第13話―曙光魔法使いの一撃必殺―
ドラゴンを討伐を果たした事に感傷に浸るようなものはなく、ただただ呆気ないというのが晴人の本音。
だからこそ――
「うぅー、やった!私とブルックリンさん二人だけで挑んだ時は時間差攻撃で苦戦していたんだけど決定的な攻撃を仕掛ける前に
行動を読まれたみたいに焔を吐いて膠着状態みたいになっていたんだけど結果的に倒せてよかった」
晴人とカーミラの不在の二人は長期戦だった。噂に違わないお苛烈な攻防戦を実際の体験をしたエイブリーは言の葉にする。
晴人とカーミラ視点では短時間、そして別行動を余儀なくされたエイブリーとブルックリンは読み合いと牽制に油断を許されない長期戦闘。
「そんなに強かったのか?実力なんて知らず倒したんだから、
大したことはないじゃないか?」
悪戦苦闘を懐疑的な意見のカーミラは訝しんでいた。
晴人も同意見であったが鎧兜を脱いだブルックリンが
振り否定を示す。
「いいえ。古代から現在まで猛威を振るうだけの力を示した、
時空を支配する
切迫したのはブルックリンの普段の行いと生真面目な性格で、そこには疑いの念はないのだが戦闘中に割り込んだ晴人からすれば驚くことばかりだ。
疲弊していた所に偶然の産物であった、まさか背後で奇襲と挟撃に古き竜も狼狽したのかもしれないと推測をしてそう結論づける。
「何はともあれ倒せましたし任務終了ですかね?長居は無用ことでそろそろ帰りませんか」
実況と戦闘の照らし合わせるような事に晴人は重きを持っていない。
ただケタ違いの力を行使して、楽しく自由を謳歌したい。それが彼の新たなる人生観で努力というのを血なまぐさい方へ向けない。
そう終わらせるつもりだったが。
「空気が…変わっていく……これは」
視界が白くぼやけていく。霧がかると頼れる仲間が薄れていき見えなくなるほど濃くなっていく景色。
別世界に彷徨った感覚に陥るのは異世界転生とリリスの邂逅。
その点で憶測を起きた事を原因判明をすれば迷わず一つ。
「リリスなのか?」
「うん、そうだよ」
正面には霧の奥から人影の輪郭が見える。SF…サイエンスフィクションの略称には好きではなかった晴人。
厳密には異世界ものは好きだが略称ではない響きが納得していない、どうしてサイエンスにフィクションなのかと。ファンタジーフィクションだろう絶対にと。
しかし摩訶不思議な事が立て続けに起きる晴人からすればサイエンスフィクションだった。
事実ではない科学現象を現実に起きれば、そう思わざるにならない。
ピンクの髪やあどけない顔立ちが分かるぐらいに近づいたリリスの
姿を目にした晴人は再びの
歓喜と悲哀がこぼれ落ちた感情が戻っていくような心を叫ぶ。
激情に戸惑っていたが聞きたい事は
ある。
「キミは…俺をこの世界に呼んだのか神様的な存在なのか?教えてくれ」
「…残念だけど違うかな。その概念には戸惑いはあるけど世界から見て、ちっぽけな女の子だよ」
リリスは傾けて屈託のない笑みを見せる。魅力的で心を奪われるほど信頼と愛が込められた。
(この無条件な好意は危険だ!
現に心を奪われるほどなんだ。なんとか抗うだけの頭は回れるだけで)
「だとすれば…キミが普通の女の子なら白い霧はなんだんだ!
少なくとも俺みたいな超人的な人間に白い霧で拘束させるだけの
能力を駆使するだけあるはずだ」
「これは…貴方の力なの。そんな力はないよ。でも会って伝えたかったの」
「伝えたい?何を、目的は、伝えたいのは転生したか」
「ずっと大好きだって…えへへ。恥ずかしさよりも哀しいよ…」
「………」
こんな表情をさせた事に俺は強い自己嫌悪を抱いていた。暴虐の行いだと晴人が晴人を責めて、
リリスに言うことは大好きだと返すことだ。
「素直に分からない…けど、俺も大好きだリリス」
「うん。それを聞けて嬉しいよ。終わりまでたどり着けば選ばないといけない…それは始まりか終わりかを
貴方が」
リリスは告げたのは、あまりにも抽象的ありながら不思議と琴線に触れるものがある。重要な決断だと、それはまだ先の話であったが。
「始まりと終わりって中二病みたいだよ。何を言いたいのか言ってくれ」
意識高い系には見えないリリス。
今は言葉の美しさを楽しむような雰囲気ではないのはリリスだって
分かるはずだ。なら、その真意は?
「ううん、ダメなの。だから、ごめん…そろそろいかないと」
「どこに?また会えるのか」
「…しばらくはねぇ。辛いことは多いよ。上手くやれる?」
両手を後ろに組んで儚い笑みを作って浮かべる。心配させまいと
した無理矢理に応援をする笑顔だ。
「ああ、エイブリーさんもいるし異世界もの欠かせないロリっ子枠にカーミラと仲良くなれているし上手くやれるに決まっている」
「そう。頑張って」
リリスとの刹那な会話は終わった。リリスは踵を返して来た方角へ歩いていく。ただ、それだけなのに見えなくなる前に白い霧と
共に霧散していく。
「どうしたのですかハルト?顔色が悪いようですが」
「えっ…」
ブルックリンが整った顔を曇らせて心配させてしまった。
顔面蒼白になっているのをエイブリーとカーミラも懸念を抱く。
「…はは、大丈夫…だよ。ドラゴンのスケールの大きさに度肝を抜かれたんだよ。戦ってビビったなぁ」
それは嘘ではないが、蒼白しているのはリリスによるものだ。
「なら、いいのですが。あまりご無理をなさないように」
「ああ、気をつけるよブルックリンさん。古典的な罠に掛かった件も含めて、ごめんなさい」
「フフ、いいのですよ。私も同じことをしていたでしょうから。
さぁ、帰りましょうか」
年長者のブルックリンは彼の謝意に優しい微笑みで言葉の裏に称賛
、ダンジョンを出る。正規のルートでエイブリーとブルックリン
が来た道へと帰るのだ。
「ねぇ、本当に平気?」
右の隣に歩くエイブリーが晴人を気遣いの言葉を発する。
優しくされた経験が少ない晴人は軽い感激をしていた。
「ああ割とマジで元気だよ。
なんか後ろを押された感があって絶好調の最盛期!」
「そう…それなら良かった。
もし何かあったら哀しいから」
ゆるふわ属性のディバインナイトの称号を持つエイブリーに
癒やされる晴人。
「なぁ、なぁ、苦しいなら背負って歩くぞ!」
反対の隣に同じ歩行で、ついてこられるスピード自慢のカーミラ。
見た目が小学高学年な女の子が、おんぶしてあげると誘われ
て高校生である晴人は気持ちは嬉しいが苦笑して気持ちだけ受け取る。
「ピンチになったら頼むよ」
それから帰国した四人は国王から刻焔竜を討伐完遂した褒美を
貰うのだが晴人とカーミラは、たじたじとなったのを宰相と大臣の日記に書き記されたのだった。
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