第13話 side姫宮冷華inデート
日曜日、私は少しだけソワソワしていました。
だって、同年代の人とどこかへ遊びに出かけるなんて初めてなんですから。それも、男の人で、で、デートなんて。
いつもはしない化粧も少しだけして、髪も整え、良い天気だったので、お気に入りの白いワンピースを着ていきました。
慣れない化粧をしたせいか、待ち合わせの時間にはギリギリになってしまいました。
するともう待ち合わせの場所には、彼がいました。待たせてしまったでしょうか?
待ってないとは言ってくれましたが、何か今日は彼の様子がいつも以上に変です。
聞いてみると、彼はいきなり私にかわいいとか言ってきたんです!
彼はいつもいきなり褒めてくるのです!不意打ちすぎるのでやめてほしいです!
私がその不意打ちで照れてしまっていると、彼は追い討ちをかけてきました。
服装も髪も化粧も、私が気にかけたところ全て言い当ててきたのです!本当に彼はどれだけ私のことを見ているんですか!
気持ち悪いとも思いましたが、同時に少しだけ嬉しいと感じてしまったことは認めましょう。でも少しだけですからね!
それから私たちはパスタを食べに行くことになりました。
お店に入ると、とても良い雰囲気で、さらにメニューを見ると、どの料理もとても美味しそうでした!
本当にどれも美味しそうで悩んでいると、彼が自分の分も頼んでいいと提案してくれました。
ちょっと見直しました。彼の評価を、優しいかもしれない人から、優しいと思われる人にまで上げなければなりませんね。
注文を頼み、会話をした後、パスタが来ました!
見た目もやっぱり美味しそうでしたが、食べてみると本当に美味しくて幸せに気分になりました!しかし、視線を感じて前を見ると、彼が私をニヤニヤしながら見ていました。本当に不快な男です!
でも、彼はそろそろ交換しようと言い出し、私と彼はお皿を交換しました。
彼のパスタを食べてもとても美味しく、彼がこのような提案をしてくれたことに感謝しなければなりませんねと思っていたその時、彼はとんでもないことを言い出したのです。
か、かかか間接キスですって!!考えてみればそうです!私が食べていたものを彼が食べ、彼が食べていたものを私が食べる。こんなの、カップルがすることじゃないですか!!
私はすぐにお皿を取り返そうと思いましたが、時はすでに遅く、そう、私は彼のパスタをもう食べていたのです。
本当に不覚です。こんな罠があったとは!彼の評価をまた変更せざるを得ません!優しいと思われる人から、ウジ虫未満まで下げないとですね。
先ほどは不覚を取りましたが、もう次はありません。今度は、映画館に来ていました。
恋愛映画を見るそうです。私はほとんど見たことがないですが、興味はあるので楽しみですね。
チケットを買おうとすると、受付の方がカップルシートを薦めてきました。カップルシートのほうが安くなると説明をされました。
もちろん彼とはカップルではありませんが、別に安くなるのであればそれでいいでしょう。彼であるなら、不思議とそこまで嫌悪感は湧かないのです。どうしてでしょうか?
しかし、行ってみると、意外とカップルシートは狭く、彼と腕が触れてしまうような距離でした。
意を決してすぐに座ると、彼も私の隣に座りました。やはり腕は当たり、たまに手も当たってしまいます。
正直、緊張してしまいましたが、そこからは映画に夢中になってしまいました。恋愛映画は初めて見ましたが、感動しますね。でも人を好きになるっていうのはどういう気持ちなのでしょうか?私にはまだわかりません。恋をしているヒロインの方が羨ましいです。そんなことを考えていると、涙が出てきてしまいました。
映画が終わった後も彼に指摘されました。とても恥ずかしかったですが、本当にどうして私は泣いてしまったのでしょう。
あの日以来、涙なんて流さなかったはずなのに。
映画館を出た後、私たちはケーキが美味しいというカフェに来ていた。
メニューを見ると、また全部美味しそうで迷ってしまった。
するとまた彼は自分の分も頼んでいいと言ってくる。今度は騙されないですよ!ウジ虫未満!!と思いましたが、食べる場所を変えれば大丈夫だと説得され、仕方なく応じることにしました。仕方なくですからね!別にそこまでしてケーキが食べたかったわけじゃないですから!
映画の感想を話していたら、ケーキが来ました。本当に美味しそうです!
ショートケーキを食べてみると、今まで食べてきた中でもトップを争うくらい美味しくて本当に幸せな気持ちになりました。
チョコレートケーキも食べたいと思い、彼を見ると、また変な顔で私のほう見ていました。チョコレートケーキを食べたいと言うと、彼はまたもや突拍子のないことを言ってきました。
デートだから、あ〜んしたいなどとほざいてきたのです!!本当に最悪な男だと思いました!しかし、ここまでショートケーキが美味しいなら、チョコレートケーキも絶対に食べたいです。仕方なく、本当に仕方なく、私は彼の要求に応えることにしました。
あ〜んと言い、彼が口に入れてくれるのを待ちます。くっ、この男は悪魔ですか!彼にチョコレートケーキを食べさせられると、その美味しさに全てのことを忘れました!あ〜んでもなんでもいいからもっと食べたい!そう思いました。
結局、彼にほとんどあ〜んしてもらうことになってしまいました。しかし、やっぱり不思議とそこまで嫌悪感も湧きません。彼だからなのでしょうか?
カフェを出たあと、私たちは公園に行きました。公園を歩くなんて久しぶりでした。
するといきなり彼は、幸せだなんて言ってきたのです。彼はいつも突拍子に褒めてきたり、嬉しいとか幸せだとかプラスなことを言ってきます。私の悪口もわけのわからない解釈をしてきますし。今まで気になってきましたが、どうして彼はここまでポジティブなのでしょうか?
彼はどうしてポジティブなったのか教えてくれました。彼が昔暗かったなんて信じられませんが、事実なのでしょう。彼にも彼なりの理由があって、バカを演じてきたことがわかりました。少なくとも彼はただのバカじゃありませんでした。
そんな感じで彼のことを考えてながら、歩いていると、今日のデート、楽しかったかと聞かれました。
今日は本当にいろんなことがありました。遊びに出かけるのは初めてでしたが、振り返ると本当に楽しかったです。待ち合わせをした駅前、お昼ご飯を食べたイタリアンのお店、ドキドキした映画館、ケーキを食べたカフェ、彼の過去を知った公園、全てが私の大切な思い出になるでしょう。
彼には本当に感謝しないとですね。家の近くまで来たので、帰ろうとすると、彼に呼び止められました。
なんだろう?と思って振り返ると、彼は、いきなり、こ、告白をしてきたのです!本当にいきなりすぎます!!いつも彼はいきなりなのです!!
いきなりすぎて焦った私は、考えさせてくださいなんてことを言ってしまいました!
それから恥ずかしくなって、すぐにダッシュで家に帰ってしまいましたが、本当にどうしましょう。
彼の告白を保留にしてしまいました。
私は彼のことを本当にどう思っているのでしょうか?正直、嫌悪感はもうないですし、好きか嫌いかと聞かれたら、好きなのかもしれません。
彼だけは私と離れることなく、そばに居続けてくれています。
彼のそばいると、楽しくて、心があったかくなります。
でも、私は、本当に誰かのそばに居てもいい人間なのでしょうか。私と一緒にいるとみんな不幸になる。絶対に離れていく。
やっぱり私は親しい人を作ってはならないのかもしれません。
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