最終話 告白の返事
デートの次の日。
昨日の嘘みたいな最高の出来事を思い出した後、もしかして、夢だったのではないかと不安になってしまった。
た、たしか僕、告白したよな?で、姫宮さんに考えさせてくださいって言われたんだよね?
告白の返事もそうだけど、とりあえず事実だったかどうか確認しよう!
そう思いながら、学校に登校していると、ちょうど前のほうに姫宮さんが歩いていた。これはチャンスだ!
「お〜い!姫宮さ〜ん!!」
手を振りながら、大声で呼んでた。すると、姫宮さんはいきなり顔を赤くしたと思ったら、すぐにダッシュで逃げてしまった。
え?僕、なんで避けられてるの?
とりあえず、姫宮さんの反応から、昨日のデートが夢ではなく本当で、告白をしたというのも事実だとわかった。
さっきのはもしかしたら、照れなかもしれないな!僕、告白したしね!それじゃあ、よし!どんどん話しかけてみよう!
1週間後の朝。
僕は未だ姫宮さんと話せずにいた。
学校で話しかけても逃げられ無視される。LINEを送っても無視。一緒に帰ろうとしてもいつのまにかもう帰ってる。そんな日々が続きました。
これはもう照れじゃなくて、ただ嫌われたんじゃないのか?デートから帰って、振り返ってみたらめちゃくちゃ気持ち悪くなったとか?いやいや、そんなわけがない!だって楽しかったって言ってたし!そうだポジティブに考えよう!
これはシンプルに「告白の返事をまだ考えてる」だ!!
待つしかないか。仕方ない。
そう思った瞬間、LINEが来た。
「今まで返信しなくてごめんなさい。今日の放課後、お話があるので、この前行った公園のベンチで待ってます。」
ついにきたーーーー!!どうしようどうしよう!!緊張しすぎてやばいて!!でも学校で会うのに大丈夫かな?
そう思っていたが、その日学校に姫宮さんは来なかった。
姫宮さん大丈夫かな?それだけ大事な話ってことかな?なんだろう?
ずっと姫宮さんのことを考えていたら、放課後になり、僕は約束の公園へと向かった。
僕がポジティブになった話をしたベンチに行くと、制服姿の姫宮さんがいた。風邪とか引いてないっぽくてよかった〜。
「姫宮さん、今日学校休んでたけど大丈夫だった?」
「すみません。緊張してあなたと顔を合わせづらくて休んでしまいました。」
「そっか、元気でよかったよ。」
「はい、体調は大丈夫です。」
姫宮さんはベンチに座った。それに続いて僕も姫宮さんの隣に座る。
「それで、姫宮さん。話ってなに?」
「そうですね。少し昔の話をしてもいいですか?」
「うん、大丈夫だよ。」
「私、昔から思ったことをストレートに言ってしまう性格だったんです。直感とかそういうのが鋭くて。この人いい人だなとか悪そうな人だなとか大体パッと見ただけでわかるんです。それで言い方もよくなくて、少し言葉にトゲがあったのも悪かったですね。今ほどではないですけど。それでも小学生の頃や中学生の頃は友達がいたんです。でも私の友人関係は崩れ去りました。ある日友達が『好きな人ができた』と言ってきたんです。その相手はクラスで1番モテる男の子でした。でも私にはわかりました。その男の子は、女の子を不幸にすると。実際、私の友達たちが好きになった男は、告白してきたと晒し上げられたり、二股かけられたりという男ばっかりでした。しかも友達たちが苦しんだあと、私は彼らに告白されるのです。それでもう友人関係は崩れました。さらに男たちは私に振られたあと、自分の株が下がらないように私の悪い噂を流しました。そこで学校内に味方はいなくなりました。中学でもそうでした。今度こそはと思ってもダメでした。男はクズばっかりで、友達関係は絶対に裏切られる。それが私の結論です。私に近づいてきた人は、みんな不幸になるし、みんな私を裏切るのです。私は高校で親しい人をつくらないようにしてきました。これからもそうです。だから、あなたの気持ちに応えることはできません。すみません。」
姫宮さんは、過去を語ってくれた。
壮絶だったと思う。誰にも信じてもらえなくて、みんな離れていって、ずっと孤立して生きてきた。
でも、ふざけるな。僕を舐めるな。そんな奴らと僕を一緒にするな。これは久しぶりに怒ったぞ!今からそれを教えてやる!
「姫宮さん、僕を舐めんじゃねえ!!僕をそんな奴らと一緒にするな!!僕は姫宮さんが好きだ!!そこらへんの奴らみたいに顔だけで選んだわけじゃない!姫宮さんの性格も優しさも表情も行動も発言も全部全部好きなんだ!!過去のクソな友達やクソ男どもみたいに僕は絶対に姫宮さんを裏切らない!!気持ち悪いって言われてもずっとそばに居てやる!!僕は姫宮さんと結婚して姫宮さんを絶対に幸せにするんだ!!だから、僕と結婚を前提に付き合ってください!!!!」
言ってやったぞ!言ってやった!!怒ったから言ってやったぞ!!
え?でも待てよおい。僕、今、結婚を前提にとか言ったか?え?マジで?
は、早くない?やばくない?引いてない?
そう思って姫宮さんを見ると、固まっていたが、徐々に顔が赤くなっていき、プシューと音が鳴るほど真っ赤になってしまった。
これはやばいてやばいて!どうしよう!
「え、えっと、その、今のはえっと、」
「は、はい。」
えっ?今なんて言った?はいって言った?肺じゃなくて?はい?どういう意味だっけ?イエスってこと?オッケーってこと?つまり、僕と姫宮さんが結婚を前提に付き合うってこと?
「えーーーーーーーーーーー!!!!ま、ままま、マジですか?」
「あ、あなたが言ってきたんでしょ!なんで驚いてるんですか!」
「えっ、だって、結婚前提だよ?」
そう言うと、また姫宮さんは顔を真っ赤にする。
「わ、わかってます!!だからそれでいいって言ってるんですよ!!」
「えーーーーーーー!!!ほんとに?ほんとのほんとに?」
「もううるさいですね!!だからほんとです!!」
「いいいいいいやったーーーーーーー!!!!!!!」
僕は大好きな人と婚約できたらしい。
人生諦めずポジティブに頑張りまくればなんとかなるものらしい。
これはそういう物語である。
あきらめの悪いポジティブバカな僕が毒舌すぎて誰も近寄らない冷姫を落とすまで もろもろこしこし @moromorokoshikoshi
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