自害
自分のことは自分が一番わかってる
もう疲れきってしまった
「あなた、今までありがとね」
「そんなこと言わないでよ。そんな、もう最後みたいなみたいな」
「そう言われてもなぁ…。ほんとに最期だもん」
「やめてよ、縁起でもない。僕はまだ、君と一緒にいたい」
「ほんと、ワガママだなぁ…。男の子がそんなこと言ってていいのぉ?」
「構わないよ…。それだけ僕は、君を『必死』で愛してる。まだ、離れたくないんだ!!」
「わたしだって、必死さじゃ負けてないと思うなぁ」
「…、そうだね。」
「ねぇ、あなたはわたしと一緒で幸せだった?」
「うん、君がそばにいてくれてホントに良かった。
この60年、耐えずそう思ってきた。」
「そう…、よかった…」
初めてあなたに出会ったとき
不思議とその目に惹かれた
独り殻に閉じこもっていたあなたを
何度も強引に連れ出した
あなたが悩んだら、わたしは直ぐに駆けつけた
それが、あなたを連れ出したわたしの責任だと思ったから
それが、あなたを愛することだと思ったから
今日の自分も、明日の自分も、あなた以外の全てを
犠牲にしても構わなかった
そうやって、走り続けてきた
自分を…、殺して…
これで本当によかったのかな…
ただの自己満足で終わってなかったかな…
本当に必死で彼を愛せていたかな…
「ねぇ、この思いは…、あなたに伝わったかな?」
僕は彼女を必死で愛せていただろうか
必ず死ぬとしても、少しの迷いもなく
彼女に手を差し伸べる覚悟を持っていただろうか
いつも隣で笑う彼女の涙をこれまで見た事があったか
彼女が、僕に何かを求めたことがあったか
わからない
あったかもしれない
でも、思い出せない
どうして今になって気づくのか
もう手の力はだいぶ弱まっている
「うん、伝わってたよ…。痛いほどに…。
痛いほどに、今も伝わってくる…」
もう、あのときに戻ることは出来ない
喉の奥の痛みが、心臓まで響く
どうして、たった数秒を彼女に使うことを惜しんだのだろう
どうして、本気で悲しむ彼女に気づけなかったのだろう
どうして、どこまでも自分勝手なんだろう…
「どうして…、ここまで一緒にいてくれたの?
どうして…、こんなにもきみは優しいの?」
そんなの…、決まってるじゃん…
あなたを愛しているから…
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