第2話 依頼

 ウォルドは自艦の執務室で、様々な仕事の続きをしようとしていたが、「えぇい!やってられるかこん畜生!!」と言って立ちあがった。

「休暇中にやるもんじゃねぇ!!こんなもん」と捨て台詞を吐くと、提督の服装から私服に着替え始めた、やはりどこかへ行かないと気が滅入メイルるのではある。


「しっかし行く当てか、斑鳩イカルガまで行って見るかな」とそこへ、


“ピロロロッピロロロッピロロロッ”


 とコールが入った一応番号を確認した、この番号は確かギルディアスこの都市のどこかにある固定電話からである事が分かったが、


“ピロロロッピロロロッピロロロッ”


 未だ鳴っている。

「仕方ねぇ、取ってみるか。」とツブヤき電話に出る事にした。


 通話キーを押し通話を開始する、「ハイ、ウォルド・Fフォン・カーライルですが、どちら様でしょうか?」と


「突然すみません、電話番号を特別にお聞きして掛けたモノですから、サキ・ハルカです。」

 突然掛けて来たのは、数時間前に分かれたばかりのサキであった。


「サキか数時間ぶりだが、何かあったのか?」と答えるウォルド。

「貴方にしか頼めない依頼です、私とアヤトを斑鳩国イカルガコクの首都斑鳩イカルガまで送っていただけないでしょうか?ギルドに頼もうと思っていたのですが、信頼できる相手が貴方しか居ないと言う事を告げたら電話番号だけ教えて頂けました」


「俺は、護衛官では無いから、ボディーガードには向かないぞ?、送る場所が場所だから俺の船を使ってみるかい? 仕事の一種にはなるが確実で何か起こってもそれなりの安全は保障できるが。只船を使うならそれなりの理由が必要になるんでな、迎えに行こう今は何処に居るんだ?」

「今はギルドのセントラルタワー上層階の三百階に居ます」とサキが言った。


「GCT(ギルドセントラルタワーの略称以下GCT)の三百階か確かエレベーターホールに近い所に待合カフェがある筈なんだが、そこで少し……そうだなぁ早くても小一時間は待ってもらう事に成るがイイか? 船を動かすにはそれなりの手続きが必要になるんだ。ヨットみたいな小型の船では無からな。時間がないとか危険が近いっていうわけでは無いよな?」と確認を取る事にした。

「時間は特に大丈夫です、危険もないと思います。アヤトは物珍しいのか色々な物を見て回っているので今は傍にいないですけれども」とサキが今の状況を言った。


「待合カフェには俺の名で席を予約するから、そこで待っていてくれ直ぐに迎えに行きたいんだが、少しバタバタしていてな。国賓コクヒンをお待たせして、本当に申し訳ないんだが、事情が事情だけにな」

「こちらこそお忙しいところすみません、誰を信用・信頼できるのかという話になると貴方しか居なかったものですから」とサキが申し訳なさそうに言った。

「今が十八時半だから十九時半位までを見ていてもらえると助かる、夕食は好きな物を頼んでいい様にしておくから、安心してゆっくり食事を楽しんで居てくれ、そこは待合のカフェなんだが様々なメニューがあったはずだ。アヤトが戻り次第、そこから待合カフェに行って待っていてくれないか? フルネームで取って置くから“ウォルド・Fフォン・カーライル”で予約してある事を告げてくれ」と言った

「分かりました、アヤト皇子が戻り次第その様に。お待ちしていますよろしくお願い致します。」と言って電話が切れた。


 ここからが一気に忙しくなった、即夏の提督仕様の服に着替え直して、GCT三百階の待合カフェにコールする、二秒で出た、「ウォルド・Fフォン・カーライルだ今から其方に、国賓コクヒンのお二人が行く事になっている、サキ・ハルカ様とアヤト皇子殿下だ。その二人の為に特別席を予約しておきたいが空いているか?」

「ハイ、待合カフェの特別席は現在一号室から十号室までが全て空席となっております。何番でお取りしますか? ご予約者様はウォルド・Fフォン・カーライル様ですね。って金の提督ではありませんか。特別個室一号室でお取りしますがそれで宜しいですか?」とカフェ側が速攻で気が付く。

「それで頼む護衛を一名扉に立たすくらいはお願いしたい、それとそこで頼まれる注文は全て俺の口座から直に引き落として置いてくれ、予約時間は六十分が目安だが俺が行くまでホールドを頼む」

