エリクサー騒動は一段落で男殺し丼を食べるにゃ
3人はまだ呆然としていたが、武村が正気に戻り医院長へ支払いの相談をし始めた。
「医院長治療費はどうしますか?」
「武村さんさっきの聞いてもらえるわけ無いでしょう?」
「ですよね……」
「ではこの分は猫神様のいうとおりに神社復興で使って良い資金として取っておきます。医院長へは猫神様の許可も出たので食事にご招待しますよ」
「ではその時にもうひとりうちの医者で協力をしてくれた医者も一緒にいいだろうか?ボーナスを期待しているようだったので……」
「もちろんですよ、協力してくれた方はどなたでもご招待致しますので、後日案内をよこしますね」
「では私はこれで失礼します。健一くんの検診は間違いなくしてくださいね。完治していると思いますが……」
武村は吉見の手を握りブンブン振って吉見に感謝の言葉をかけた。
「医院長本当にありがとう。お金でのお礼はできないが何か病院で困ったことや設備で必要なものがあれば協力するよ、多分猫神様も私服を肥やさなければ問題ないと思う」
「では失礼いたします」
医院長が家からで出て車に乗り込むのを見送った二人はまたリビングに戻ってきた。
「猫神様、まだおられますよね?」
なんでわかった? 認識阻害の魔法解けてたか?
声を出すのは疲れるので念話で聞いた。
『にゃんでわかったにゃ?』
「レオンがまだ上をみてブルブル震えていますから…… レオンがここまで怯えるのは見たことありませんからね」
なるほど、犬には見えなくても感知できるんだろうな、再度光を出し姿を見せる
『堅苦しいのはおわりだにゃ。さっきの件はよろしくにゃ』
「はい、健一を救って頂いた分をしっかり返していきたいと思います。神社復興のプロジェクトとして先程の子のお母さんも雇い入れたいと思います」
『よろしくにゃ その娘があれだけの祈りをしていなかったら健一は助かっていなかったことを忘れるでないにゃ』
「はい、本当にありがとうございました」
『健一良かったにゃ』
「はい!」
『ではさらばだにゃ』
姿を消し神社へ飛んだ。
クワズイモを確認するとまだそこに健在していたが、周りに2人程人影が見えたので顔を確認したが今までに会ったことのない人だった。彼女の交代要員なのかな?
まりのが3本キープしているが多分この苗は絶対にあいつらが持っていくだろうから明日もまりのに採らせておこう。さすがに今日は盗りに来ないだろう。マルに話を聞いたら交代で2人か3人がこの苗を見張っていて、近づくと追い払われたらしい。引き続きの見張りを頼んだが手付として、仕入れていたチュルンを口を爪で切り飛ばして見張りをしてくれた猫に1本ずつ吸わせたら悶絶していた。そんなに旨いのか……
その後まりのの家に飛び声をかけた。
『まりのよ明日の朝も3本程あの水を採ってきてくれるかにゃ?』
「あっ猫神様だ。もちろんいいの」
『ママはどこいった?』
「ママはお仕事の面接なの、もうすぐ帰ってくると思うの」
『どこで働くにゃ?』
「わかんなーい、でも夕方からのお仕事って言ってたの、だから寂しくなるの」
『そうなんだにゃ』
そんな会話をしていたら母親が帰ってきて俺を見るなり土下座した。
『そんなに恐縮しないでほしいにゃ、俺は単なるまりのの友達だにゃ』
「いやいや、神様に対して無礼な事はできません」
『よいにゃ……ところで面接はどうだったにゃ?』
「ええ、子供育てながら働くならもう夜のお仕事しかないと思って行きましたが、不況で夜のお仕事もなかなかないです。体を売るような仕事だけはしたくありませんので……」
『あたりまえだにゃぁぁ!! まりのがせっかく治してくれたんだからまりのと一緒の時間を作るにゃ ここは賃貸かにゃ?』
「はい、賃貸で大家さんが良い人なので家賃が少し滞っていますが、ある時にあるだけ払ってなんとか住まわせて頂いてます」
シングルで病気持ちだと大変だろう。
『じゃうちに来るにゃ? 家賃もいらないにゃ。あとは仕事ももうすぐあるから安心するにゃ。昼の仕事であの神社を発展させていくお仕事だにゃ』
「猫神様と一緒に住めるの?」
『ママが良いなら大丈夫だにゃ。もうひとり居候がいるんだにゃ。ママと年も近いし仲良くできるといいにゃ』
「ママ、猫神様と一緒に住みたい」
「そんな迷惑をおかけする訳には……」
『お前はバカなのかにゃ? 夜のお仕事してまりのを一人残す生活と夕方まで仕事して夕方以降はまりのと一緒に生活するのはどっちが幸せなのかにゃ?』
「猫神様、人にバカって言ってはだめなの……」
『すまないにゃ……』
俺よりまりのは人間がでかい気がする……
『どうするにゃ?』
「お願いします……」
『じゃ一度うちに来るにゃ。今日は遅いから、明日の夕方迎えに来るから5時頃に準備しておくにゃ。ご飯の準備もこっちでするにゃ。その前にまりのには言ったけど明日の朝もあの水を採ってきて欲しいにゃ』
「まりの一人でいける?」
「大丈夫なの」
『じゃ明日の朝よろしくにゃ。俺もついていくから安心していいにゃ』
そう言い残し自宅へ転移した。
『来夢、ただいまだにゃ』
「トラちゃんおかえり」
『お腹が減ったにゃ』
「今日は丼よ、その名も{男殺し丼}」
何?その物騒な名前の丼は?
『にゃんだそれ?』
「オイルサーディンを温めてご飯にぶっかけネギを山盛りのせたものに醤油と七味をかけたら出来上がり!」
『手抜きやな……』
「何を言っているの? このオイルサーディンは自家製なんですよ? 手間暇掛けて下処理をして作ったんで、手抜きではないのよ?」
猫マンマっぽいけど食べると旨かった。簡単でガツガツいけるなさすがに男殺し丼だ!
ご飯を堪能して、さっきの話を来夢にする。同居人が増えることバツいち子持ちの女性で有ること、明日ここを見に来ること等……
そして俺はなぜか正座ではなく、来夢膝の上でガッチリホールドされモフられまくっていた。
「ふーん、私がいながらバツイチ子持ちの女性を連れ込むんだ?」
『いや、来夢とは何もないでしょ?』
「もしかしてその子供の方を…… ロ◯コン?」
『にゃんでにゃん』
『とりあえずここに住むだけだにゃ、独り立ちできれば別に住むのが一番だにゃ、来夢と一緒だにゃ?』
「一緒?」
『来夢も別にやることできたりしたら別の部屋借りてもいいにゃ、約束通りご飯とお願いを聞いてくれればプライベートはわけて全然いいにゃ』
「えっ? 私を追い出してその娘達とイチャイチャする気?」
そう言いながらワシャワシャモフるのはやめてええええ
『違うにゃ、来夢もその娘たちも見捨てられないにゃ』
「それならいいんだけど……」
ちょっと寂しそうにワシャワシャされた。
『だいたい猫でなんで恋愛感情が湧くんだにゃ?』
「それもそうね…… で、どうするの?神様でなく元は人間ですって言うの?」
『それはちゃんと言うにゃ ここで過ごす以上家族だにゃ』
「そっか、お姉さんと妹ができると思えばいいのね」
『そうだにゃ、まりのはしっかりしているからまりのがお姉さんみたいだにゃ』
「どういうことよ……」
その日はモフられ時間歴代1位の時間を達成してしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます