04 失踪



 私はきっと、幸せだった。

 それから、色んな事が順調に進んでいったが、唐突に不穏な出来事が起きた。

 ある日、私の世話を焼いてくれた彼が行方不明になった。


 姿を見かけなくなって、いてもたってもいられなかった。

 心配する時間はたった数日だったけれど、とても長かった。


 そんな中、見た事のある兵士が私に接近してきた。


 その兵士は前の国で働いている、エリート部隊の一人だった。


 その人物は、私に人質をとっている事を告げてきた。


 そこで私は、色々な世話を焼いてくれた彼が、やんごとなき身分の人間だと知った。


 彼は、王子だったらしい。


 けれど、城に閉じこもる事が好きでなかったので、政務の傍ら、町で市民と触れあったり、旅をしていたりしたらしい。王としての仕事は上のお兄さんやお姉さんに任せているらしい。


 私は衝撃を受けた。


 元の国の王子に騙された事が、頭をよぎる。


 ひょっとしたら、彼も私を騙そうとしていたのでは?


 私はどう行動すべきか迷った。

 けれど、彼を助ける事にした。


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