2章-06話 グレンに新しい装備を

 グレンと一緒に試験施設を後にしてすぐに、得物を買いに行った。


 これが無くては冒険職は始まらないからであった。



「まずは、古い装備を更新しようぜ。ある程度なら出せるから心配するなよ」と俺がグレンに言った。



「何から何まですまんな、アーガイン」とグレンはいったが、俺が直ぐに「気にするなって言ったじゃねーか、これから主戦力の片棒を担いでもらうのに、そこをケチってどーするんだ」と言い返したのであった。



「まずは武器屋だ!、三千五百年前と扱いが違うものが多いから気を付けてくれよ?」と俺が言う。


「華奢なのよりも、こう質実剛健てヤツがいいな」とグレンはそういったので実体剣を主流装備にすることになった。



「魔法適性なかったんだろう? 射撃武器も要るがそっちはどうする?」と聞くと、「重くてパワーのある奴がいい、対象を吹っ飛ばせるくらいの奴な」とストッピングパワーを重視していったので重粒子砲系のストッピングパワーを重視したものになり、投擲武器も重めの苦無系にすることになった。



 グレンの主兵装はオリハリコン系列の現材を主体とした少々高額ではあったが、幅広のクレイモアとなり基本戦術は両片手となった。


 刃は波刃にできたがグレンはそれを良しとしなかった為、ブロード・クレイモアという一風変わった武器ができたのであった。


 試し振りと試し斬りを終えて「うんしっくり来る、良い武器だ」と呟いたグレンは前衛でも後衛でも中衛でも行けるぞと俺にそういった。


 副兵装もストッピングパワー重視で複数用意してくれと言って店主に頼み、その間カタログデータを見て談義する俺とグレンが居たのであった。


「ムナクラ様、こちらの五種を用意させていただきました。どうぞお試しになってください」と店主が来たので、早速試させてもらうことにして試射場に行った。


 全てにホルスターが用意され抜く姿勢も考慮に入れられることが多かったので、全て右腰ホルスターとし用意することにした。


 グレンの選択はかなり無難で安定性に富む選択であった。


 重視するのは確かにストッピングパワーではあるが、銃本体が重くては直ぐに抜き打ちできないということから重いものを選択から外していた。


 更に抜き打ちしやすい形状のモノに選択を絞ったのである。


 この時点で二つからの選択となっていた。


 しかしストッピングパワーは強いが、弾数の少ないものよりも弾数の多い方を選んだ段階で副武器も決まったのであった。



「副武器は継戦能力だよ」とはグレンのいった言葉である。


 投擲武器は重めを選んだため、数は少ないが高強度のオリハリコンを使用した重ね鍛えられた刃を持つ物になった。


 それを予備分含めてベルト型スロットケースに、十枚づつ挿したのであった。


 予備本数は五十本と多かったが、投擲武器を回収することは少ないので致し方なかった。


「さて着るものも鎧も新調だろう、そちらに回ろう」と言って武器を買い込んで装備し、その補器類全てを持ったグレンを急かしていた。


 仲間との合流ポイントへ急ぐことにしたのだ。


 急ぐことにしたのは、余りにも重量があるため、すでに崩れそうになっているグレンの服飾防具類を心配したためである。


 事実仲間と合流した時には、すでに四分の一が半壊していたのだから。


 合流したのは、ナーシャ、マリ、甚九郎ジンクロウの三人であり鑑定したポイントの確認という名目もあって合流したのである。


 リズ、ゼル、アイネのファッション能力に非がある訳ではないが偏っているので今回はリズには先に遺品回収が出来たら褒章を貰って帰ってもらうことになっていたのであった。


 ナーシャやマリには女性視点でファッションセンスを見てもらい、甚九郎と俺で男性視点から仲間のファッションを整えようといった狙いもあったのである。


「装備が重装物になるのは仕方がないねぇ」とはマリの言った苦言である。


 開口一番それだった。


「まぁ仕方がないじゃないか、ポジションがまだ決まってないんだから」と俺は押えておいた。


「ポジションが決まればいいのでしたら、私の隣などいかがですか?」と中衛にならざるを得ないナーシャがいった一言で前衛の支援は当てにできなくて、後衛の支援もしなければならないナーシャらしい一声であった。


 ゼルも中衛ではあるがガード役にはならないという意味であった。



「確かにサブリーダーの意見は尊重せねばならないな」と俺が同意したため。


 ひとまずは中衛でファッションと防具を選ぶこととなった。


 すると一旦武器防具を外しグレン自信が興味のあった服装をチョイスし出した。


 対する待つ我々はボックス席を取っておいて着替えて出てくるグレンを待つだけでいいのである。


 出て来たグレンは鎧よりも軽装な衣服を纏って現れた。


 クリア系表面のコートらしき物体はレーザーを弾くための特殊繊維であり、お高かったが非常に似合っておりこれ以上に無いとマリは絶賛していた。


 その上から軽装動甲冑を着込むと、更に似合うとナーシャと甚九郎からも意見があった。


 俺も特に問題は無いなと総評を押し込んだためその装備となった。


 そしてそこに装備を纏い荷物を軽々と持ち上げるとこの場は一旦お開きになった。


 装備をつけても特に問題は無かったからである。


 後はアイテム類であった。


 こちらはすでに合流前にナーシャとマリの方で甚九郎の意見を取り込みつつ、まとめてすべてチョイスしてあったので問題は無く終わった。


 VRゴーグルもランク測定時に測ったサイズがあるため問題なく選び終えていたのである。


 もちろん、データパッドや他の必要必需品なども一緒にであった。


 グレンも昔は、データパッドを使っていたのだ。


 最新のものと比較すると、ここまで変わったのかと唸りながら操作に徐々に慣れていったのである。


 丁度新型が出たばっかりであったため、そのように旧型比較で一段ランクが上がっていますとナーシャの丁寧な説明があったのである。


 そしてデータパッドとVRゴーグルをリンクさせたり切り離したりする方法や未起動状態から立ち上げるやり方までレクチャーしてもらったため少々時間は過ぎたが、新装備には慣れて行ったのであった。

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