第6話 LINE
柚葉とのデート翌日。
朝の10時頃、ピコンとスマホが鳴った。
ベッド寝転がりながら、スマホに手を伸ばす。
通知は琴葉からだった。
琴葉『カズー、起きてる?』
和樹『寝てる』
琴葉『起きてんじゃん!』
文の後に白いウサギが笑っているスタンプが流れてきた。
和樹『それで、何の用?』
琴葉『え、用なくちゃLINEしちゃダメなの?』
「は、うぜぇ…」
思わず口から言葉が溢れた。
そして少しの間LINEを返さずにいるとピコンと音がなる。
琴葉『既読スルーすんなよー!』
和樹『ごめん、うざかったから』
泣いているウサギのスタンプ。
ふふ…。
何故か分からないけどツボった。
琴葉『まぁ、ここまでは置いておいて、お土産欲しい?』
ん? お土産?
和樹『お土産って、お前どこか行ってんの?』
琴葉『うん、熱海の方来てる』
あぁ、だから昨日…。
和樹『…本当に昔から行動力だけは凄いよな、お前』
にこりと笑うウサギのスタンプ
琴葉『ちなみにお土産欲しい?』
和樹『んー、いいや。気持ちだけでいいから、その分楽しんで来い』
そのLINEに既読がついて、しばらくした後、『はーい』とだけ文が来て、そのあとはLINEが途絶えた。
そして30分後。
ピコンとスマホが鳴った。
あぁ、また琴葉か…。
そう思いつつ開いたLINEに俺は思わず目を見開いた。
「すげぇー」
LINEに添付された画像には、誰もいない無人駅で、その目の前には一面海のオーシャンブルー。
遠くの地平線まで全て青で統制されたその景色の中にポツンと佇む『根府川』という看板。
一目見ただけで綺麗と言う感想しか出なかった。
琴葉『どお? 綺麗でしょ?』
和樹『あぁ、すごいな』
そしてそのあと、もう一つ流れてきた画像に思わずどきりとする。
青い海を背景に、やや上目遣いでピースをする琴葉の写真が送られて来た。
そして、一言。
琴葉『こっちも、綺麗でしょ?』
サラリとたなびく後髪、白く健康的な肌。パチリとした瞳。
何よりも楽しそうに映る琴葉は妙に魅力的で、『うん』、と文字を送信しそうになった指を止めて、違う文を打ち直す。
和樹『50点』
その後に笑ってるウサギのスタンプが送られてきた。
スマホを閉じて、体を脱力する。
普通に可愛いかった。
それに、いくら幼馴染みでもやっぱりこうやってLINEが来るのは嬉しい…はずなのに、なんで柚葉のことを考えると、こんなにも、何かに押しつぶされそうになるんだろう。
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あげもち
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