第二章 運命に逆らおうとしてみたんだが???
そうだ、イメチェンしよう
家族に関する真相を知ってから、既に数日が経った。
家の中の空気は元通りで、変わることもないいつも通りの日々。
俺達の家には平穏が戻ってきた……が!
まだ、問題は残っている。
その問題とは――妹である唯音が、俺の運命の人であるということだ。
あの神様曰く運命は変えられるらしいけど……まあ、簡単にはいかないだろうな。だって、簡単に変わるようじゃ運命の人にした意味ないだろうし。
つーことで、ここから本気で運命回避に向けて動き出そうと思ってるんだが……俺の思いつく回避方法は一つしかないわけで。
その一つが、かなり難易度が高いのである。
神様と話したときに言った気がするが、俺には好きな人がいる。
で、もし彼女と付き合えることになったのならば……これで、回避は成功だ。
妹との結婚も回避、それに好きな人と付き合うことができるだなんて、一石二鳥。最高かよ!
だから、俺はそれを目指す!
……とまあこんなことを言ってみたけどさ、告白して成功する自信なんて更々無いんだよなぁ……。
俺が惚れてるのは、
今現在同じクラスだが、事務連絡以外の会話経験は無し。好きになった弊害と言うべきか、話しかけようにも緊張しちまうんだよなぁ。ほら、俺コミュ障だしさ。
そして俺の告白が成功する気が無い一番の理由は、彼女の容姿。
いかにも元気といった雰囲気を纏った黒髪ポニーテールで、プロモーションもバッチリ。明るく、クラスの中心にいつもいるような人であり、みんなに愛されている人気者。……ま、簡単に言えばサブカル作品等でヒロインポジを陣取っててもおかしくない感じだな。
もちろん、ここでその見た目に反して残念な部分があったり、性格がキツかったりもしない。最早、全男子の理想通りの少女と言っても過言ではないんだよな。
そんな彼女に、俺は――一目惚れした。うん、一目惚れ。恥ずかしながら。
なんらかの感動的なきっかけも無く、それこそラノベのように凝った前振りがあるわけでもない。自分で言うのも小っ恥ずかしいけと、言葉通りひと目見ただけで惚れちまったんだ。
だがよ、感動的なきっかけなんぞどうでもいいと俺は思う。
そもそも、「好きになる」ことが無ければ、恋も何も始まるわけが無い。ま、当たり前のことだな。
逆に言えば、好きになることさえ出来れば後から様々な想いが募ったり、積極的に関わることによって、何かしらのイベントが起こる可能性はいくらでもある。相手のことを好きになった理由なんて、いくらでも後付け出来るってこった。
んま、何かしらのきっかけがないと好きになんてなれないと思ってる人はそれでもいいとは思うけどな。恋愛の価値観なんて、人それぞれだし。
……脱線してきたな、うん。
恋愛経験皆無の野郎の意見なんてどうでもいいだろうし、元の俺の告白大作戦に戻ろう。そっちの方がどうでもいいとか言うのは禁止な。俺も少し思ってるから。
んで、だ。
さっきも言ったように、俺の告白成功率は低い。
相手が相手だし、それ以外にも致命的な点がある。
それは――俺の、容姿だ。
ラノベみたいな前振りは無いくせに、顔はいわゆる「主人公顔」。ちなみに、ここでの主人公は「陰キャ」で「圧倒的に特徴が全くない完璧なフツメン」のことを指す。ぐやじい。俺もイケメンに生まれたかったぞ。なんだよ「完璧なフツメン」って。自分でもようわからんわ。
いやいや、それくらいじゃ致命的でもなんでもないだろって思う奴が、勿論居るとは思う。
でも、相手が相手である。
あ、面食いと言いたいわけじゃなくて、彼女に言い寄ってくる人はいっぱい居るってこと。要するに、俺なんかよりも顔良い奴だってその中に入っているのだ。
だからこそ、俺を選ぶ理由なんてものは無くて、決して俺だけに言えることではないとは思うが、かなりディスアドバンテージがある訳だ。
ほらほら言うだろ? 「ただし、イケメンに限る」とかさ。まさにそれよ。イケメン補正っつーか、なんつーか。
とはいえ、運命回避のためにはそのイケメンを薙ぎ倒さなきゃならん訳で……今更ながらオシャレとかに気ぃ遣ってみるか。効果あるかわかんないけども。
……よし、そうと決まれば唯音のもとに行くとしよう。やっぱり一番大事なのは女子の意見だ。それも相手と同年代の。
あいつだって俺と結ばれること望んでないみたいだし――そもそも望まれる要素が俺にはなさそうだが――、運命回避の為って言えば協力してくれるだろう。
俺はベッドの上でのゴロゴロをやめて、起き上がる。
と言っても具体的に何をすればいいのか分からないので、とりあえず手ぶらで唯音の部屋へと向かうことにした。
☆あとがき
二章開始です。
こっからやっとラブコメらしくなります。
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