憤怒
「なぁ…、目を覚ましてくれよ…」
これで何度目だろうか、
病室で横たわる君に投げかけるのは…
「なんでいつもいつもそうやってワガママいうかな!?」
「うるせぇなぁ、俺だってお前のために色々してやってるだろ。たまのワガママくらい黙って聞けよ」
あぁ、また思い出す
なんて身勝手なやつなのだろうか
「信じらんない!そうやって俺は俺はって、わたしだって頑張ってますけど?」
「あぁ、はいはい。いつもありがとうございます!」
どうしてあのとき、ごめんの一言が出てこなかったのだろう
「もうやってらんない。出てく…」
「あっそ、勝手にしろ」
なんであのとき、君をとめなかったのだろう
本当は、君がいないだけで俺はこんなにも空っぽなのに
なぁ…、一昨日の俺よぉ…。
なんでそこで止めなかったかなぁ…。
お前、もう一生謝ることも、文句を言うこともできなくなるんだぞ?
そのほんの数分後には、意識が戻る保証がなくなるんだぞ?
なんで…、あのときくだらない怒りに任せてあんなこと言っちまったかな…
ここは…、どこだろう
真っ白のなかに、私は1人佇んでいる…
早く帰らなきゃ
彼が待ってるのに
なのに、足が動かない…
どうして、あそこで飛び出してしまったのかな
どうして、ごめんねって言えなかったのかな
こんなつもりじゃなかった…
ちょっと公園で気持ちを落ち着かせて…
それで…、また笑顔でただいまって…
帰りたい
あなたと2人で笑いたい…
私は身勝手だ
それでも、あなたが好きだから
あなたのそばにいたい…
なのに、どうして…
どうして、動いてくれないの…?
動いてよ、ねぇ…
この手を握り続けて、何が変わる訳でもない
今さら後悔したって遅すぎる…
「なぁ、いい加減、目ぇ覚ましてくれよ…」
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