神社は敬わなければ祟られるにゃ
奇跡を起こす神社として、数度マスコミの取材等もあり全国的に有名になった
『まりのなにか困ったことないかにゃ?』
「奇跡を起こす猫は誰だと聞かれるの、でもここの猫が奇跡をおこすのじゃなくて猫神様が起こすのって言ってもしつこく聞いてくるの」
『誘拐とには気をつけるにゃ、何かあったらすぐに呼ぶにゃ』
「はいなの」
『なな子はどうかにゃ?』
「最近はゴミを置いて帰る人や、猫ちゃんたちを勝手に連れて帰ろうとする人が多くなってきた気がします」
『近所迷惑にならないようにしないとにゃぁ』
「あとはあの遊水地の水を飲んでも何も変わらないというクレームが神主さんのところにきているみたいですね」
『まぁ神主じゃ無理だにゃ、でも少し考えてみるにゃ』
前回の騒動があったので、エリクサーを出すわけにはいかないので、エリクサーの元を少しずつ滲み出るような魔道具を作ってみた。病気を完治はできないが痛みを取るような効果があったり、疲れをとったりする程度の効力は出るだろう。温泉よりは少し効果のある水が湧き出る池なら問題ないだろう。
あとは猫たちに聞いてまりののように真面目にお参りする人がいたら、まりの経由でどうにかして助けられるようにしようと思っている。
最近は毎日夕方になると神社へ来ることが増えたような気がする。エリクサーで完治した子供たちも毎日ではないが、良く神社に来て猫の世話や神社の掃除などを楽しみながらしているようだった。
マナーはほとんどの人はとても良いのだが、一部の人は唾を吐いたり、タバコを捨てたりする人もいて神様が軽んじられているように見える。
今日は何かテレビの撮影がきているようだったが、そのクルー達の態度が最悪なスタッフがいた。
猫を撮るのに邪魔だといって犬たちを足蹴にしたり、タバコを地面で消してそのまま放置したりのやりたい放題なのだが、誰も注意できないでいるようだ。
こいつを利用すれば良い宣伝になるな……
『まりの、そこのお姉ちゃんにあのおっさんをこっそり撮るように言うにゃ』
「はいなの」
まりのは撮影をしているスタッフのほうへ行き、実際に現場を仕切っている女性にこっそり耳打ちした。
「猫神様があのおじさんを撮影しておけって……」
「えっ? 猫神様?」
「はいなの、あのおじさんを撮れって」
「もしかして貴方のお名前はまりのさん?」
「はいなの」
「ありがとうね、言われたように撮ってみるわ」
「ではなの」
まりのは一礼すると走って戻っていったが、チーフの堀井 真代はこっそりカメラマンの木村 伸に耳打ちをしていた。
「ねぇこっそり関さんを撮影していてくれない?」
「じゃメインを中川に撮影させて俺はこっそり小型カメラでとりますけど、なにかあるんですか?
「何があるかわからないけど、噂が本物なら何かあるかも……」
何もしない関プロデューサーの代わりにチーフの堀井が中川に指示しながら撮影していた。
「なんで俺がこんなチンケな神社の取材をしないといけなんだよ! もっと大きな番組作らせろよな? 中川そう思うだろ?」
「そうですね、でもこの神社は素行が悪いと祟られるって噂の神社なので、気を付けてくださいね」
「はん! 祟り? そんなもんあるかよ! カァーッ ペッ!!」
ピカッ! ドカーン! 唾を吐いた瞬間に小さな雷が関の手に落ちた。音はしたがごく小さな雷だったようで、テレビのドッキリのような反応をしていた。
「関さん! 今のって祟りじゃないですか?」
「そんなことあるわけないだろ? 祟りなんて迷信なんだよ!」
そう言いながら煙草を下に捨てたので、すかさず風魔法でタバコを動かし関プロデューサーの手のひらに押し付ける。
「熱っ!」
「今のなんかあり得ない動きですよ?」
まだ認めないので雷ぽいのを連続で落とす。
ドカーン、 ピカッ! ドカーン 直撃はさせていないが、近くに落ちるのでビリビリはきているようだ。次に関の上だけに雨を降らす。しかも結構土砂降りの雨を降らすが、関の周り50㎝限定の雨を見て、さすがに怖くなったのであろう。
「おい! もう戻るぞ! こんな神社は他の奴に取材させろ!」
ダメだこいつは反省の色はないようだな。取材クルーの関以外の3人に向かって念話で話しかけた。
『こいつがこの神社へ次に足を踏み入れたら、お前らの会社は無くなってしまうにゃ。二度と近寄せるでないにゃ。 それからあのプロデューサーは今日から呪われるにゃ。近寄らないのが身のためにゃ。よいにゃ、この神社で動物を労れない奴には天罰が落ちることしっかりアピールするにゃ』
「「「はい!」」」
「「「えっ?」」」
「いや、今なにか頭に言葉が浮かんだので返事してしまいました」
「もしかして呪い?」
「関さんに近づくな?」
「ええええ!! 本当に神様いるの?」
「どうします? 上の方ってこんな話を聞いてくれるんでしょうか?」
「絶対信じないよね?」
「まず、無理ですね……」
3人に話をした後はあのプロデューサーを探し、近くに雷を落としたり階段の中腹で猫たちにガン見させたりすると、さすがの鈍感も何か違うという事に気が付いて転がるように階段を走って降りて行った。実際に転がって下りた場所もあったみたいだが……
残った3人は予定通りに取材をすませ、ちゃんとお参りをして戻っていき、下で待っていたプロデューサーに、なんでさっさと下りて来なかったのかと問われ、さっきの俺との会話を説明し、戻るならタクシーで戻るか、社用車を自分で運転するかを選んでくださいと迫り、あまりの迫力に関は一人でタクシーで戻った。
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