04.13.特別なアカウント
兄貴から貰ったアカウント、気になるあの娘の居場所を知るための特別なアカウントだ。
変な病気が流行して女になった奴とか、男になった女とか居るけど、僕は生まれてからずっと変わっていない。それは
中学が同じだからって、話したことが有るわけでもない。ただ、見ているだけで幸せだったんだ。だから同じ高校を受験した。まあ、何とか合格したけど、最下層の12組。
「やあ、
「
先輩の言う通り、昨日から急に
「ま、今日一日待ってやっても良い。明日にはマイ・プリンセスの居場所が判るようにしておけよ。寂しくて死んでしまいそうだ」
「でも、僕にもどう――」
「今日一日だ。聞こえなかったのかい?
「なんとか……してみます」
「良い返事だ。期待してるよ」
期待されても僕にはどうしていいか解らないんだよ。兄貴に貰っただけなんだから。それに、兄貴だって自分でこんな仕組み作ったわけじゃないって言ってたし……
◇◇◇
翌日。
「ごふっ」
「きったねえなぁ。ゲロ吐いてんじゃねえぞ、糞デブがぁ」
「ぶはぁ」
「手加減しておけよ、
顔や腕、痣が目立つ所は避けて腹を。誰の指示って、勿論
「分厚い脂身で覆われてるんだ、これぐらいどうって事ねえだろう」
「まあ、確かに。それより、期待してたんだけどねぇ、
「はぁ、はぁ、はぁ、僕には……、はぁ、はぁ、どうにも……出来ない……、はぁ、はぁ」
「おいおい、今更出来ないはないだろう。覚えていないのかい? 1年間の契約だったはずだ。全額渡したつもりだったんだけど、僕の勘違いだったのかい?」
「それは……」
僕は喜んで引き受けた。もともと
「ごふぁっ」
「おい、
「ああ、わかっているさ。
「はぁ、はぁ、はぁ、ふぁい、はぁ、はぁ」
何とか……しないと……
途方に暮れていると、評議委員の一人から気になる情報がもたらされた。例のミス
そうか、その所為で僕は……
そもそもお前が居なかったら
◇◇◇
放課後、昇降口で
居場所が判らなくたって、授業が終われば下校する。必ずここを通ってね。時刻は間もなく18時。ここでこうして待ってれば
でも、現れなかった。
いったいどうやって……
次の日も、その次の日も、いつまで待っても
だから、今日は授業をサボることにした。サボって特選の校舎のトイレ近くに隠れて待つ。いくらなんでも丸一日トイレに行かないなんてことは無いんだろうから。
でも、
代わりに現れたのは
「待っていても
「僕は別に……」
「今日は朝からここに居るみたいだけど、あまりしつこいと被害届を出すことになるんだが」
「ひ、被害届?」
「ああ、君のしていることはストーカーだよ。自覚はないのか?」
「ぼ、僕はただ、
違う、今日は
「
「そ、そんな……」
「警告はしたよ」
そもそも何で僕が此処に居るってわかったんだ?
それに『朝からここに』って言ってたよな。僕の居場所が把握されてる?
そんな事ができるのは……、
そうだ、僕に情報が送られてこなくなったのは
「糞う、覚えてろ、
「
誰も居ないと思ってたのに、そこには不気味に笑うイケメンが居た。
「今のは別にそういうんじゃなくて……」
人気あるからな、
「か、監視カメラがあるからね。こんな所で僕を殴ったら……」
「ああ、知っているとも。鬱陶しよな、これ。
「協力?」
「ああ、そうだ。俺もあいつにムカついてるんでな」
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