2章-05話 再出発と新装備
「まずはギルドランクの適性試験からだ、身体能力測定とクラススキルによるクラス判定が
「アーガインのダンナはどうするんだ?」とゼルから反応が返ってくる。
「グレンのサポートをしてくる、最新型だろうしな」と答えた。
「分かった、留守番は任せな」、とゼルから返答がきた。
アイネからは特にいつもの留守番ということで特に気にはしなかったのであろう、返答はなかった。
逆にあの二人を出し抜ける盗人が居たら、お手上げということにはなる。
ここ自体が強度なセキュリティーを誇るギルドの牙城こと
ギルドランクの適性試験施設は上層階にも存在する。
貴族や高位の身分の人にも対応する為だ、下層部にあるのが一般人用とも言えた。
この為、俺とグレンは上層階のギルドランク適性試験施設に来ていた。
俺も上層階の適性試験施設を使った口であるからだが、人員は変わらないが設備は大分様変わりしていた。
ここの人員も下層の人員同様
俺にも寄って来ていた。気付いていたが敢えて無視していた風を装った。
「ムナクラ様、今回はようこそおいでくださいました。実は折り入って使って見て感想を頂きたい装備があるのですが、お時間はございますでしょうか?」と来たもんだ。
「何か珍しいものでもできたのか? 使える装備でないと使わんぞ?」といつもの口調で返答を返した。
「実はVR-ARゴーグルが稼働試験を経てようやく第一世代型ができましたので、魔法剣士や魔導剣士様方に折り入ってお試し頂いているのでございます」と興味深そうな話を持ってきたのであった。
「VRはともかくARゴーグルなんて使えるのか? 実戦はそう甘いものではないぞ、使用中に負荷に耐えかねて壊れる様なヤワな装備は持ってくるなよ?」と俺が言った。
「グレン、そっちで試験要員に従って、テストを続けていてくれ俺の方にも試験の話が回ってきた。少し試してくる」とグレンに声をかけ彼の緊張を少し解いた。
グレンも物珍しそうに周囲を見回していたところを見ると、すこし緊張があったらしかった。
それは挙動で分かったのである。
テストルームまで行き、軽い感じの新型ゴーグルにデータを旧型から移管した。
これで使い心地は今まで以上に上がっていないと、良しとしないのが俺流である。
「いかがでございますでしょうか?」と試験官がフィッティングを聞いてくる。
「まだ掛けたばかりだぞ、これからだ」と俺は言って耐久テスト用のルームに入っていく。
耐久テスト用ルームには分厚いクリアクリスタルが嵌っていて、頑丈な作りの試験用機器が並んでいるのだ。
それを眺めながら標的を狙って念じてみる、俺の持っている魔法剣抜刀から居合のスキルをイメージだけで発動させたのだ。
それは直ぐに発現した! そして見事に標的がスッパリと斬れる。
どよめきが試験室の外から聞こえてきた、かなりビビったのだろう。
俺は構えはしたが、太刀は抜いて無いのだから。
そしてコレそのものは疲れることは無いので、次々と出てくる標的をイメージのみで技を展開して破壊していく。
標的を百も破壊したころであろうか、「そこまで!」と合いの手が入った。
試験監督官のギラール・ジョン・バディの声であった。
「流石、ムナクラだなブレがねえ。使い心地はどうだ?」とギラールが品評を聞いてくる。
「中々いい出来に仕上がっている。上々だがお高い装備なんだろう?」と俺は答えた。
吹っ掛けてみたのである、すると意外な答えが返ってきたのだ。
「ブレが無かった連中を対象に、試験使用という項目で只貸しするように指令が出ている」というのだ。
これには閉口するしかなかったが、渡りに船だったので一も二もなくサインを書き込んでいた。
それほど使い勝手が良かったのである。
「これはできすぎのような気もするが、なにか注意点はあるかい?」と俺は試験官に聞いた。
まだ十数名にしか渡せてないらしく、実戦での注意点はまだ上がって来てないらしかった。
配られてる者もギルドに名を連ねる中では高位の連中が、
因みにグレンはナイツ三十ランクでランクテストを通過していた。魔法の素養は無かったが、近衛騎士団長まで勤め上げたその才覚に狂いは無かったらしい。
近接型が一人増えるのは
「そっちのチームは増員か、こっちはこれから新人募集だ、怪我人作っちまったからな」と言う答えが返ってきたのであった。
その後、新装備の補機類を受領し、グレンと一緒に試験施設を後にしたのであった。
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