隠し事

「なぁ、最近彼女とは仲良くやってる?」


俺には好きな人がいる


「まぁ、ぼちぼち。そっちは?」


「昨日こっぴどく怒られたよ。返信が遅いって」


こいつはその気持ちを打ち明けたとして、受け止めてくれるだろうか。


「そりゃ大変だなぁ。こっちはそういうのぜんぜん気にしねぇよ。」


「ホントに?女子ってみんなうるさいもんだと思ってた」


きっと無理だろう…。迷惑だろう。この関係が壊れてほしくない。


「いや?俺のとこなんかあいつがゲームが忙しいとかで、丸1週間連絡なしとかざらだぞ?」


「それはむしろ羨ましいなぁ。僕のとこは朝から晩までずっと連絡とってるから、たまに疲れちゃう」


「はは、確かにそれは大変そうだ。ご愁傷さま」


「僕にとっては笑い事じゃないよ。ちょっとほかっといたらすぐこうだもん」


「なかなか大変だな、お前も」


「はぁ、勘弁して欲しいよほんと」


だから、僕はこの気持ちを封印した。


「惚気話ご馳走様です」


「全然そんなんじゃないから」


そんな素振りを見せないで、彼女を作った。


「俺にはめちゃくちゃ幸せそうに聞こえたが?」


「めちゃくちゃではないよ」


自分の思いを否定し続けた。


「その感じは口だけだな」


「うるさいなぁ」


曖昧にして、誤魔化した。


「ごめんごめん」


「ほんとに、あの子には振り回されてばっかだよ」


知らないって、ただひたすらに目を背けた。

でも…、ホントは…。


「まぁ、そう言ってやんなって。好きなんだろ?」

「まぁ、そりゃ…、ね」























「大好きに決まってんじゃん」

「だよな。俺も。」















この言葉の真意に、きっとこいつきみは気づかない。

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