少女の悩みはなんだにゃ?

 少女は石畳の上を裸足で歩いて祠に向って一生懸命祈っている。そして戻ると1つ小石を石畳の端っこに置いくとすぐに祠へ歩いて行く。よく見ると積まれた小石の数はもう数十個になっているようだ。何を一生懸命祈っているのだろうか?


「神様おねがいです、ママをたしゅけてください」

 

 母親が病気か何かなんだろうか? 興味が出てきたのでついて行ってみることにした。少女の足は裸足で歩いていたためか擦り傷とかできていたが、こっそり軽いヒールの魔法をかけてあげたので痛みは無くなったのではないだろうか……

 そのせいか少しペースが上がってきてドンドン小石が溜まっていきようやく100回を終わらせたようだ。まだ数を数えるのは苦手らしく、10個のマスが書いてあり、そこに10個ずつの小石を置くようにして100回を数えているようだった。少女は達成感からかにっこりと笑顔を見せ、喉が乾いたのか水を飲み、本殿にお参りをすると元気よく階段を降りて行った。

 ちょうど降りる寸前の場所にマルがいたので彼女の事を聞いてみる。


「ねぇ、マルあの娘しってる?」


「最近よく来て拝んでるよ。お母さんが病気か何かで大変らしい」


「病気?」


「前はお母さんと一緒にきてお参りしていたけど、最近は一人でお参りしているから、どこか入院でもしてるんだろう」


「そっか、ありがとう」


 マルにお礼を言って彼女を追ってみることにした。神社からしばらく歩いていると築50年はたっていそうな2階建てのアパートが見えてきた。その2階の右端の下西という表札が掛かった部屋へ少女は入っていったので、認識阻害の魔法を掛けながら自分も部屋へお邪魔した。


「まりの、今日は何をしていたの?」


 奥の部屋から母親らしい声が聞こえるが、声に張りがなく弱々しい……


「今日も神社に行ってお祈りしてきた。ママの病気が早く治ってあの怖い人達がこないように……」


「まりの、ごめんねママが病気になって美味しいものも食べられないし、なんにも買ってあげられなくて……」


「うーうん、ママといっしょにいれるだけでうれしい」


 お母さんはまりのと呼んでいた娘をやせ細った腕でギュッっと抱きしめながら、目元を潤ませていた。


「もしもママが死んでも、あなたは幸せになってね……」


「いやあああ、ママが死んだらわたしも死ぬううう」


「そんな事言わないで……」


「ママの病気はとっても治るのが難しい病気なの、だからもしものときに覚えておいてほしいの。ママはあなたといてとても幸せだった。だからもしもの時にはあなたはあなたの幸せをつかんでほしい……」


「まりのはママといるときが一番幸せなの。それいがいはなんにもいらないからママの病気が治るようにお参りしているの」


「まりの、ありがとう…… ちゃんと病気治るように頑張るからね」


「ウン!」


 ええ娘や! なんとかしてやりたいな……

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