第6話―剣聖カーミラの一騎打ちⅢ―

荒れ狂う風は走って引き起こした加速系の最高位[烈風速れっぷうそく]。

加速した道を一瞬の暴風、鍛錬場の中央フィールドを加重による烈風速による竜巻が起きている。

中はどうなっているか分からないが人外の技に端の方へ戦いを見ていた兵らは止めるべきか躊躇ためらっていた。


「やめなさいミラちゃん!

それは、もう死闘になるわ」


両手を三角形にしたのを口元に当てて静止の叫びを上げる。しかし

竜巻が弱まることはなくディバインナイトのエイブリー・パティエーンスは紅蓮の聖剣ゴッドカレドヴルムの柄をにぎり引き抜こうとするのを止める者がいた。


「待ちたまえエイブリー殿」


「フィレット様!?しかし今すぐに止めないと危険です」


宰相フィレットはエイブリーの前に出て壁になり妨害しようとする。止めようとしている事にエイブリーは軽い驚きを覚えた。


「エイブリー殿が言ったではないか。彼は元ソロモン72柱の一体を倒したと。そして神に与えられた神託ジョブによれば救世主。

その力をこの目で拝見したい」


「…お言葉ですが最悪その救世主が死亡なさてもいいのですか?

宰相は何を考えておられるのですか」


目上の相手でも屈せず睨むような視線を向けるエイブリーにフィレットは特に害を及ぼすと言わんばかりの笑みを浮かぶ。


「ここにいる皆に奇跡を、希望を見せてほしい。戦いに身を投じる人達を絶望感を拭い去れるだけの光を。

勘違いをしないでほしいのだが

私は自害が絶えないこの現状を変えるだけの光景を見せたい」


穏やかに宥めるように発言に裏表があるのか読み取れない。

エイブリーはそんな希望になるか分からない希望的観測を信じるには値しなかった。

エイブリーは考察する。


(鞘を抜けば道を開けるだろう。

いえ気迫を出せば怖じ気づいて尻込みした所を突破すれば)


圧力を掛けようと試みたエイブリーは失敗した。フィレットも殺気のようなものを感じたが、あくまで殺気というものだけで恐怖を抱くものではなかった。

エイブリーは戦いで磨いたそれを涼しい顔をするフィレットに信じられないと顔に出るがすぐに引き締め覚悟する。


(厳罰になろうが知ったことじゃない。私の剣は救うためにあるのだから)


強行突破しかないと決意する。

鞘を抜こうとするのを後ろから鞘をつかんで止める者がいた。


「冷静になれエイブリー」


「ブルックリンさん!?」


止めたのはアークファランクスという最上位のクラスのブルックリン・ボナパルトだった。

いつもなら従うエイブリーだがそれでいいのかと葛藤する。そんな真面目なエイブリーに麗人ブルックリンは優しく微笑する。

鞘から手を離すと宰相の後ろに立ち盾を構える。


「宰相お守りします」


「気を遣わせてしまったね。助かるよ」


暴風を防ぐために背後に回った。

ブルックリンの盾は足から首元までの大きさを誇る。

神の盾[アイギス・カステッルム]。

白銀の盾に守られたフィレットの髪や衣装など風で揺れていたのが収まってここだけが微風もないようにみえる。神の盾による恩恵をエイブリーは知っていた。ブルックリンは納得しないエイブリーの気持ちも理解している。


「エイブリー危なくなったら私も止めてあげるから。だからおとなしくしてくれないかな」


「・・・分かりました」


不本意を隠さずエイブリーはにぎる柄を手を離す。いつもでも止められるように魔法を無詠唱で身体強化する。もし危険になったらブルックリンは神の盾による力を使うつもりだった。

ブルックリンは軍律に従っているだけであって意見と気持ちはエイブリーと同じであった。


「ああぁぁーーー!!」


風の刃と閃光が走り晴人を襲う。

障壁があらゆる攻撃を防ぎ、未だ一切の傷を負っていない。

剣聖カーミラ自慢の身体強化と烈風速、超高速攻撃によるものはどんな人物であっても回避不能、どんな防御でもかすり傷は免れない。


「くっ、どうすればいいんだ」


晴人は逡巡しゅんじゅんしていた。常軌を逸しているのは今日が初対面である彼もそれがそうなのだと明白だった。


「選ばれなかったあの子達はまだいるのに、たまたま選ばれたワタシは・・・ワタシはあぁぁ!!」


「落ち着いてくれ。実力を測るための戦いじゃないのか!」


「うるさいぃ!そんなことなんてどうでもいい。ただ倒すだけ」


聞く耳は無いとダブルXカリバーはまばゆく輝くと十字形の飛ぶ斬撃である剣技スライドウェーブ。

そして放つと即座に晴人に烈風速と神速的な斬撃によるほぼ全方位攻撃。

上下左右から音が鳴り響き、絶対防御の障壁はすべて無効とさせる。


(どうしたんだ。急にあんな乱れて・・・何が起きたんだよ。

普通じゃないにもほどがある。

けど今は)


