第3話 誤解orひも女

「あ、おはよ」

「おはよじゃねぇよ!今どんな状況か分かってるのか⁉」


因みに今どんな状況かと言いますと、傍から見たら女子高生を連れ込んだただの男子高生、いや一夜を過ごした時点で”ただの”ではないと思うが。

まあただの犯罪者ですはい。


「はぁ、今日が休みで本当によかったわぁー」

「まだ私お風呂入ってないんだけど」


あ、そういえばそうだったような、ないような……


「取り敢えず早く帰れお前は!」

「何言ってるの?まだ朝の4時なんですけど?まだ暗闇なんですけど?」

「はいはい送ってくから早く帰るぞ」

「はーい」


マジで本当に自分の学校の生徒にばれたら絞殺刑確定だな。


取り敢えず送っていくことにし、家に向かう。


まん

「ただいまーって誰もいないのかー」

「お邪魔s、って部屋汚っ、なにこれ?よく俺を入れる気になったな!」

「いやーそれほどでも~」

「ほめてねぇから、いま貶した発言したつもりなんだが?」

「えへへ」

「笑ってごまかすな!」


これはひどい。

玄関入ってすぐに分かるこのゴミ屋敷感。

まず目に入ったのが引っ越してから開けていないと思われる段ボール達だ。

ざっと見た感じで10箱ぐらいあるかな?


「まぁまぁ、私お風呂入ってくるからそこらへんに座って良いよ」

「座るところが見当たらないんだが?」

「はいこれでできた」

「物どかしただけだからな?」


あぁ神様。どうかこの子に片づけるという言葉を教えてあげてください、いやマジで。


奴が風呂に入っている間に何をするか悩ましいが取り敢えずスマホをいじることにした。


「あー気持ちよかった~」

「この部屋に居させられる俺の気持ちにもなってほしいんだ…が」


いやいやいや、いくら何でもその格好は些か無防備すぎはしませんかね?

俺じゃなきゃ襲っていたレベルだと思うんですけど。


「お前、ブラしてないだろ」

「あ、ばれた?」

「あほか、早くつけてこい」

「はーい」


幾らパジャマの上からとは言え、流石にヤバいだろ、女子として。


それからしばらく経ち、俺が耐え切れずについに始めることになった。

その名も


「北上のおうちの大掃除を行います!」

「イエッサー」

「北上隊員、よろしいか!」

「イエッサー」

「あとなんか立場逆じゃね?」


いや普通に考えて男子の部屋が汚いから女子が掃除をするのがラノベ的展開だと思うのだが、女子の部屋が汚いから男子が掃除するって変な構図な気がするんだが?

そんなことは気にせずに掃除を始めようか。


まずは玄関のそばに積まれている段ボールから片づけよう。


「北上、この段ボールはなんだ?」

「うーんと、夢と希望が詰まってるの!」

「真面目に答えろ!」

「痛い痛い、女子の頬っぺた引っ張るとか、痴漢!エッチ!」

「はいはい言っとけ、夢と希望なら捨てるぞ?いいか?」

「お皿!お皿入ってるから捨てないで!」

「それじゃあキッチンの下に入れておくぞ?」


うんこ、の調子だと一日は掛かるな。


「ふぅ~終わった終わったー」

「お前は邪魔しかしてなかったけどな?」

「ちゃんと手伝ってたしー」

「それが邪魔なんだよ!ゴミ袋振り回しながら歌ってただけで何が手伝っただよ!おかしいだろ!」

「あーカイが襲ってくるー叫んじゃおうかな~」

「襲われてると思うなら戸惑いもなく叫ぶだろ、なんで躊躇してるんだよ!それにしても引っ越して1週間でこんなごみ出るかよ普通」

「女の子は色々あるんです~」

「はいはいそうですか、大変そうですね」

「棒読みやめて!怒ってるの?チューしてあげようか?」

「なぜその発想に至るのかを教えてほしいのだが、そこにある包丁で頭割って中見てもいいか?」

「私頭割られたら生きれないよー」

「あれ、北上ってエイリアンだから頭割られても平気じゃなかったの?」

「やーめーてー中学校の時の黒歴史えぐらないでー」

「俺の指えぐった癖にな」


「おなか減った」

「唐突だな」

「そういえば皿とかフライパン段ボールの中にいれっぱだったけどどうやって料理してご飯食べてたんだ?」

「コンビニonlyですけど」

「ばっか、お前嘘だろ?太るぞ?」

「女子に体重の話持ち出すとか、デリカシーなさすぎ~」

「話を逸らすな」

「すいません」


コンビニonlyとか、よく生きてるなこいつ。

まあ最近のコンビニ野菜もあるし死にゃせんか。

でも流石に栄養偏りすぎでいずれ体調を崩すだろう。


「お前って料理できるのか」

「……」









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