弁護士との打ち合わせ前の一息

「もしもし、お世話になります。昨日虎雄さんに紹介して頂いた岩田来夢と申しますが、新田先生おられますか?」


「あっ、昨日タイガから連絡あった岩田さんね!もし今日だったらいつでも時間とれるけどどうする?」


「はい、できるだけ早くご相談したいので、早めにお伺いしたいのですが昼一番の13時からでも大丈夫でしょうか?」


「13時で大丈夫だよ。場所はわかるかな? もしも解らなかったら途中で電話してね」


「はい、ありがとうございます。では13時にお伺い致します」


 新田とのアポもなんなく取れたので、新田の事務所近くまで行ってから昼食を取ることにしたが、ふと気がついたが、外食の場合には俺は飲食店には入れないし、ましてや中で食べるとか無理だな……


『どこか個室で食べられるところをさがすんだにゃ』


「個室とか入った事ないよ……」


 とりあえずネットで探して評判も良い中華料理店を11時半に予約をした。個室は別途料金かかると言われたが、それで問題ないと返事をする。1人で行くのに別皿もらうのもおかしいので、取り分け用の皿はアイテムボックスに入れて持っていくことにした。


 昨日のお金もあるし、タクシーでさっさと乗り付ける。中華料理店では料理を選んで一度に持ってきてもらい、お店には打ち合わせの書類を見たりするので、料理を持ってきたら一切のサービスは必要なく12時45分になったら呼びかけてもらうように伝えてある。目の前には、車海老のエビチリ、フカヒレのスープ、五目チャーハンとデザートの飲茶が並んでいる。


『は、早く取り分けるにゃあ~』


「そんなにがっつかなくても、料理は逃げないわよ……大体猫舌でしょ?」


『くっ その通りなんだにゃあ~』


 駄メルめ……猫舌までなんで再現するかなぁ……


 来夢にすこしフーフーしてもらって小皿についでもらう。これが人間の体でデートだったら最高のシチュエーションなんだが、どうみてもペットにご飯を与えているようにしか見えないのが残念だ。


『うっ うまいにゃ!』


「本当に美味しい…… フカヒレのスープとか一生食べる機会なんて無いと思ってた。トラちゃんありがとう!」


『来夢がいないと食べられないにゃ。だからお礼とかいらないにゃ』


「ところで、さっき新田さんに電話した時にタイガって言われたけど、トラちゃんの事?」


『そうだにゃ!虎を英語でいうとタイガーになるから略してタイガになったにゃ!!異世界でもタイガって名乗っていたにゃ』


「じゃタイガちゃんって呼んだがいい?」


『ペットに俺の名前ついていたら変だにゃ!!だからトラちゃんでいいにゃ』


「そっか!」


 飲茶はゴマ団子と小籠包だったが、小籠包のスープの熱さで悶絶してしまった。無駄に冷めないように卓上蒸し器まで準備してあったせいだな。


 久しぶりの中華を堪能した。値段はびっくりの部屋代込みで8500円もしたので来夢は会計の時に手が震えていた。

 昨日の肉の方が高いんだけどな……


『よし! 新田のところにいくにゃ!』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る