不登校生徒は顔出しNG!?

若木澄空

第1話 現代ネットワーク

「鈴歌~ご飯は~」

「今行く~」

家族と他愛もない会話。

そんな中で大抵発せられるのはこのセリフ。

「鈴ちゃん今日学校どうだった?」

出たよ、このセリフ。

ほぼ毎日聞かれるこのセリフ。

話してもわからないくせに。

そう思いながら、私は毎回こう答える。


~♪「はい、こんにちわ!REMだよぉ~。みんな聴いてくれてありがとぅ~。みんなの時間の隙間に幸せを届けられたらいいな。」

耳から流れるのは、最近入れたスマホで聞く動画配信アプリ。

一般の人が自由に投稿できて、簡単に聞いて繋がることのできるもの。

自分の事を知ってほしいとか自分の長所なんかを簡単に投稿できるので少し、若者の間では人気のアプリだ。

私も寝る前に少し気になって視てしまう。

顔出しをしていないバーチャルアバターを使った人で、歌をカバーして投稿したり、たまにゲーム実況なんかもしていて面白い。

それになんとこの声が私のドストライク。

一見少し子供っぽい声に聞こえるようだが声のトーンによってはとっても色っぽく大人な声に変わるのだ。

ネット上からも最近人気が上がり、ファンも増えてるようだ。

まあ、私もそうだが、その変わる声のギャップがたまらない。


有希(今日、REMくんの生配信の日だよ!鈴歌忘れていない!?)

鈴歌(有希大丈夫、忘れてないよ!すでにベットで待機!!)

有希(OK!)


高校に入って仲良くなった有希は私と同じREMくんのファンだ。

私は、REM君だけだが、有希は他にも押している人がいるみたい。

2人でREMくんの握手会に行ったり、よく話したりしている。

このアプリだって有希が薦めてくれたものだ。

今じゃ、毎日使う私の癒しアイテム~♡

「は、始まる!!」

~♪「はい、こんにちわ!REMだよぉ~。こんなにも生配信聴いてくれてありがとぅ~。今日もみんなの時間の隙間に幸せ届けられたらいいな。と、いうことで始まりました!生配信!!俺が動画投稿初めてから続けてるけど、今回で6回目!毎月恒例になってきたね!じゃ、今回もやるよ!質問コーナー!!じゃんじゃんコメント送ってね!その中の質問答えてくよ!」

「やば、今回質問コーナーだった。何送ろう。早くしないと先越されちゃう!」

~♪「お、さっそくどんどんコメントきたね!みんなありがとぅ!じゃあまず、これにしよ、あずメロさんからの質問!最近熱くなってきましたがどんな洋服来てるんですか?いつも応援してます。あずメロさん応援ありがとぅ、俺も君を応援してるよ。

と、いうことで、洋服か~。俺ここ1年服買ってないんだけど~最近はこれ来てるかな。ベンズのTシャツにユニマルの短パン。やっぱり夏はラフな格好になりがち。でもものによっては、オシャレに見えるしいいかな~って。こんな感じでいいかな、あずメロさんわかったかな?」

こんな感じでどんどん質問が読まれて行って早1時間半そろそろ生放送終盤私のは読まれないのかと諦めていた時だった。

~♪「じゃー、時間がそろそろになってきちゃったから次で最後!!鈴さん!今自分の中で注目しているものはありますか。か~。ん~、難しいな、あ、でもでも他の投稿者さんも気になるし、みんながどんな生活してるのかも気になるし、一番はこの呟きアプリ、オイッターのさざ波さん?この人の作る作曲に歌詞を俺書きたいな~って思ってこの人に注目してる。すごくきれいなメロディー書くし、面白い章節あったりするか、コラボしてみたいな~なんて。こんな感じです。鈴さん、わかったかな?君は俺の事を注目してほしいな。なんてね。じゃ、質問コーナー終わり。次にこの間カバーさせてもらった曲でお別れだ。最後に、少しでも多くの人の時間に幸せ届けられたかな。また逢える日を楽しみにしてるね!聴いてくれてありがとう、バイバーイ☆」

耳が幸せ、これでまた楽しい学校生活が送れる。


「有希~おはよ」

「おはよ、鈴歌!昨日のやばかったね。」

「ほんとそれ、めっちゃ格好良かった。」

「でも、あんな声しててさ、絶対イケメンじゃない?顔とか歳とか公開してくれればいいのにね。」

「そうだけど、夢は膨らんじゃうよ。」

キーンコーンカーンコーン

「予冷だ、有希!」

「うん、またね、鈴歌」

次の授業って、担任の渚先生の授業。

「これから、数1の小テストを行います。配って~」

「まじか」

「では、はじめ!、」

先生、予告してなくね、テストなんて。

何とか解けるけど。

そう思いなが解き進めると、担任の先生が巡回してきて、ヒソヒソと職員室に終わったら来るように言われた。

なんだろ・・・。

「失礼します。」

「あ、鈴歌さん、ごめんなさいね、呼び出して。」

「いえ」

「要件は、あなたの隣の席。ずっと空席でしょう?豊橋くんの席なんだけど。

「はい、それが」

「あなた、家が近いのね、これ持って行ってくれるかしら。」

そういって、知らない、男子生徒の家に配達になってしまった。

どうすればいいのだろう。


仕方なく、帰り道に届けることになった。

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