02.02.すれ違う気持ち
代表挨拶も無事終わり、少し落ち着いたかな。さっきは余裕無かったから話し掛けられても答えられなかったけど、今なら……って、もう今更かな。誰も話し掛けて来ないよね、こんな私には。
私だけの
でも、その甲斐あってか
「注目されていますね、彼女。やっぱり貴方も
そう話しかけてきたのは左隣の
「
「そうでしたか。怖い顔で凝視されていたものですから、男の子に囲まれているのが気に入らないのかと思いまして」
「凝視なんて……」
してたのかな……
「二人はあまり似ていないようだね」
右隣からは
「血は繋がってないから」
「つまりは、義理の姉弟が同じ屋根の下で……」
確かに一緒に暮らしてるけど……、そんな怖い顔しなくても。
「家では殆ど話してないから」
私が無視してただけなんだけどね。だって、どう接していいのか判らないんだもん。私はずっと楽しみにしてたのに。
「そうなんだ」
「良かったですわね、
「止めてくれ
「
やっぱりそうなんだ。
私も気にしないで
でも、本当は男の子なんだよ、
これは言ったらダメなんだけどね。本人の許可なく過去の性別を暴露すると罰せられるの。たとえ身内でも。もちろん、あれこれ詮索するのも禁止。対象者の人権を守る為、だったかな。
「ぼくには色々と事情があるからね。それより、同じ
「うん。それは構わないけど」
事情か。やっぱりそうなんだ。その名前だと公表してるみたいなものなんだけどね……
今の高1の事情は複雑だ。約半数が性徴期性反転症候群を発症したお陰で、ここに居る男子のおよそ半分は元々女の子だったわけだし、逆に、女の子だって半分は元々男子だったって事になる。でも、それは見た目の話であって、もともと心と体の性が一致していなかった人だって居るんだよね。その人たちは心と体が一致したことになるんだ。
だから、恋愛事情は特にややこしい。初期症状が軽かった人は元に戻った事例も確認されてる。私や
私は女の子と付き合えばいいの? でも、途中で元に戻ったら……
じゃあ男の子と? それで元に戻れなかったら?
「ありがとう。ぼくのことは
「私は
「うん、よろしくね、
こんな体になって絶望したけど、こうして友達が出来てみるとそこまで悪くは無いのかも。
何であんな事しちゃったんだろう。何度も話し掛けてくれたのに……
「
「俺は
「あっ、うん、宜しくね」
最前列はこの五人。成績順に座席も決まってるから、
でも、成績上位者同士仲良くって、彼、ちょっと自意識過剰なんじゃ……
「ねえねえ、連絡先交換しない?」
「いいよ~」
「俺もいいかなあ」
「もちろん!」
「私も私も~」
そんな
◇◇◇
帰りも両親と一緒。もちろん、
「良かったよ、
「ありがとう、お
最初は
「
「うん。こんなに一杯」
スマホを見せて嬉しそうに笑う。
ざっと20人ぐらいだったかな、
そして、
「
「私が?」
「嫌なの?」
「嫌じゃ……ないけど」
別に嫌じゃない。どう接していいかわからないだけだもん。でも……、話さなきゃ。
「じゃあ、お願いね」
「うん……」
震える手でノックしたんだけど……、反応がない。
「と、
思い切って声を掛けてみたんだけど……、やっぱり返事はない。嫌われちゃったのかな……
……怖くてできないよ。
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