第10話 姫宮さんとデート!3
イタリアンのお店を出たあと、僕たちは映画館へと来ていた。
だって、やっぱりデートといえば映画館でしょ!
暗い中で感動する恋愛映画なんて見ちゃって、泣いてる姫宮さんの手をそっと握っちゃたりなんかしちゃったりして!
恋愛映画見たあとだから、姫宮さんも恋したくなっちゃったりして!
近くには僕がいて、今まで気づいてなかったけど、私、貴志くんのことが好きだったんだとかなっちゃったりして!!
まあこれは夢ですがね。正直、姫宮さん、恋愛映画とか好きそうにないもんね。絶対泣かないだろうなぁ。まあ、でもとりあえず提案だけしてみますか!
「姫宮さん、この恋愛映画見ようと思うんだけど、いいかな?なんかすごい感動するらしいよ!」
「恋愛映画ですか。正直、あまり見たことはないですが、いいですよ。」
やっぱりか〜。でも、姫宮さんと恋愛映画見れるだけでよしとしよう!
チケットを買いに行くと、受付のお姉さんがとんでもないことを言ってきた。
「お2人はカップルですよね?この映画は、カップルシートで見ると、カップル割になるのでお安くなりますよ!どうしますか?」
超絶最高展開きたーーー!!か、カップルシートだと?そんなもの空想上のものかと思ってたけど、実在するんだ!
しかもこのお姉さん、僕たちのことをカップルだと言ってくれたぞ!なんとまあ素晴らしいお姉さんだ!チップとして5万円ほど渡したいな!
でもどうする?カップルシートかますか?これは千載一遇のチャンスといえよう!いやでも姫宮さんが嫌だったらやめておこう。無理強いはよくないしね。
「姫宮さんどうする?嫌だったら、普通の席でも全然大丈夫だよ!」
「いえ、カップルシートで大丈夫です。これくらいなら別に嫌ではないです。」
マジですか姫宮さん!やったーーー!!これは嬉しい!!姫宮さんとカップルシートだーー!!なんか最近、ほんとに姫宮さんの僕への対応が結構柔らかくなってきてるぞ!これはいい傾向だ!!嬉しすぎる!!
「ありがとう!じゃあ、お姉さん、カップルシートでお願いします!」
チケットを買い、そのまま中へと入った。
カップルシートに着くと、2人の間の隔たりがなく、腕がぶつかっちゃうような狭さだった。
姫宮さんはそそくさと座り、僕も覚悟を決めて隣に座った。
やばい、姫宮さんの腕が当たってる!!
この時、僕の五感はこれまでの人生で最も研ぎ澄まされていた。
姫宮さんの細い腕の感触。腕から伝わる姫宮さんの体温。姫宮さんの匂い。姫宮さんの息遣い。
あっ、やばい。今、僕、最高に気持ち悪くなってる。落ち着け貴志。ステイクールだ。気持ち悪い思考は捨てろ!僕はスーパー紳士なんだ!
あっ、今、姫宮さんの手が当たった。
神よ。あなたは僕になんていう試練を用意したのでしょうか?
姫宮さんは麻薬だ!僕の思考を停止させてしまう!
激しい動悸が治らない!緊張がやばい!落ち着け落ち着くんだ貴志!!
やっと近すぎる姫宮さんに慣れてきた時、映画はもう終盤に差し掛かっていた。
やばい、ほとんど見てなかったから、内容が全然わかんない!
えっと、この彼女がもうすぐ死んじゃうと、で、好きな男の子と一緒に思い出を作ってると。でも、私はもうすぐ死ぬからと彼には自分の気持ちを告げないと。
なるほど。
めちゃくちゃ泣けるやん。
終盤から見てるのに、僕は涙が止まらなくなってしまった。ヒロイン、あんたはええ人や!来世では絶対幸せになるんだぞ!!
すると、隣から鼻をすする音が聞こえてきた。も、もしかして、姫宮さんも泣いてるのか?暗いし、涙も止まらないしでよく見えないが、これは多分泣いてる!姫宮さん、恋愛映画見て泣くタイプなんだ。
なんだそれ!かわいすぎるでしょ!
さっきのイタリアンでもそうだったけど、姫宮さんの新たなかわいいとこ見つかりまくりじゃん!!
やばいどんどん好きになっちゃうな!
映画が終わり、明るくなった。
姫宮さんは泣き止んでいたが、目の周りはしっかり赤くなっていた。
「めちゃくちゃ感動したね!僕、泣いちゃったよ!」
「ええ、中々おもしろかったですね。あなたは絶対泣くと思ってました。私は泣かなかったですけど。」
「え?絶対姫宮さん泣いてたでしょ!」
「な、泣いてなんかないです!」
「だってほら、目の周り赤くなってるし!」
「こ、これはあれです!目にゴミが入っただけです!泣いてないです!!」
泣いてたことをごまかす姫宮さんもかわいいなぁ〜!
姫宮さんの好きなところがどんどん増えていってしまう!デートは最高だ!
いや、ちょっと待てよ?僕だけどんどん好きになっちゃってどうすんだ?やばいぞ!姫宮さんに僕ももっとアピールしなきゃ!
でもまだまだこっからだ!がんばるぞ!
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