第2話 帰宅or連れ込み


現在時刻は5時。

冬の頃よりは日が伸びたとはいえ、もう既にあたりは大分暗くなってきている。


「一緒に帰ろ?」

「もし断ったら?」

「拒否権はないです!」

「ひでぇ」

「あー暗い路地を一人で歩いてナンパにあんなことやこんな事されちゃうなー」

「はいはい分かった分かったから裾を引っ張るのをやめてもらいません?おろしたての制服なんですが?」

「よろしい」

「帰ってあげるのにすげぇ上から目線だなお前!」


流石に女子を夜道に一人だけで歩かせるわけにもいかず、仕方なく一緒に帰ってあげることにした。仕方なくだからね?勘違いしないでよねっ


「カイ」

「ん?どした」

「靴擦れしちゃった」

「見せてみ?」


公園のベンチがちょうどあったのでそこで見てやることにした。


「うわーここまでひどいとは」


靴擦れのひどさから見るに多分大分我慢していたんだろう。


「ほれ、バンドエイド張ったから大丈夫だろ」

「うん、ありがと」


我ながらバンドエイドをもっているとは、はっはっは‼

自分も靴擦れすることを見越して持ってきただけだが。


「足痛くて歩けない」

「なんだ、遠回しにおぶってほしいって言ってるのか?」

「なんか直接言われると恥ずかしいんだけどー!」

「ほれ、おぶって欲しいんだろ?」

「う、うん」


肩をつかみ俺の背中にしがみつく。

吐息で首がぞわっとし、

それに背中に胸らしきものが押しつけられどうにかなっちゃいそうだ。


「興奮する?」

「考えないようにしてたのになんで言うんだよ!」

「ふふーん」


歩き始めてしばらくすると少し重くなった気がした。


まさか寝てないよな?寝た?


「おーい北上、起きてるか?」

反応がない、ただの屍のようだ。

どうするか。

……起こすのは忍びないので取り敢えず自分の家に運ぶか。


マンションの階段を上り、自分の家に着いた。


鍵を開け、北上は自分のベットの上に寝かせておき、自分は風呂に入ることにした。


風呂を上がって夕食でも作ろうと思ったのだが、体はどうやら睡眠を要求しているらしく、リビングのソファーで寝てしまった。


「……」


何かに抱きしめられているような感覚を感じ、目が覚める。

目を開けて直ぐ抱きしめられている感覚の原因が判明した。

確かにベットに寝かした北上が俺に抱き着いているのだ。


(むにゃむにゃ)

「(ちょ、離し)」

「!?」

「おはよう、カイ」

「お、俺は断じて何もやってないからなーーーーーーーーーー」





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