美味しい食事は正義

 タクシーで帰ってからソファーで寛いでいると、デパートからの配送品が届いた。

 そこで重要な事に気がついた……


 リビングは確認をしたが、キッチンの確認をしていなかった事を……

 そこには冷蔵庫とレンジのあるべき所にそれらは無かった……


 駄メルうううううううう


 空間魔法もってりゃいらんだろおおおおお


 仕方がない……とりあえず余ったものはアイテムボックスに入れて明日電化製品を買いに行こう。肉とかは保冷剤で冷やしてあったし、氷も買って置いたので問題ない。今ある調理道具で作ってもらおう。


『来夢!! これで夕飯つくれるかにゃ?』


「鍋と電磁調理器があるし、炊飯器もあるからオーブン料理以外ならなんとかなりそうだけど、猫ってタマネギとか大丈夫なの? たまねぎ中毒とか怖いわよ?」


『猫じゃにゃい!! 毒とか効かにゃいから大丈夫にゃ!! ステーキにタマネギ付けないとかありえにゃい!!』


「OK OK!! じゃ作るからもう少し待ってて? メニューはステーキ以外はなにかリクエストあるのかな?」


『和食が食べたいにゃああああ』


「うーん!! じゃ肉じゃがを作るかな?」


 来夢は夕飯の準備で台所で背中を向けて料理に向かっていた。トントンと心地よい包丁の音がしてエプロン姿の女性が忙しく台所を動き回る。なんと平和で幸せな時間なんだろうか……


 自分が猫でなければ……


 しばらく見ていたが、俺はとりあえず書斎に戻る。

 あれだな、各部屋に俺用の小さな扉をドアに付けてもらわんといかんな……


 いやいやそうするとずっとこの体でもいいやって気持ちになるかもしれないから止めておくか?でも小さなドアあったら便利だよなぁ……


 とりあえずスマホを探す。3年以上放置していたが使えるのだろうか?もしかして駄メル持って行ってないだろうな?


 スマホはちゃんと電話台の上に置いてあった。充電は完全に切れているだろうな……

 スマホに電源をなんとかつないで充電をしておく。夕飯が終わる頃には使えるようになっているだろう。


 書斎を見回すが、この部屋のものに関しては召喚されたままのようだった。ビジネス書とかパソコン等の仕事で使っていたものしかないからな……


 パソコンの電源を入れて久しぶりに立ち上げてメールを確認するが、DM以外来ていないが3年分なので膨大な量のメールが届いていた。スマホも同じような状態かな?前の会社から数通メールが来ていたが内容をみると俺が作ったシステムの相談だったが2年ほど前で連絡が途絶えていたので解決したのだろう。いまさら連絡しようもないしな……


「トラちゃーん!! ご飯できたよ~」


 よっしゃああああああ!!


 リビングに行くと、机の上に沢山の料理が出来ており、リクエストのステーキは勿論、肉じゃがやポテトサラダ、刺し身の盛り合わせまできれいに並べられていた。


 全て俺が食べられるようなサイズに細かく切ってあるし、食べやすいようにフォークが刺さっていたので、来夢は意外と気が利くんじゃないかと思った。


「トラちゃんフォーク使えるかな?使えないなら握りやすく何か考えるけどどうかな?」


『大丈夫だにゃ!』


 小さくて軽いフォークだったので、なんとかフォークで食べることができそうだったが、ワインみたいなものはストローが無いと飲めない……

 ワインをストローとか似合わないなぁ


 子猫ながらワインのアルコールも問題ないし、食べる量も思ったより食べられる。ギャル◯根みたいな胃袋になっているのかな?

 久しぶりの日本の食事は向こうの世界のどんな料理よりも美味しく感じた。醤油やマヨネーズも洗練されたもので、とても向こうでは味わう事のできない味わいで、我を忘れて食べてしまった。その姿を来夢はニコニコしながら見ていた。


『こっち見つめるんじゃないにゃ!!』


「フフフッ」


 ちょっと恥ずかしいが美味しい物は美味しい!!美味しいは正義だああああ!!




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