猫神社の祟りは怖いにゃ

 タクシーで戻った関とは別にテレビ局へ戻った3人はすぐに沼田常務の部屋へ行き、先ほどの件をすると共に、関プロデューサーとの仕事は二度と受けない事を宣言した。

 神様からの言葉なので絶対に譲れないという話をしたが、沼田も半信半疑だったので、撮ったばかりの動画を見せる事にして、プロジェクターの準備等をして沼田と鑑賞をすると、そこには気が付かなかったが、金色に光る猫が少し遠くの木の上で立っているのを見つけた。猫神様という神様がいて、それは金色に光る猫だという事は結構有名な噂であったので、沼田も信じるしかなかった。

 沼田からは関に対して違う番組編成があるからこのチームから離れて面白い企画書作りに専念するように連絡してもらうと、関も嬉しかったのかすぐに了承していた。


「これで関が出てくることはないので、猫神様がいうように神社になにかしたら罰が当たることを訴える番組を作れ! もしできなかったらこのテレビ局が呪われるかもしれない。お前らは知らないかもしれないが、先日猫神様のせいで暴力団が1団体壊滅状態に追いやられたので絶対に失敗するなよ」


「はい、できるだけわかりやすく皆さんにわかるように作りたいと思る予定で。猫神様の声が入っていないので、自分たちが聞いた内容をナレーションが何かで付ようと思います」


「できたら放送前にチェックするので出来たら必ず教えてくれよな」


 それから数日後の番組で先日の内容が放送された。まりのの姿はしっかりモザイクがかかっており、ふしぎな少女という事でごまかしてあり身元もわからないような演出をしてくれていたのは助かった。何より自社のプロデューサーの失態を放送したので、やらせではないのかという人と、自社の恥を出したくらいなので本物ではと賛否両論ではあったが、やはり神社になにかあると祟られるという方の意見が多かったようだ。関に関しては近寄ったら祟られるとはっきり言ったので、社内では誰も近づく人もいなくなって自分でも怖くなったのか、まりのが神社へ行くところで、まりのに土下座をして許しを乞うていたが、当然まりのは呪いの事はわからないので関にはいつものような内容を伝えていた。


「じゃ、ちゃんと猫ちゃんと犬ちゃんたちにあやまるの、そして神社へお参りしてしばらく掃除とかするの、そうしたら猫神様も許してくれるの」


 関はそれから飛ぶように上まで駆け上がり、猫や犬たちに謝り神社へお参りをすることをしばらく続けていくと、関もここにいる動物達の魅力にメロメロになったようで、自腹でいろいろ買って持ってきたり、トモ達の動画撮影をプロの目で指摘したりするようになったのを確認したので、堀井チーフには呪いは解けたのでテレビ局にも悪い影響は無くなったことをこっそり伝えたので、ようやく関の禊が終わったようだった。


 関は神社で態度の良くない態度の人たちに実体験を話して、ここの猫たちに何かすると本当に不幸になることを伝えていった。SNSの拡散もあり、この神社での参拝客のマナーも良くなっていき、神社の収益も向上していった。


 そんなある日、マルから子猫のメイとブッチがいなくなって連れ去られたのではないかと相談があった。


「いつまでいたんだ?」


「昨日の朝まではいたのは間違いないけど夕方には誰もみていないという話だった。昨日のお昼に猫たちを物色するように見ていた3人組の若い男性のグループがいたから、そいつらが連れていったんじゃないかな」


「今のところは助けてというサインは来てないから、様子をみようか?」


「そうだな、幸せな生活を送るならそれでいいけどな……」


 まだ譲渡会は準備中で譲渡された猫たちはいないので、しびれを切らした人が連れ去っていったのか? 何らかのサインがくればすぐに対応することにしようと思ったその時に、頭の中にアラートが響いた。メイとブッチからの救難信号だ!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る