攫われた2匹を救出すにゃ
メイとブッチからの信号を受け、マルには心配しないように黙って神社を後にした。まずはメイ達の場所をサーチして転移する。
どこかのマンションのようだが、人の気配は無くメイの入ったゲージとブッチの入ったケージが別々に置かれていた。認識阻害の魔法を解いてメイに話しかける。
【メイ、大丈夫か?】
【トラちゃん?】
【そうだ、どうしてこうなってる?】
【いきなり、私とブッチ君を男の人が何かを鼻に当てられて、気がついたらここにいたの】
【そうか、ブッチも大丈夫か?】
【お腹空いて死にそう】
【そのくらいじゃ死なないぞ、これでも食ってろ】
必殺!ちゅるんを食べ口を切ってブッチに渡す。
【見つかるとやばいから、食べた後はこっちによこせ、メイは大丈夫か?】
【こんな状況で食べる気なんておこらないわ】
【お腹空いたら後で上げるし、絶対に助けるからしばらくはおとなしくしておいてくれ。連れて行ったのは1人だった?】
【多分3人組だと思うけど、他にもいるかもしれない】
【そいつらが戻ってくるまで待つか……】
しばらく3匹でおしゃべりをしていると、遠くのドアの鍵がガチャガチャと回す音が聞こえてきた。
【じゃ、しばらく姿を消すから騒がないようにな、必ず助けるから】
【うん】
この部屋の扉が開いて3人の男が入ってきた。
「どっちが、猫神なんだ?」
「わからん、でも虎柄の子猫はこの2匹だけなんだろ?」
「見た限りこの2匹だから、どっちかだと思うんだが、本当にさらって大丈夫なんか? けっこう罰が当たるって噂だぞ」
「直樹、弱気になるなよ、この猫を連れて行くだけで3000万円ももらえるんだぞ! 及川さんも絶対にこの猫を傷つけるような事はしないと言っているから、そんな罰なんて当たらないだろう。あんな寂れた神社にいるより美味しい飯や冷暖房入った部屋で過ごすほうが幸せだろ?」
「それもそうだな」
「賢治、でも依頼は1匹だろ? どうする?」
「及川さんに聞いてみるか? 判別がつかなかったからどうするか?」
賢治と呼ばれた身長180cmくらいのスポーツマンタイプの男性はスマートフォンを取り出し、どこかへ電話を始めた。
「もしもし、柴田ですが捕まえてきたのですが、同じような柄の子猫が2匹いまして、どちらが猫神かわからないのですが、どうしましょうか?」
「なんだ?2匹いるってことか?」
「ええ」
「区別はつかんのか?」
「はい」
「じゃ仕方ないから2匹とも引き取るわ、でも報酬は猫神だとはっきりしてからだからな、とりあえずの手付金は渡してやる」
「わかりました。それで大丈夫ですので今日にでもお届けします」
情報を整理すると、及川と呼ばれる男がここにいる3人を使って俺に似た2匹を連れ去ったということか…… 猫神の姿の時には金色に光る猫になっているから元はわからないはずだが、何故わかったんだろうか? このまま及川のところまで行ってから理由を調べないと今後も同じような事が起こるかもしれない。こっそりメイのそばに行き小声で話しかける。
【メイ、悪いけど助けるのはもう少し後になるけど我慢してくれ。一緒について行くから大丈夫だ】
【あれ? トラちゃんどこにいるの? 見えないけど】
【姿は見えないようにしているんだ、今から違う場所に行くようだからそこで助けることにする】
【トラちゃんが助けてくれるならそれでいいよ】
「おい、騒ぎ出したぞ! また眠らせるか?」
「大丈夫だろ? あそこで騒がれるとまずいけど、ここで騒いでも問題ないし何より何かあったら3000万円がパアになるんだぞ」
「それもそうだな」
「車の用意したらすぐに連れて行くぞ」
しばらくすると車の準備ができたらしく、2匹が入ったケージをそれぞれ2人で運んで行った。その後ろをこっそり付いていき車に一緒に乗ったが、ワゴン車だったのでトランクのような狭い場所では無く2匹とも落ちつているようだった。車で30分程走ると車が止まりドアが開いた。結構大きな屋敷と呼んだが良いような大きさの庭付きの家がそこにはあった。チャイムを鳴らすと30代後半くらいの男性が出てきて3人に声を掛けた。
「これが猫神と言われている猫か?」
「あの神社にいた猫で虎柄の子猫はこの2匹だけでしたから、間違いないと思います」
「そうか、じゃとりあえず連れてきた手数料としてこれを渡しておく」
及川と呼ばれた男性は3人へ分厚い封筒を1つ手渡した。1万円札だと100万かな?
「ありがとうございます。猫神だったらちゃんと残金をお願いしますね」
「それは間違いなく渡すから、本当に猫神かどうか確認する時間をくれ」
「ではご連絡お待ちしています」
3人はそこで車へ戻って行きそのまま車は走り去って行った。
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