第2話 How are you ?? なんちゃって・・・?

「ここだ…。」

少し、和の強めな周りの住宅街から少し浮いた佇まい。

目の前には木で作られた門の前に立った私。

表札には習字を掘ったような字で”豊橋”と書いてある。

正直に言うと、関わりたくなかった…。

「ふぅ~」

と息を吐いて、深呼吸をしてから、チャイムを押そうと指を伸ばす。

「居なかったらポスト、居なかったらポスト…」

呪文のように唱えながら押した。

「はい、どちらさまで??」

声的に女性だ。お母さんだろうか…。

あ、黙っててもだめだ、応え!

「あ、あの、学校の届け物を豊橋君に…」

「!あ!れおの!!ちょっと待って今開けます。」

れお?そんな名前だったんだ漢字読めなかったんだよね…

そんなことを考えていると和服の方が、パタパタと出てきた。

一瞬どんな何の家なんだろうと考えてしまった。

「こんにちわ、わざわざありがとうね。」

「えっと、同じクラスの木崎鈴歌と申します。」

ペコっと頭を下げて、先生に渡された宿題や配布物の入った紙封筒を差し出した。

「あら、ありがとう!!よかったら、お茶でもどうかしら?」

「あ、でも…。」

お母さんの圧が強い…。

仕方ない…。

「ほら、入って、入って。」

そう、お母さんに促されて、

「おじゃまします」

と上がった。

クラスの友達の家とかいつぶりだろう。

おうちに入っても、木の匂いに包まれ、ここはどこなんだろうと、自問自答してしまいそうだ。

「あ、足崩していいのよ、こちらどうぞ。」

そう出されたのは、急須で入れられた緑茶に、最中だった。

さらに、和空間になってしまった。

緊張して黙っていると、お母さんが話してくれた。

「れお、部屋から出てこないのよ。家族と時間を逆にして過ごしているの。」

「逆?ですか・。」

「えぇ、あの子がお風呂や洗濯などを済ませるのは夜中から明け方。私たちとは顔も合わせず、私たちの事も避けているようだったわ。学校にも行っていないようだし。」

困った様子のお母さん、でも私には何もできない。

だって、ただ近所で届けに来ただけだから。

「あの子、高校入ってすぐこんなになっちゃって、虐めでも受けたのかしら、でもそうでもなさそうだし。このままだと卒業もできないんじゃないかって。」

確かに、もう高校2年夏休み前。

中間と期末を控えているゴールデンウイーク明け。

必死で、勉強しなければ、テストが危ない。

進路も決まらず、卒業だって危ない。

なにを考えて生きてるのだろう。

気になってきた…。

「あ、あの、ご飯とかってどうしてるんですか。」

「あの子が勝手にネットでバイトして、ネットでご飯届けてもらってるみたいなの。私、そうゆうの疎くて。」

で、ですよね。

ネット配信で稼ぐのは、時代だし、ご飯だってネット注文。

この着物のお母様にはわからないだろう。

でも、花のJKを部屋で過ごして終わらせるのかな。

もったいない気が…。

てか、どんな子か気になる~

「あ、あの、時間なのでそろそろ帰ります。一応、部屋の前で声かけて行っても?」

ぱぁぁと笑顔になったお母さんは、れお君の部屋の前まで案内してくれた。

こ、ここか…。

「ふぅ~」

深呼吸をして、ノックした。

「あ、あの、隣の席の木崎鈴歌といいます。学校の先生に頼まれて届け物をもって来ました。次のテスト受けないと卒業もまずい、そうです。い、一応授業の…」

ガチャっとドアが開いた。

「え、」

そこから顔を出したのは、髪の毛もさもさ・お面の人

「顔、出せないから。後そこで喋られるとダルイ。ケータイ出せ。」

「え、え、あ、はい」

そう言って、携帯を出した途端、奪われて、なんか打たれて、返された。

「じゃ、後はこれで。」

そう言って、携帯を振るれお君。

「え、ちょ、ま…」

バタンと訳の分からないまま、ドアが閉まった。

「めちゃめちゃ態度悪。」

>さっさと帰れ。うるさい。


その携帯を見て、急ぎ足で家をでた。

お母さんには申し訳ないが、変なお子さんですね!と言いたかった。

「顔、だせないって、どういうことよ!!!!!感謝は!?」

そう家に帰ってくるなり、有希に電話を掛けた。

「はいはい、仮面じゃ顔わからないしね、不思議だね。」

「ほんとよ!!もーマジ意味わかんないんですけど。書類持って行ったの私だし、テスト範囲のコピーのノートだって、私のだし。感謝してほしいんだけど。」

「え、ノートまで作ったの?」

「そうだよ、先生に頼まれて、ポイントだけね。」

「ノートだけは綺麗だし、テストも普通だしね。」

「普通ってなによ!!学年10位には入ってるじゃない!」

「まあ、その怒りもREM様聴いてさ、落ち着きなって」

時間を見ると9時30分、確かにREMくんの時間だ。

「そーする!聴いてくれてありがと。」

「いいのよ、またね。」

「また明日ね~」


でもその後の配信がおかしいことに気が付く。

「うそ、仮面…」

そう、れお君が出てきた時の仮面が壁にかかっていたのだ。

「まさ、か・・・」

もさもさが?ジャージが?


私は、見なかったことにした。

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