第9話 姫宮さんとデート!2

「姫宮さん何か食べたいものある?」


「あなたの食べたいものでいいですよ。」


「じゃあパスタとかどう?」


「大丈夫ですよ。」


「じゃあ決まり!」


 姫宮さんがそう言うことを見越していた僕は昨日めちゃくちゃ調べた中から、中々オシャレで値段もお手頃なイタリアンのお店に行くことにした。

 姫宮さんも了承してくれてよかった〜。


 お店の行こうと姫宮さんと歩いていると、たくさんの視線を感じる。

 そう、ハイエナようなクソ男どもが姫宮さんをチラ見したり、二度見したり、じっくり見たりしているのだ!姫宮さんに変な視線を向けやがって!!まあ、気持ちはわかるがな!!でも姫宮さんはダメだ!


「ガルルルルルル!」


 僕は周りの男どもに威嚇しながら歩くことにした。これで近寄ってくることはないだろう!


「あなたはいったい何をしているのですか。どうせまたバカなことでも考えているのでしょ?」


「ちょっと周りの男たちが姫宮さんに近づいてこないように威嚇してた!」


「あなたはバカですか?不本意ですが、今はあなたが隣にいるから近づいてくるわけないでしょ。」


 え?それってどういうこと?え?え?も、もしかして、僕たちカップルに見られてるってこと?やばいやばい!!だから、たまに睨んでくる男もいたのか〜!納得納得!

 いや〜、しかし、姫宮さんとカップルに見られてるなんて、人生のピークだなぁ!なんて幸せな時間なんだ!!この思い出、走馬灯には絶対出てきてほしいな。


「次はなぜそんなにニヤニヤしているのですか?正直、気持ち悪いです。」


「いやぁ、今、他の人から僕たちカップルに見られてらんだろうなぁとか思ってたら、嬉しくなっちゃって!」


「なっ、や、やめてください!そんな気持ち悪い妄想!今回のデートは仕方なくですからね!借りを返すだけなんですからね!」


「はーい!」


 そんな楽しすぎる会話をしていたら、オシャレなイタリアンのお店に着いた。

 案内された席に座り、周りを見ると、OLさんだったり、マダムだったり、女子大生たちが居た。姫宮さんは大丈夫だけど、ぼ、僕、浮いてないよね?大丈夫だよね?いや、大丈夫だ!今日の僕はオシャレなんだ!絶対絶対大丈夫だ!!


 そんな格闘が終わり、前を見ると、姫宮さんがメニューを見ながらめちゃくちゃ悩んでいた。


「どうしましょう。これも美味しそうですし、こっちも食べてみたいですし、これも捨てがたいですね。これは悩みますね。」


 どれにしようか迷いまくってる姫宮さん、か、かわいすぎる!!なんだこのギャップは!!スパッと決めるタイプかと思ってたのに!!こんなかわいいところもあるなんて!!ずるすぎる!!こんなのどんどん好きになっちゃうじゃないか!!


「姫宮さん、僕の分も頼んでいいよ!悩んでるんでしょ?あとからシェアすればいいんだからさ!」


「え?い、いいんですか?」


「うん!僕、パスタならなんでも大好きだし!」


「あ、ありがとうございます。」


 その後、姫宮さんは10分ほどまた悩んで、和風パスタとカルボナーラを注文した。


「姫宮さん、パスタ大好きなんだね!」


「うっ、は、恥ずかしいのでさっきの記憶を即刻消し去ってください!」


「ダメだもんね!あんな珍しい姫宮さんはかわいいすぎて一生忘れないもんね!!」


「や、やめてください!!もう忘れなさい!!」


 そんな攻防をしていたら、注文したパスタがやってきた。


「わぁ、めちゃくちゃ美味しそう!」


「それは同感です。」


「「いただきます」」


 やばいこのパスタめちゃくちゃ美味しすぎる!!昨日めちゃくちゃ調べてよかった〜!

 僕が食べているのが、カルボナーラで、姫宮さんのが和風パスタである。

 姫宮さんも美味しそうに食べてる。かわいいなぁ〜。かわいい女の子が美味しそうにごはんを食べてる姿って一生見てれるなぁ〜。最高です!!


「ちょっと、あまりこっちを見ないでください。」


 おっと、姫宮さんが僕の視線に気づいてしまったようだ。くそう、見つめすぎたか。


「ごめんごめん!あっそうだ!そろそろ交換しない?」


「そうですね。わかりました。」


 僕と姫宮さんは、お互いのパスタのお皿を渡し合う。

 お〜、和風パスタも美味しそうだ!!いっただきまーす!!いや、ちょっと待て?これってもしかして間接キスか?もちろんフォークは自分のだけど、これ姫宮さんがさっきまで食べてたパスタってことだよな?やばい、気づいてしまった!なんか緊張してきた。どどど、どうしよう。


 ふと前を見ると、姫宮さんはふつうに美味しそうに食べていた。

 そ、そうか、気にしてたのは僕だけか!姫宮さんは間接キスとか気にしないっぽいな。よ、よし食べるぞ〜!!食べちゃうぞ〜!


「どうしたんですか?食べないんですか?」


 僕がごちゃごちゃと悩んでいると姫宮さんが不思議そうに話しかけてきた。


「い、いや、た、食べたいんだけどね!あの、か、間接キスだなぁ〜って思って、緊張しちゃってね!ははは。」


 やばい!言ってしまった!これは気持ち悪がられる!ミスった!ここまで完璧だったのに!!


 すると、姫宮さんはキョトンとした後、すぐに顔を真っ赤にしてしまった。

 この反応はどっちだ?怒ってるのか?恥ずかしがってるのか?


「は、早くそのパスタを返してください!あなたには食べさせません!!」


 多分これは恥ずかしくて怒ってるんだ!いやでも待てよ?今、僕の和風パスタが戻ってきても、さっき姫宮さんが食べてたから、結局、間接キスになっちゃうよね?


「え?でも姫宮さん、僕のパスタ食べてたから、また交換しても結局同じことになっちゃうよ?」


 口に出しちゃってた。


「じゃ、じゃあ両方食べます!!」


「ま、待ってよ姫宮さん!変なこと言ってすみませんでした!!」


 その後、姫宮さんをめちゃくちゃ説得して、和風パスタを取り戻すことに成功した。でも僕も姫宮さんも、間接キスを意識しすぎて、顔を真っ赤にしながら食べることになってしまった。

 味、全然わかりませんでした。


 お会計は、予想通り、僕が払おうとしたら、「また借りをつくるわけにはいきません!」と言われてしまい、割り勘だった。


 お店を出る時も、顔を真っ赤にして「一生の不覚です」と呟いていた姫宮さんが最高にかわいかったです!


 ごちそうさまでした!!

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