バカアホ・ピンチョス

 

『おーい来夢! 首輪を買って欲しいにゃ。この辺りで捕まると去勢させられるにゃ! 去勢はやばいにゃ……』


「去勢…… 無くなっちゃうの?」


『捕まったらヤバいにゃ! まぁ捕まったら転移で逃げればいいけど、それはそれで大騒ぎになるといけないから、捕まらないようにしたいにゃ』


「トラちゃん、首輪ってどんなのがいいの? 私が選んでいいの?」


 なんか来夢の目がキラッキラして怖いぞ……


『あまり目立たないけど、飼い猫とわかるような奴がいいにゃ。連絡先にここの電話をかけるタイプだと、さすがに連れてはいかないだろうにゃ』


「じゃ明日自動車学校に行く帰りにでも買ってくるね! 夕飯は何がいいかな? 今日は鯛とナッツのカルパッチョ習ってきたけど、明日はそれにする?」


『それはいいにゃ! 楽しみにしてるにゃ!』


「じゃ、晩ごはんにするね! 今日はね、お揚げの納豆チーズ焼きとバカアホ・ピンチョスよ!」


『はぁ? にゃんだ? バカアホ・ピンチョスって変な名前だにゃ!』


「スペイン語で牛はバカ(baca)ニンニクはアホ(Ajo)だからそれを合わせるとバカアホでピンチョスは小さなパンに食べ物をのせたたやつを言うけど、今日はお肉がパン代わりで、上にカリカリパンをのせてオリーブやトマトを載せた高級ピンチョスですよ~」


『名前は変だけど美味しそうだにゃ!』


 出てきた料理は牛肉に塩コショウを振り、表面を少し焼き色を付けた厚めのステーキ肉をダイスカットして、ニンニクのみじん切りをオリーブオイルで炒め、パン粉と塩を加えカリカリに焼いたものを先程のダイスカットをした牛肉にのせてある。さらにオリーブやミニトマトものせてあり、とても美味しそうな料理だ。


 お揚げの納豆チーズ焼きもアルミホイルの上に油揚げをのせ、納豆をのせた後にマヨネーズとチーズをかけて焼いただけの簡単メニューで、最後にネギをかけてある。これも簡単だが、美味しそうだ。


「ちょっと待ってね。お揚げさんを食べやすいサイズに切ってあげるから!」


 食べやすいサイズに切られた料理食べる。


『うっ うまいにゃああああああ』


「よかった! ありがとう。本当はバイトとかしたがいいのかなと思ったけ、どそんなに喜んでもらえるならやっぱり習って良かった。」


 来夢を料理教室へ通わせて正解だった。変なバイトしてもらってコンビニ弁当買って帰ってそれを食べさせられるような生活でなく、美味しいものを食べられる今は幸せだ!


『だめだにゃああ バイトは禁止だにゃ! 今から3年間はいろんなスキルを勉強するにゃ! そして3年後俺が人間に戻った時に一人で生きていけるようになってるにゃ!』


「そうだよねぇ 3年後にはお別れなんだよね?」


 来夢は少し悲しそうな顔をしたあと、にっこり笑って


「無くしたはずの命だし、3年間楽しもう!」


『そうだにゃ! 俺が戻っても別に出ていかなくてもいいにゃ! 部屋もあるし、来夢が出て行きたくなったらその時に考えればいいから、今はこの生活を楽しむにゃ。俺も貴重な体験と思って猫生活を楽しむにゃ!』


「あれ~? もしかして良い猫ちゃんと出会った?」


「違うにゃ、俺は猫には欲情しないにゃ!」






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