2章-03話 旅の間(甘味編)

 俺はコクピットをフルロックモードにすると「グレン、ここから先は景色は変わらんから部屋に行こうか?」と俺はグレンに聞いてみた。


「変わらないなら仕方がないな、部屋に行っても寝る位しか無いな」と言ったが、実は緊張状態にあってなかなか寝付けない状態だったらしい。


「俺はそろそろ眠い、先に休むぞ」と自室に入って行った。


 が、現実はそう甘くは無かった、ナーシャが部屋に入っているのである。


 しかも起きている……そして言うのだ。




「甘味ください、でないと寝かしてあげません」とこう来たわけだ。




 流石に一週間後の話をしてもあきらめてはくれまい。


 甘味が無い訳では無いなと思った……食堂まで行って甘味を作って持ってくればいいわけだ。


 だが頭がすでに眠いと叫んでいる状態だ。何ができるか分からなかった。



 後衛組であるナーシャは、すでに十分な休養を取っている明らかに不利な条件だった。


 だが寝るにはやるしかない、何か甘味を作るしかなかった。


 多分単純なものでは、納得はすまい。


 白玉粉を出してきて練り始めたころ、視界の一部がぼやけ始めたコレはアカンヤツやないかとも思ったがもう遅い。


 作るのを開始してしまっているのだ。



 餡子あんこはペースト状になったものがすでにあるあんはあるのだ。


 粒が入っていないやつだが、条件は満たされるはずだった。


 そしてみつもある、合成ものだが餡と蜜はすでに揃っている。



 あとは俺の腕次第だった、作り方は覚えている、非常に眠いということを除けば。


 確か寒天も、あったはずだ。


 ゼリー状の奴が、真空パックになっていたはずだ。


 そこまでは思い出せる行けると思いさらにくり程よい硬さになったところで止める。


 小さめのひとくち大に丸め、たっぷりの熱湯に入れて浮いてきたら水に取る。



 ここまではいい。



 あとは冷蔵庫に叩き込み、少々冷えるのを待っている間に餡と蜜を混ぜ微妙な混合バランスで絶妙の甘さを作る。


 そしてパッケージ上になった寒天を冷蔵庫から出し、程よいサイズで切っていく。


 ナイツでなければ飯屋の亭主でもできたかもなと一瞬迷いが生じるが、気合いで立て直す。



 すでに寒天には甘味が、付いていいるものだった。


 ナイス! と思い、少々深めの皿に盛りつけていく最初は白玉・餡と蜜の混合物・寒天……練こし餡を見つけたので冷水を混ぜ溶かしていく。


 ある程度の水分量になったら冷凍庫へGo!!


 冷えたなと感じたところで取り出して、寒天の上にフルーツを盛りつけと言ってもフルーツがデカい!


 流石グランシスディア産ということでフルーツは刻み盛にして、三種を盛り付けていく赤黄緑の三色であるどれも甘さや少々酸っぱみのある赤(レッドグラセル)と只々ただただ甘い黄(イエローラーディン)と、程よいさわやかさを演出できる緑(グリーンレセプト)だったはずだ。



 俺の中にはすでに眠気を通り越した何かが、存在していた。


 冷凍庫から水溶き練こし餡取り出すと、少々シャリシャリ間のあるシャーベット状に固まりかけたモノを上からさらにかけて、ほぼ出来上がった感があるが。



 さらに手は抜かない、そこに透明な蜜をかけて出来上がりだ!


 ふと気が付くと眠気がやばかったので、片づけをサクッと終らせある意味食洗器にほり込んで片づけを終わらせて食材を丁寧ていねいに保管する。


 器を手に持つと、自室まで運び込んだ。


 当然フォークスプーン付きである。


 スプーンの先端がフォーク状になったものがありそれをフォークスプーンと呼ぶのである。


「ナーシャ、これでいいか?」と俺は聞きながらそれを手渡し、受け取ったのを確認するとそのまま突っ伏して寝に入ったのであった。


 すでに気力はマイナスに突っ込んでおり、寝るしかもうなかった。


 そういう状態であったのだ。


 良くぞ持った、とめてやりたいところだが、俺の気力にはそこまでの力は残ってなかったのである。


 それから四時間後、起きた俺が最初に目にしたのはナーシャの太ももであったという。


 つまりあの後食べ終わったナーシャが、俺の頭部を自らの太ももに乗せ膝枕の態勢で寝てたというそういう落ちが待っていたのであった。


 仲間に恋をする事は稀ではあるが、ナーシャになら恋しても仕方がない。


 と思った瞬間でもあったが、幸いだったのはこれは誰にも見つからず。


 ナーシャと俺だけの秘密となったのである。


 ナーシャは久しぶりに、おいしい甘味を食べさせてもらった。


 という感謝の気持ちから行ったものであるので、気にしなくてもよいとのことであった。


 こちらとしてはまた何か創らないといけないのだろうな、と思わせる出来事であったのはいうに堅くない。

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