「はあぁ!」


晴人は転生特典である聖剣をチート能力の速度で右袈裟斬りをするが動作に素人なのと斬撃を醸し出すのを第六感で察知して容易に回避。


「遅い!やあぁ」


「うわっ!?通らないと分かっていも恐い。だあぁ!!」


世界最強クラスの力を持っても本人は実戦など知らない上に駆け引きなども出来ない。

晴人は敵の攻撃をどこからするのか直感的に視覚的に見る事が出来るスキル[未来予知みらいよち]を持っても駄目だった。

違う未来を選ぼうとすれば相手も違う行動をする。なら次の未来を頼ろうと秒数からの何パターンか見てきたが処理能力についてこれず剣聖の高い直感的によって次の行動を裏切っていく。


「なんて硬さだよ!」


これ以上は体力の消耗をするだけと距離を取り晴人の数メートル前に足を止める。


「よし、今だ!」


晴人は好機と見て足に力を入れて走る。


(あれと同じ力を使えるか?できるはずだ俺はチートを扱える)


烈風速を発動。風となりカーミラを剣ではなく収める鞘で足を狙おうとするが――


「だから遅いんだよ」


侮蔑な声音で呟くとカーミラは晴人の背後の上を取る。そして空中からの威力を上昇した唐竹割りを

絶対なる壁が防ぐ結果となる。


「チッ、やっぱり防ぎてしまうのか」


障壁を蹴りいつでも回避出来る距離を保つ所へ着地。

後ろへ振り返る晴人は剣を中段に構えたまま前方へと見据える。

そしてカーミラが疾走をやめてから竜巻が収まり二人の戦況をようやく見えるようになる。


「そろそろ終わりませんか。実力はしっかりと見せたと思いますし」


「・・・そうだな。終わらせる、この一撃でなぁ」


カーミラは剣を空に向けて高々と掲げると煌々こうこうたる光り始める。聖なる剣による摂理をかつ力を。大気中に漂う光属性のマナを吸い尽くす勢いで剣に集まっていく。

スピードで翻弄していく戦闘スタイルと推測していた晴人だったが

他にも一撃で勝負を決するほどの

力を持っていた。


「これが選ばし者にしか使えないダブルXカリバーの力。その上がある極光ぎょっこうを使わなくても、これだけあれば倒せる」


「ヤバい・・・止められるか。あの攻撃を」


掲げたままの聖なる剣からまばゆい色んな所へ反射していた光が鍛錬場を照らされる。

そして反射していた光は剣先に向けると天にまで届く輝きの剣を構築する。


「これで終わりだあぁぁぁぁ!!」


振り下ろされる巨大な剣。この攻撃には鍛錬場だけじゃなく街も切り裂くだろう。そんな絶大な一撃にエイブリーとブルックリンが晴人の前へ駆けつける。


「何を考えているのミラちゃん。そんな力を使うなんて」


「どうであれ騎士としてこれは防がなければ後ろの民まで巻き添えになるだろう。だから止めるぞエイブリー」


「はい!」


エイブリーとブルックリンそれぞれ剣を抜くと威力を高めていく。

それは相殺するためなのたおすための力なのか。


「うわあぁぁぁ!!」


晴人は気づけば二人の前に出る。

あの一撃を凌ぐ技を繰り出す前に止める必要があった。


「ハルトくん危ないよ!」


「離れろ!」


「イヤです。この攻撃は俺が止める」


剣を抜いて平穏に終わらないだろう。最悪な結果になるかもしれないのなら考えいに至った晴人は止めようとするのを下がるように促す二人の言葉を拒否する。


(あの攻撃を障壁で防げるか分からないが意識すれば強度が増すかもしれない)


意識しなくても出てきてくれた。

晴人は右も左も知らない異世界で未知の力を使おうとする。

知っている限りの事を尽そうとした。イメージ、気力、命令、それらしい詠唱などをしかしどれも声や現象が現れることがなかった。

しかし意識を向けたことで、この障壁の名前がまるで霧の中から現れるように出てくる。


「ルミナスの盾・・・それがこの力なのか。ルミナスの盾よ!」


白い光は真っ直ぐと振り下ろされルミナスの盾を斬ることか出来ず

維持をするのを限界に達して効果が消える。


「そんな、ワタシの剣が」


茫然自失となるカーミラ。生じた隙を見逃さず晴人は全力で駆けて愛剣によりダブルXカリバーの柄を叩き手を離されたカーミラは落ちていく剣を見ているしかなかった。


「これで俺の勝ちですね」


一騎打ちの倣い(アニメやラノベぇ知っただけど)カーミラの首元に向けたままにする。カーミラは悔しそうに歯ぎしりで肩を震わせる。すると周囲から歓喜の声が大地を震わせるほど称賛の嵐が起きた。

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