10.10.体験授業(2)
とうとうこんな姿でやってきてしまった体験授業。
流石に全員を纏めてというわけにもいかないんだろうな、だいたい四人一組で色んな学科に割り振られてるみたいだった。これも成績順だから僕は
「はじめまして。今日一日貴女たちをサポートするM2の
リリカ……じゃないのか、名字が理一文字で名前にも理が付くんだ。しかも “リカ” ってね。
「同じくM1の
こっちもリカ……じゃなくてユリカか。音的には “リカ” だけど。
「はじめまして、
「た、
「
「(
ん? ああ、リリカさんの所為で “リ” と “カ” が気になっちゃってたよ。
「僕は――」
「僕?」
「えっ?」
眉間にシワを寄せて僕を睨んでくるリリカさん。
「ほらほら、ボクっ娘ってやつですよ~、先輩。顔、怖いですよ? 怯えられてますよ?」
「済まない、男は苦手なんだ。さっきから男の気配がしてたので、つい。しかし……」
全身を舐め回すように見てくるリリカさん。僕の事疑ってる?
「
「色々あって名字が変わったので」
「やっぱそうなんだ~。去年のミス
「ええ、まあ」
今年もだけど。ついでに、ミスターもだけど。
「そんな娘が男なわけないじゃないですか」
「確かにそうね。そもそも女子大に男を送り込んで来るはずがないか」
「そうそう。私も
突然抱きついて来る
「ちょっと!」
「ほら、おっぱいだって……」
胸へと伸びてきた手が一瞬固まる。
「どうした?」
「やわらか~い。先輩も触って確かめてみます?」
「そこまでする必要は無い。男でないならそれでいいのだ」
と、そのまま今日の体験授業の段取りを説明していくリリカさん。その間も
「(へ〜、君、面白いね)」
耳元でそんなことを囁かれた。
「あの……、
「なになに?
「そこ、静にしないか。
「は〜い」
「(もう、何で抵抗しないのよっ)」
「(変に抵抗したらバレちゃうかと思ってさ)」
「(触らせたら偽物だって判っちゃうじゃない)」
「(そうだけど……)」
多分そこばバレてる。パッドが変な動きしてたもん。今もちょっとずれちゃってるしさ。
「(兎に角、これ以上の接触は避けること、いいわね)」
「(ありがとう、
ずっとこうしてるわけにはいかないから
「(では、こちら側は私がお守りしましょうか)」
空いている腕に
「(
「(あら、でももしものことがあるといけないわ。しっかり両側をガードしておかなくちゃ。何なら
「(必要ないからっ)」
「聞く気が無いなら説明は以上だ。日程表に従って好きに体験していくがいい」
と不機嫌そうに出ていってしまった。
「これで一人クリアね」
「そのようですわね」
結果的にそうかもしれないけど、いいのかな、それで……
◇◇◇
結局、リリカさんは何処かに行ってしまい、代わりに
「じゃあ、皆んな気をつけて帰ってね〜。あと、
「僕……だけ?」
「そ。心配しなくてもほんの1、2分だから。ほら、他の皆んなは帰った帰った、
と
「個人的に興味があるんだけど〜、今度お姉さんとデートしない?」
「デートって……」
「大丈夫。女の子の格好でもいいからさ。はい、これ私の連絡先」
やっぱバレてたね……
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