05 王子の思惑



 指定された場所に行くと、彼が縄でしばられていた。

 地面に転がされていて、頬には誰かに殴られた様な跡があった。


 そして、その場には、私を言いように利用していたあの王子もいた。


 私は王子に向かって、どうしてこんな非道な事をしたのか尋ねた。

 すると、王子は話をしはじめる。


 それは私が国を出た後の事だった。


 発端は、王子と思い合っていた姫が原因らしい。

 婚約をしようと思っていたどこかの国の姫は、とても大きな悪事を働いていた。

 その悪事が明るみにでてしまって、姫は断罪されてしまったのだ。


 話はそれだけではすまない。

 一緒にいた王子も悪事に加担していたのではないかと、噂されるようになったのだ。


 王子はマイナスのイメージを払拭するため、行方不明になっていた将来有望な騎士を発見するという手柄を演出しようとしていたのだ。


 私を国に連れ戻した後は、状況を見て私に罪をなすりつけようと考えているみたいだった。


 私は当然激怒した。


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