第3話 再会

 そしてGCT三百階ポートの奥のくぼみに入り風の影響エイキョウが周囲に無くなったことを確認できたのでリムジンが車両用ポートに停止した「風の影響ありません、行ってらっしゃいませ」とキュアロンが言った。

「ここだと出て来れるのは第七ポートだな、少しかかるがシバし待っていてくれ」と私が言って出る。


 第七ポートから進入しギルド証を提示すると係員がほぼ全員敬礼した。

 こちらも返礼の敬礼は返す、此処まではいつも通りだ、そしてGCT三百階に進入した第七ポートからだと少し微妙な位置関係にあるのが待合カフェである、歩いて十分てところかと考えながら歩を速めたこれで7分くらいで付くはずである。


 今日は白の夏服型提督用礼装であった。

 MMLLIも付いている、帽子も小脇に抱えてはいるが数時間前とは云うモノの帽子をかぶると俺らしくなくなるからなと思っていたのであった。

 そして待合カフェに辿り着いた、ウェイターがやってくる「予約をしてあるウォルド・フォン・カーライルだ国賓コクヒンお二方はもう着いているか? 着いているなら俺にアフェリカン・コーヒーのアイスを一杯速攻でくれ」と言うと特別室一号室に向かった。

 特別室一号室前にはちゃんと護衛が居た、護衛に敬礼をすると護衛がシッカリとした敬礼を返した、特別室は全てコの字型配列の八人掛け使用に成っているのである。


“コンコン”

「ウォルドです少し遅れました事、おびいたします」と私が言うと、


「お待ちしておりましたどうぞ」というサキの声が中からした。


 ドアを開けて入る、入ったところでいったん敬礼をし「本日より数日お役目でお付きしますのでお願いたします」と言った。

が半分仕事で半分休暇と云う変な状態では有った。

そしてドアを一旦閉める。


「アヤト皇子、サキ殿下数時間ぶりですね」と言って空いている一番ドアに近い席に座った、するとアヤト皇子が言う。

「ウォルド凄くカッコよいです。白が映えてます」と言って頂けたので

「ありがとうございます、皇子」と言うと「アヤトでいいよウォルドにも皇子って呼ばれるのは何だかくすぐったい」それに続けて、サキも言った「私もサキでお願いします」と言い更に続けた「夏の礼装ですね、凄く決まっています」といわれてしまう。

 少々くすぐったいという感覚が分かる様な気がした。

「ではアヤト、サキ食事が終わり次第、俺の船に招待しよう」といったのである、カドを一気に取ったともいうが。

「アイス・アフェリカンお持ちしました」とドアの外で言われたので、ドアを自ら開けアイス・アフェリカンのみを受け取った。そしてドアを閉めたそして時計を確認した未だ出港準備中の筈であった。

「今出港準備をさせている、出航時間は二十一時を予定しているがそれでいいかな?」と聞くと。

「どれくらいの船なんですか? ヨットでは無いとお聞きしましたが」とアヤトが言った。

「SL-FPTですから大きいですよ、ただし速度は出ます」とも私が言った。

「どれくらいの速度が平均的なのですか?」とサキから聞かれたので「普段の平均速度は大体マッハ七十から六十五くらいですよ」と言っておく。

「それって、もしかしてギルディアスの誇る快速戦艦サーラインアグルア号ではないですか?速度記録をお持ちの……」とアヤトが言った、当てられてしまった。

「当たりです、アヤト、記録があることまでバレてしまいましたか」と私が言った。

スゴい!」とアヤトが感激した様であった男の子はさすが乗り物に詳しいな、と思った次第シダイでは有ったが。


「今回は東周りの直線航路で計画を立てて居ますが、何か気になる事はありますか?」と予定航路を言っておく事にする。

「グランシスディアと扶桑フソウの間にある、アウェソム海ではたまに空賊クウゾクが出ると聞きますし、西側でも斑鳩イカルガと聖ワイトラウドの間に挟まれるグレスティーナ海域でも空賊が出ますから。何方とも言えないのですが」とサキが言った。

「その為のスーパーラージ・バトルシップ(以下SL-BS)ですから空賊クウゾクの撃退もお任せ頂いて大丈夫ですよ」と私が言った、まぁ伊達ダテじゃないところをお見せしないといけないわけだが。


「何から何まで、ありがとうございます」とサキだけでなくアヤトもそう言った。

「ワクワクしてきました」とアヤトが言った。

 私も残ったアイス・アフェリカン一気に飲み干す。

 皆食べ終わった様では有ったので「今日もリムジンを待たせてありますので即移動できますよ? 特に今のうちにしておくことはありませんか?」

「大丈夫です、お気遣キヅカいありがとうございます」とサキが言った。

「僕も大丈夫です」とアヤトが言った。

「少し歩きますので、準備をお願いします。三百階の七番ポートまで歩きますので、リムジンまで十分くらいはかかってしまうでしょう」と私がいった


 そして歩く事、十分リムジンまで迷うことなく無事に着き皆リムジンにのって忘れ物が無いかだけを確認すると私も最後に乗り、「行ってくれ」と言った。

既に艦橋に一番近い出入り口まで正確には客室に一番近い乗り込み専用のゲートが既に空いておりその隣にちゃんと式典用に使う赤い絨毯ジュウタンまで引いてあることを上から確認しライトアップされているのを確認すると、絨毯の端にリムジンが着けられた部下が荷物を取り出しサキに渡した、アヤトはリュックを背に背負いなおしていた。

