛んでいるのだ!!
“ゴウッ”という音とともに、舞い上がる翼をもったMM。
両手に長大な刀を持っているのが見えた。
「誰のMMだ、アレクサー? いや、アスカか!」とマリーベルはいった。
半自動走行モードで先頭車両群とのリンクは切れていない、アスカのPtは荷台の部分を大きく開口していた。
「アスカ! 無理をするな! もう少しで援軍が来る!」とはいったが聞こえている様子ではなかった。
そのまま三つ巴の空中戦に入っていった。
一匹の飛竜が翼を切り裂かれ、たまらず落ちてくる。
そのまま地面に突き刺さり動かなくなった。
そして二匹目も同じ道をたどった。
三匹目は利口だったのか逃げを打ったようだった。
大きく上昇し離れていく、アスカのMMは深追いはしないようだった。
アスカのMMはそのまま滑空し、自走する自Ptとリンクしランディング体勢に入っていった、ブレることなく寸分の狂いもなく自走中のPtに着陸、変形して折りたたまれ格納されていくさまを、コンボスの乗員は目を見開いて眺めるほか無かった。
アスカはMMから降り、Ptのコクピットに入ると自機の現在位置を再確認し、リンクしたまま半操縦モードで先頭集団の最後尾に戻した。
マリーベルは怒ってはいなかったが少しの時間
いま私は何を見たのだろう……高等テクニック等とはいえないほどの超高等テクニックを見たのだから。コンボスとして部下に呼ばれるまで少しの間だけぼーっとしていたのであった。
「コンボス、着きやしたぜ」と部下がグランシスディア・ゼロに着いたことを報告した。
「分かった。各員、現地解散の時間だ! 皆ご苦労だった、特にムナクラとアスカには特別ボーナスを進呈しよう!」というと自らの懐からプラチナステータスのマネークレップを二枚取り出し二チームのギルドの報奨金に追加した。
そしてギルド側に魔導転送処理がかかり、二枚のマネークレップは現物支給という形でギルド側に送信転送された。
コンボス自らアスカのPtまで行ってPtから降りてきたアスカと話をした。
「危険な賭けだったが、自信があったのか?」というマリーベルにアスカは「自信はありました。賭けとまでは思っていませんでした。二匹やれば三匹目は掛かって来ないだろうと予測していました。結果その通りになりました」と
「しばらくはここに滞在する予定です、見舞いの件がありますので」といった。
「誰の見舞いなんだ?」と思わず聞いてしまったマリーベルがいた。
「従妹の見舞いです」とアスカは花束と太刀袋を持って降りてきていた。
その時“スタン”と軽い音を立てて、空中から人が舞い降りた。
ゆうに五階建てくらいの高さが、あるであろうところから飛び降りて来たのである。
ナイツであろうと思われた。
「知り合いか?」とマリーベルがきいた。
「お迎えが来たみたいですね」とアスカはいった。
「じゃあな、元気でやれよ」とマリーベルはいった。
「マリーベルさんもお元気で」とアスカとマリーベルは軽い握手をして別れた。
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