捕まったら最後だ

 それから何度か、クロとのコミュニティにおじゃまして話をしていた。モモという真っ白で多分1歳にもなっていない子猫や、ちょっと生意気なしゃべり方のフク、大人びて真面目なソラなどの猫友達も出来た。


 モモは俺がまだ子猫だと思ってお姉さんぶるのが嬉しいらしい、今まで一番下だったから弟が出来たような感じなんだろうな。


「トラちゃん、ちゃんとご飯たべてるの? 毎日帰らなくてここにいてもいいの、ここで私と一緒に寝るの」


「モモはなんでこんなちっちぇのがいいんだよ! ガキじゃん! もっと男らしいやつがいいんじゃないのか?」


「フクにぃはうるさい! フクにぃはすぐにいじめるからキライ!」


「ええっ いじめたりしてないだろ…… お前が心配で……」


 ほぉー そうなんだな…… 俺はニヤニヤしながら


「ふーん フクはそうなんだ……」


「そうなんでってなんだよ!」


「えっ! 言ってもいいのか?」


「やめろ!」


「トラちゃん! どういう事?」


「俺からは言えないからフクに聞いてみな!」


「トラにぃどういう事?」


「シラネ……」


 フクは恥ずかしがって逃げて行った。


「フクはあいかわらず、すなおでないですね」


「ソラにぃ モモにはわかんないから教えて!」


「こればかりは流石に、フクが言うまでは言えませんね、フク自体本当に自分の気持ちに気がついているのやら……」


「ソラは大人びてるな!」


「トラ! 貴方がそれをいいますか?まだ生まれてそこまで経っていないはずなのに、話し方はおっさんですよ?」


「まぁ、仕方ないかな? 育ててくれた人の影響と思ってくれ」


「トラも気をつけてくださいね、最近はこの辺も物騒なんですから……」


 そこでとても恐ろしい話を聞いてしまった……


 ペットフードを配っているおばちゃんと別に、捕獲器らしきものを置いていくおばちゃんがおり、中には高給猫缶が入っているので、フラフラとその中に入ってしまうと、そのまま連れ去られてしまうらしい。


 翌日にはちゃんと戻ってくるが、その時にはオス猫はタマを取られて耳を切られて戻ってくるそうだ……ひいいいい!!


 それって……

 捕まったらヤバイやつだな……

 この体で取られたら、人間になっても無いとか言わないよな……

 猫の体でもう枯れるとか嫌だからな……


 捕まってもなんとか逃げる事は出来るが、出来ることならそんな事がなくても猫も自由に生活できるようになれば一番良いと思うのだが、難しいのだろうか?

 金を出して、どこかでみんなを飼う事は出来ないわけではないが、それはみんなも願わないだろう。猫にもプライドはあるだろうからなぁ。でもなんとかならないかはみんなと一緒に考えよう。


 その後はモモの要望で河原で鬼ごっこに付き合わされたが。たまには自然の中で何も考えずに走り回る生活も楽しいと感じるようになった。


 日も落ちかけて来たので、俺はみんなに挨拶をして、自宅へ戻った。さすがに疲れもあったので、見えないところまで行ったら転移で戻った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る