「リムジンは元の場所に頼んだ」と言ってサキとアヤトの方に向き敬礼をした後、先導するように赤い絨毯の上を歩きだす、艦に近い側で十名程が礼装で敬礼を実施しており壮観には見えたので良しとした。

「客室までご案内しましょう」、と言って先導して行き艦に入ったすると元々が出入り口専用では有るので即閉鎖され装甲隔壁ソウコウカクヘキも閉じられて行き、


“バシュウー”


 と外側で完全に閉まる音がした。

 それを確認してから、客室の方へ案内したすぐ近くに階段がありブリッジへと書かれている、それを見たアヤトが「後でブリッジを見せてもらっても良いですかじゃまにならない様にしていますから」と言うとサキがたしなめる様に言う「余りご無理をいってはいけませんよアヤト」といったので「それなら専用席を創らせましょう」と私が快諾カイダクした、「こういうのも見ておいて損はありませんよ」と追加した。

「その代わり専用席に着いている間は、念のためシートベルトをしておいて下さい。慣性制御は完璧ですが、それでも念のためですから」と私が言った。


「客室は此方に成ります、真ん中で仕切ってもいいですし自由にできるようになっています。と客室を案内する、部屋にはベットが二床あり前方側と後方側に分かれていた。特等船室に該当する部屋に成ります。中央の部屋に成りますので外の景色を見る際は専用のリモコンで其方の画面に映し出せます、二百五十六Kの超高精細画面チョウコウセイサイガメンですので映りは大丈夫かと存じます。」其処には百インチ程度の魔導式画面表示器があった。

「洗面台・化粧台・洗濯機・冷蔵庫・風呂・トイレ・シャワールーム・とほぼなんでもついていますのでご自由にお使いください、何か質問はありますか?」と私が聞くと。

 サキは「特にありません」と答え、アヤトも「僕も大丈夫です」と答えたため、「問題が無ければ一旦荷物を置いてください、ブリッジへ案内しましょう」と言ったのであった。


 特等船室自体はサーラインアグルア号には外殻側両舷に八室中央側ブロックに八室の合計十六室あるのでかなりデカいのは確かであった。

 それもその筈、全長で千二百メートル最大幅五百メートル最大高で六百五十メートルはあるのだから。


「ブリッジへの通路はこちらになります。」と言って階段を上がりそこから階段を二個程上がりちょうど二階席に位置するあたりにある両開きの扉の前で魔導式マドウシキの認証キーを押し込むと扉が開いた。

「これが俺のサーラインアグルア号のブリッジになります。」と私が言った。

 因みに専用の椅子の設置はすでに終わっていて工兵が最後の確認中であった。

 そこのスペースは十二畳は有ろうかというスペースではあるが台形型にブリッジ中央に突き出しておりここからブリッジの全てが見渡せるようになっていたのである。

「後どれくらいでできそうだ?」と私が工兵に確認を取ると

「聞いてから直ぐにシート設置に掛ったので後数分程で終わります。どうせならフィッティングしていかれますか? すでにサキ様専用のシートの設置は済んでおりますそちらの赤いシートがそうです、今アヤト様専用のこちらの青いシートの設置を行っておりますのでしばらくお待ちください。因みに提督用のシートも最新の物が来ましたので差し替え交換を行いましたのでそちらの赤茶系の色地に成りました。確認して頂ければ幸いです。今ならいくらでも調節は効きますので。」と工兵が言った確かにMMLLIの裏に部隊専用に流すカクしマイクを仕込んでいるのではあった、この為対応が早くでき回転効率が格段に上がると好評であっためこの方法を取っているのである。


「シートの調節は大事なことだから体に合って無い時は存分にいってもらって構わないからな。後ベルトの感覚も見ておいた方がいい。」と私が言ったので、「先に済ませてしまいますねアヤト。」とサキが「先にフィッティングしますので調整の方よろしくお願いします」と言って赤いシートに座った、座っただけでできがかなり分かるようで「随分ズイブン座り心地が良いのですね。ベルトの方も特に問題ありません。」と言った、ちょうどその直後「アヤト様のシートもできましたのでフィッティングお願いします。」という声がかかり、アヤトがシートに座りに行き高さや見渡せる広さを確認して「スゴナガめが良いです、シートの調子もものスゴく良いです、ベルトも問題ありません。」と言ったので提督もどうぞと言われ「どれ」、といいながらシートの確認を行ったこちらも特に問題は無く「問題ないようだ、ご苦労。」と言うと工兵が道具をかたずけゴミっぽい物を処理し敬礼して出て行った。

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