「分かりました、お早い到着期待しております、金の提督閣下」電話の向こうで敬礼されたような感覚があった、そして電話が切れる。


 即刻二本目の電話を掛ける、厄介な相手だが俺の電話番号を出したって事は通じるかも知れんなと思っていると一コール目で相手が取った様だった。

「ヨナ閣下お忙しい所マコトに申しわけ無いのですが急用かつ重要な案件が出来ましたので、船を動かす許可を頂きたいのですが、国賓コクヒンを護衛し母国まで送るのに我が船を使いたいのですどうかお許しをいただきたい。サーラインアグルア号の使用許可を何卒ナニトゾお願いしたく。」と一気に言ってしまう事にした。

「まぁ良いじゃろう、その心算ココロヅモリで教えた電話番号だしの、お主がその答えに辿タドり着くであろうことは予想の範囲内じゃ、こちらで斑鳩国には直接通達をするのは問題が無く全て準備は整っておる。近頃向こうの空には空賊が出るらしいからのM-FPTやL-FPTクラスの兵装はある様じゃから、どうやって送るかこちらでも思案しておったところじゃ、そこにサキ殿から信用・信頼できるのはお主しか居らんと云われたのでな。こちらこそ試すような真似をしてすまなんだ。休暇は五日延長しておくからの。くれぐれも失礼の無い様に色々とお願せねばならん。よろしく頼んだぞウォルド・Fフォン・カーライル提督」とヨナ様も一気に喋り尽した様だった、そして切れる電話。


「流石ヨナ様、こちらの手の内はおみとおしって訳か」とツブヤ

 今度は艦内通話に切り替える艦周囲の作業員にも聞こえるように同時放送にセットすると、

「金の提督だ! 此れよりサーラインアグルア号は出港準備に入る!! 各員取り急ぎ慎重に掛かれ出港予定時刻は二十一時予定、今回は国賓のお客様を迎えその母国までの長旅となるのでそのムネ通達する、全ての欠けが無い様に埋めてくれフル装備で出る、各航空戦力は対艦戦闘が可能な様に装備の確認と欠けがあるなら補給を実施せよ。繰り返すサーラインアグルア号は出港準備に入る欠けが無い様に全て埋め尽くせ、今回は対艦戦闘も視野に入れて置け其れに必要な物はすべて積み込んで置け以上尚MMはギルドナイツの部隊1個中隊を積み込めるように艦長の方から俺の名前を使って交渉してよし最悪の状態も考えた設定にしておけよ以上だ早い準備の完了を期待する」と言い切った。


 そして艦内放送に切り替えた、

「午後に国賓コクヒンを迎えに行ったメンバーは直ちに、リムジンを用意せよ再度迎えに行くので俺をGCTまで乗せていけ、繰り返す午後に斑鳩国イカルガコクからの国賓コクヒンを迎えに行ったメンバーは直ちに同様の装備でリムジンを用意せよ、俺も直ぐ行くリムジンはしっかり磨いて置けよ!」

 そしてさらに追加した、

国賓コクヒン二名、斑鳩国イカルガコク皇子アヤト・イカルガ様と連れのサキ・ハルカ様に失礼の無い様に徹底せよ。失礼や無礼を働いた奴には、俺自らが尻を蹴っ飛ばしてお空に蹴り飛ばしてやるから覚悟しておけ、急ぎ迎えに行くので以降は艦長の指示に従え、戻るまでに行く準備と礼装での出迎えが出来るように用意しておけ、後客室も手入れを怠らぬ様に以上。」


 艦内放送を終えると、私物ではない提督専用の『データパッド』を持ち、鏡の前で物のつけ忘れが無いかだけ確認すると、リムジンまで一気に走り出した。


 リムジン前には三名がすでに待っていた、「アリソン、ジェニー、キュアロンご苦労だったが又ご苦労なことを押し付けねばならん、今回は飛行高度を無視できるからGCT三百階のポートに直につけてくれて構わないポート内に入って風の影響を受け無い所まで行ってから国賓コクヒンをお迎えするが、食事中の場合少し遅れるから私の名前で場所はホールドしてくれて構わない。」

 時計を確認すると三十分は過ぎていたもう夕食にはなっているなと思った。

「各員時計合わせ、三、二、一、ゼロ。最大二十五分から二十分は待ってもらう必要があるなもう夕食を食べ出しているだろう。さて行くぞ。」

 と言って自ら真ん中のドアを開け乗り込んだ、各員が乗り込むキュアロンが運転席ジェニーが私の隣、アリソンが助手席に乗り込んだ。

「行っても大丈夫だ。コーヒーの一杯は飲むかもしれんがそれ位だろう。」と言っておいた。そしてリムジンが出発するGCT三百階まで高度をあげながら加速して行った。




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