第41話

あけましておめでとうございます。(激遅)

今年もどうぞよろしくお願いします。

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「おい」


俺は妹が虐げられている現状に我慢ならなくなり、ついにいじめの張本人らに声を荒げた。


「お兄、ちゃん?」

「は?まさかあんた」

「てめぇら。黙れ」


俺は自分の妹をいじめた奴らを見ていると、どんどん苛立ちが増してきた。


「おい、人の妹に何をしてる」

「...」


少女たちは何も答えない。ただ黙り込んでいるだけだ。一方、花楓は壁に辛そうに寄りかかっていた。

その様子を見て、俺はますますこの現状に耐えられなくなった。


「おい何とか言ってみろよ」


竹刀を振り、地面にたたきつけた。その音は廊下に大きく反射し、少女たちも怯えていた。ここがコの字になっていて、通路側に俺が立っていることもあり、少女たちは逃げることもできない。


「なんだ?人の妹はさんざんいじめておいて、自分たちが不利な状況になったら黙るのか?あぁ?」


普段はこんな言葉使いもしていないのだが、あまりの怒りに言動が変化する。

そんな時、一番奥で寄りかかっていた花楓が、身体が痛いはずなのに俺の方にやってきた。


「お兄ちゃん、暴力はダメだよ...」

「花楓、なんで言ってくれなかったんだ。辛かっただろ。とりあえず早く帰れ」


そう言いながら、俺は花楓に早くか、保健室に行くように促した。こんな奴らと一緒に居てもしょうがないし、心身ともに疲労しているだろうと思ったからだ。




「で、どういう対応を取るべきかわかるよな?お前らのそのお花畑な頭でも」


妹が居なくなったこともあり、俺の言動はどんどんヒートアップしていく。だが、その怒りから周りの状況が全く見えていなかった。


「おい、何をやっている」


竹刀を持った男が校内で声を荒げていたら、バレないはずがない。俺が左を振り向いてみると、若い男性教員が顔をこわばらせていた。残念ながら、その男性教員との面識はない。


「近寄らないでください。このバカげた奴らにお灸をすえないといけないので」

「何のことかはわからないが、なぜ校内で竹刀を持っている」


教師がどんどんこっちのほうに近づいてくる。するとこれを絶好のチャンスと見たのか、女子らが立ち上がって逃げようとする。


「おいこら、何を逃げようとしている」


このあさましい女たちを逃がすまいと、俺は本能的に竹刀を横に振った。思えば、竹刀を振る必要はなかったのかもしれないが、この女たちに、思いのほかはらわたが煮えくり返っていたのだろう。


竹刀を持った手に衝撃が伝わる。俺の振った竹刀は女子のうちの1人の腹部にヒットしていた。


「え、ちょっ」


その様子をみた男性教員は、あまりの光景に言葉を失っていた。同様に、女子たちも何も言葉を発しない。教員は実際に竹刀が振られたことに衝撃を隠せずにいて、女子たちは仲間の一人が倒れたことに恐怖している。


「お前らが花楓に与えた苦痛とどっちが痛いんだろうな」

「おい、やめろ!竹刀をおろせ!」


男性教員は大声を発し、俺を制止しようとする。だが、俺が一瞬教員の方を見ると、教員はその場から逃げていくように離れていった。


「す、すいませんでした」


ようやく女子のうちの一人が謝罪を声にした。すでに、俺が現状を目撃してから30分が経っている。


「遅いんだよ。まぁお前ららしいとは思うけどな。仲間が傷つけられたことに恐れおののいて、自分は標的ターゲットになりたくないという思考だろ?

それに花楓は納得するかもしれんが、俺は納得しないぞ。お前らだって散々人を痛めつけていたくせに、お前らだけ謝ったら解放されるっていうのはおかしいよなぁ?花楓だってなんども「やめて」と言っていたはずだろ」


少女らは泣き出しそうな顔でいまだに下を見つめ続けている。弱者には内弁慶のような立ち振る舞いをするが、外部から攻撃されると、一気にそれが崩壊する。まさに典型的な例だ。


「何とか言ってくれよ」

「おい、倉田!いますぐ竹刀をおろせ!」


後ろを振り返ってみると、そこには体育の教員やクラスの担任が勢ぞろいしていた。


「倉田!聞こえてんだろ!」

「うっさいんだよ!だいたい、あんたら教師が無能だから俺が代わりにお灸を据えてやってんだろうが」


だが、そんな俺の声を無視するかの如く、教師たちは近づいてくる。


「倉田、最終通告だ。その手に持っているものをおろせ。じゃないと本気で抑えに行かないといけなくなる」


うちのクラスの担任が諭すように言ってくる。だが、教師陣の眼はそれが本気であることを示していた。


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正月休みは小説書くの休もうか...なんて思っていたら、半月が過ぎていました。

全て書き溜めをしない私が悪いですね。

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