優しさ
すごく上手だね
飛びっきりの笑顔とともに、そう言ってくれた。
あなたの言葉は私の光だった。
ずっと好きだった。
みんなの前に立って指揮を執る姿。
仲間とふざけあって怪我をする姿。
たまに落ち込んでしまった姿。
私はあなたが好きだった。
「今日も一日お疲れ様」
「おつかれ」
「いやぁ、三限はマジでビビった…。急にみんなにお手本見せろってさぁ、タチ悪いよなぁ」
「あれは確かにね。でも、すごくかっこよかったよ?」
「え?ホントに〜、照れるなぁ」
隣で私の手を優しく包むあなた。
手よりも先に頬が熱くなる。
「ホント、なんでも出来ちゃうよね…。」
「そんなによくできてたかなぁ?」
「うん、私はあの絵、とっても好き」
「そう?俺は君の絵の方がよく出来てたと思ったんだけどなぁ」
あなたは私のことをよく見てくれてる。
あなたは私のことをなんでも知ってる。
今、何を求めてる?何を言えば喜ぶ?何を言えば悲しむ?私がしたいことは?
あなたにとっては、1+1より簡単なこと。
「ねぇ、時間あったら2人でご飯食べて帰ろうよ」
ほら、やっぱり
あなたは本当に私のことが好き。
私は本当にあなたのことが好き。
だからね、
もう、何もかも終わりにしよう。
私は知ってるよ。
あなたが苦しんでること。
私があなたの隣にいると、あなたは羽ばたけない。
私が、あなたに甘えてしまうから。
私が、あなたを縛ってしまうから。
だから、やめよう?
あなたは行って。必ず追いつくから。
あなたに夢を叶えてほしい。
後悔先に立たず。
「僕」があのとき否定していれば、何か変わったのかな。
君といたいと叫べば、何か変わったのかな。
僕は頷くことしかできなかった。
君の愛に甘えることしか出来なかった。
きっと君も気付いている。
一度解けた糸は二度と交わらないことを。
それなのに、君は言った。
別れようと。
それなのに、僕は言った。
別れようと。
「綺麗な夕日だね」
「うん、とっても」
「まるで絵画みたい」
「君の絵のタッチに似てる」
「あなたは風景画は苦手だよね」
「そろそろ帰ろうか」
「うん。そろそろ帰ろう」
「「また明日、会おうね」」
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