第9話―闇は不可視に蠢くⅢ―

元ソロモン72柱オセは闇魔法には群を抜いて宮殿魔法師4位の地位を得た。

スパイ活動していたスタイルことオセは晴人に正体を見破られ撃破。


「なるほどその様な者がいたとは…」


撃破してから早朝、晴人は応接間にて宰相フィレット・クリプトンとディバインナイトに選ばれし

エイブリー・パティエーンスに

事態の説明をした。

おとがいに手を当てて海千山千の人であると自負していた宰相は、

まんまと悪魔が侵入していた事に気づけず自分に叱責する。

しかし悔やむばかりでは意味はない。これを糧にして原動力とし二度とないようにと静かに誓う。

そう決意する宰相の向かいで難しい顔をしているなぁと晴人は呑気のんきにもそう思った。


「風の便りなのですがオセと言えばあらゆる物体へと完璧に変身が出来る悪魔と聞きます。それは私や宮殿魔法師の目をいくぐる事が可能ほどに。

ですので誰かが責任があるとか問題では無いと思います」


ハルトの右隣に座っていたエイブリーは宰相にそう言うのは気遣いもあり原因は誰もないという意味でもあった。

それを宰相は声、表情、正確性を判断材料にして意味の意図を理解をする。


「エイブリー殿はまことにお優しい方だ。もちろん責任を追及をしたところで半信半疑となっていては敵の思うつぼだ。

だから安心したまえ」


「ハァー、良かった。さすがは若き宰相ですねぇ」


あれ?なんだかいい雰囲気なんだけど!?っと焦りを覚える晴人。

そんな不満そうにしているのを宰相は気づき万人に愛される笑みを浮かぶ。


「フッ、安心しまえ救世主殿。彼女にはそんな目で見てはいないので好敵手にはならないよ」


「えぇ!?な、何を仰っているのか分かりかねますが」


「?あのー、私をそんな目で見ていないってどういうことなのでしょうか?」


「それは私の口ではとっても。

それは救世主殿が応えるべきものですので」


純粋な目でどういう意味なのかと問われて晴人は赤面して挙動不審になるのであった。

これから宰相は調査内容を発案と事務仕事があるため談話室を後にする。

時間の余裕がある晴人はエイブリーに城内の案内をされていた。

そこで敷地内にある針葉樹に数分ほど歩くと円形に百花繚乱と鮮やかな場所へと来た。


「…ここは!?」


見覚えがあった。いや、そもそもここは……。


「えへへ、驚いた?ここは世界一の実力だって王に認められた園丁えんていさんが作った花畑なんだ。

すごく綺麗で浄化されて私のお気入り」


夢の中で見た光景と同じだった。


(それじゃあ、リリスと会ったのは夢の中じゃないのか?ここで

会った…いや、そうだとしたら時間帯がおかしいじゃないか)


咲き乱れた花は風が吹くと舞って幻想的な世界に迷ってしまったのではないかと錯覚させられる。

混乱している晴人に感知していないエイブリーは童心に帰って走ると中央に片足でクルクルと回る。

騎士らしき態度はどこへ、無邪気な少女に晴人は深く考える事を放棄。


「とっても綺麗な場所ですね。

一体どんな花なのか分からないけど」


「それなら私が教えてあげるよ。この花はねぇ――」


エイブリーによる花の講義が始まり晴人は耳を傾けるが、どうしても他の方に考察してしまう。


(リリスって女の子、何者なんだ)


広大な場所の探索は飽きることはなく見新しいことばかり。

回廊、2メートルはあるアーチ状の窓ガラス近くの歩く晴人は左隣に歩くエイブリーに真摯的な態度にお礼をしたくなった。


「エイブリーさん何から何までありがとうございます。この御恩はいつかは、お返します」


「いいよ。騎士として当然の事をしただけなんだから」


謙虚で人徳のあるエイブリーにいずれは恩返しをしようと決意をする。階段を登り得意スキルぼっちにより無言で歩いていると貴人クラスの部屋の前で止まり振り返る。


「この先に剣聖ミラちゃんがいるんだけど中に入らない?」


「えっ?この中にあのロリっ子が」


一騎打ちを挑まれ突然何が気に入らなかったのか憎悪を向けられた。

正直、入るのに躊躇してしまうが様子を見るだけなら敵愾心てきがいしんを向けられても攻撃はされないだろう。


「その、悪い子じゃないんだよ。

いつも戦いを挑まれるんだけど優しい子で怒っても暴力を行使なんかしないから。そこは安心して…ってねぇ。そう言っても説得力が無いよね…あっはは」


悪いイメージを払拭しようとするエイブリーだったが彼女は不器用だ。

彼女なりにカーミラは優しいなのだと強く主張するが晴人の事を考えれば信じてもらえないと。


「分かりました。入りましょうか」


「えっ?いいの。誘ってなんだけど無理とかしていない?

言伝だけなら私が伝えておくよ」


「いえ、今なら元に戻っていると思います。ですので心配は無用ですよ。

エイブリーさんが知っているロリっ子…剣聖なはずですよ」


晴人は魔法感知スキルによってカーミラの身から何かが変化していた事に気づいた。温かく輝く魔法を感じって。


「何か確信はしているんだね。

うん、それじゃあ開けるねぇ」


扉を開けると寝台の上に上半身だけ起きているのはカーミラだった。

窓は開けていて流れる風に翡翠色の髪はわずかに踊り、ドアの音に

紫眼を驚きに見開く。

まるで寝間着だからかお嬢様みたいだなぁと晴人の感想である。


「気分はどう?ミラちゃん」


「う、うん。大したケガじゃなかいから、もう治っているよ。

そんな事よりも…」


(やっぱり…)


ぼんやりとしていたカーミラは神妙な顔になって姿勢を晴人に向けると

額にシーツが触れるほど頭を下げる。


「わるかった!なんで怒ってしまったのかワタシも分からないんだ。

ごめんなさい!」


陳謝するカーミラに晴人はやっぱりかと推測は確信に変わり、

エイブリーはこの結果になることを分かって微笑んでいる。


「いいよ、俺は気にしていないから。

それに俺は操られているキミに対して剣を振るって…ごめん」


「「えっ!?」」


ハモって驚愕する二人。どういうことなのかと視線で問われて

晴人はその疑問を答える。


「なんだよ!じゃあハルトはワタシが悪魔野郎のオセに操られていたって言うのかよ」


「あ、ああ。その通りなんだけど」


口が悪い!彼は言葉に喉から出すのを踏ん張って阻止をすると

言葉を待つカーミラに何か言わないと次の焦りが襲う。


「…キレイな目だね」


言葉を探していると目が綺麗な事に言葉にしてしまう。


「は、はあぁ!?なに言っているんだよ!キレイじゃないし」


褒めなれていないカーミラは頬を赤らめて反論する。

素直じゃない反応に可愛いなぁと和むのはエイブリー。

微笑んだことにカーミラは睨んで反撃するが、どこ吹く風で効果はない。


「フッフフ、ハルトくん早速ミラちゃんに気に入られたみたいだねぇ」


「誰か気にいったって言ったの!」


腕を振って恥ずかしくなるカーミラは反論するが鋭さはまったくない。

ちなみに晴人の推論は間違ってはいないが厳密的には操られていたのではなくストレスを蓄積させる

魔法により激昂を起こせるように

仕向けたものだった。

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