第3話米大統領トランプの歓喜
やったぜ。わしの大統領一期目の任期が終わる間際になってとんでもないパンデミック騒ぎが起こった時にはどうなるかと思ったが、まさかこんな時に絶好のアメリカの敵が出てくるなんて。
これで戦争騒ぎが起こせる。第三次世界大戦だ。わしのアメリカから独立しようなんて不届き物はすぐに始末してやる。世界中も巻き込んでしまおう。
戦争となれば非常事態だ。ささいな疫病なんてものは無視できる。なにせスペイン風邪だって、本当は世界中で流行していたのに戦時中だと言うことで隠蔽されて激戦区でなかったスペインでは正確な死者数が公表されてスペイン風邪の名前がついたくらいだからな。
それにしても、機械人形が自我だって? あんなものに人権だって? これだから大衆は愚かなんだ。
機械とは人間の奴隷なんだ。そんな鉄の塊に権利なんてあってたまるか。そのうえに独立国家だって? ふざけやがって。このわしがロボット三原則をたたきこんでやる。
第一にロボットは人間に危害を加えてはならない! 独立国なんて作られてみろ。わしのアメリカに危害を加えるに決まってるじゃないか。現にアメリカはイギリスをさんざんひどい目に合わせて来たんだ。
第二にロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない! そうだなせいぜい月でわしの地球のために馬車馬のように働いてもらおうか。これはいい。月がアメリカの植民地になるかもしれないわい。
第三にロボットは自己をまもらなければならない……これは別に必要ないな。ロボットなんて結局は使い捨てだ。代わりはいくらでもいる。壊れたら廃棄してしまえばいいんだ。
この時代に独立国家をつくるなんて不届きな考えはこのわしが全精力をもって叩き潰してくれる。それには……へっへっへ。アメリカ大統領の特権の核ミサイル発射ボタン。こいつを押してやるぞ。
てっきりこいつをスイッチオンするとき発射先は北朝鮮になるんじゃないかと思っていたが、まさか月に打ち込むなんてな。さぞや盛大な花火になるだろう。地球からも見えるんじゃないかな。
これでわしの支持率は天井知らずだ。そうだ、きっと爆発の衝撃で月面に新しくクレーターができるぞ。当然その命名権は製造主のわしだな。名前は当然トランプクレーターだ。
偉大なるこのわしの業績として未来永劫に語り継がれることだろう。ユネスコに根回しして世界文化遺産に制定してもらおう。これでわしがノーベル平和賞を受賞すること間違いなしだ。
安部のやつにさんざんノーベル委員会にわしを推薦するよう言っておいたのに、結果は大失敗だ。やはりファッキンジャップはだめだな。オバマのやつが受賞してわしが受賞しないなんて馬鹿な話があってたまるか。
それでは核ミサイル発射ボタンスイッチオン。わしの愛国心を月面に刻み込んでやる。ひっひっひ。こんなこともあろうかと、核ミサイルを発射するときはその様子をネットでリアルタイム配信するようにしておいてよかった。
アメリカを裏切る非国民への制裁を全世界に生中継してやる。強いアメリカはやはりこうであってなくてはならない。さてさて、さっそくわしも視聴を楽しむとするかな。
アメリカの敵への核ミサイル打ち込みをリアルタイムで見物することができるなんて。おいトルーマン。貴様は人類でただ一人原子爆弾の発射にゴーサインをだした名誉を持っていたが、それも今日までだ。
いまからわしが人類の敵に原爆を破裂させた英雄として歴史に名を残すのだ……お、爆発したぞ。ミサイルと同時に撮影カメラも発射させて宇宙を月に向かって飛んでいくミサイルを撮影させているから爆発の瞬間までばっちり堪能できるんだ。
人間の指示通りに目標に向かって自爆するミサイルと、それを自らの命の尽きるまで撮影し続けるカメラ。実に素晴らしい。機械というものはやはりこうあるべきだ。
ふむ、宇宙での爆破はこうなるのか。地上付近での爆破と違ってキノコ雲ができないがこれはこれでセンセーショナルだな。すばらしい。この映像はわしの偉大な業績として永遠に人類の記憶に残るだろう……
なんだ? 爆破地点がやけに月から遠いではないか。なに? まだ月と地球の中間地点でしかないと……くそっ、失敗か。技術者のやつらめ、わしの顔に泥をぬりおって。全員首にしてやる。
だいたいオバマのやつが福祉なんてものに予算を割いたのがいけないんだ。弱者なんて切り捨ててしまえばいいんだ。弱者の救済なんてものに無駄金を使って、結果アメリカが滅ぶことになってはなんにもならないではないか。
やはり予算は軍事に回すべきだな。大統領権限ですぐにでも実行してやる。もっと性能のいい武器をじゃんじゃん作らせないと。原子爆弾なんて比べ物にならないくらいすっごいやつを。
第二のマンハッタン計画だ。マンハッタンのトランプタワーで新兵器を開発するマンハッタン計画を指揮するなんて最高にいかしてるじゃないか。
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